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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第二章

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水の提供

「あー、腹が減った。」

「初めての食堂ね、何を食べようかなー♪」

「ふふーん、私はもう決めてんだ。」

「ヤエノ…流石だわ。」

ヤエノとイリエが楽しそうに食堂へと向かう。

ボクはトボトボとその後を続いて歩く。


「どうしたのマイトくん、随分とお疲れね。」

「うん、精神的にちょっと…」

ボクは先程のアルマが他の召喚獣に中級魔法をぶっ放した事を伝えた。

アルマはボクの話を無視している。

いや…無視していると言うより気にしていないようだ。


やはりヤエノは肉料理を買ってきた。

イリエは芋がゴロゴロと入ったスープだ。

ボクも肉料理を食べる事にした。

「ここは魔法師も騎士も同じ食堂だから肉料理が多くて良いなー。」

「なかなか美味しいわよ♪このスープ。」

早速、気に入った料理に出会えたようで二人はご満悦だ。


と、そこにエタレナ魔法師団長がトレーを持ってやってきた。

「ここ、一緒に良いか?」

ボク達は是非にと師団長を歓迎する。


「この魔法師団に召喚獣師が多い理由だけどな…」

師団長は突然、午前中の話の続きを話し出した。

「師団長である私が召喚術師だという事と…」

「この街では騎士団と魔法師の仲が昔から悪くてね。魔法師だけで単独で動く事があるんだ。」

「そうなると接近戦に弱くてね、召喚獣がとても役に立つのさ。」


「騎士団と仲が悪い事はヤクトルド騎士団長からも聞きました。なるほど、召喚獣を騎士の代わりとして使うのですね。」

ボクは午前中に皆さんが使役していた召喚獣達の力強い姿を思い出して納得した。

と同時に逃げ出したヒスイを思い出して困り顔を浮かべた。


「ほんと、騎士って我儘(わがまま)なのが多いよねー。」

肉にかぶりつきながらヤエノが言う。


「午後も訓練の予定だったが…気まずいだろ?昼からは住人と触れ合うか?」

アルマがトラブルを起こしてしまった事を気にかけてくれたのだろう、エタレナ師団長は気を利かせてくれた。


「私、住民のお役に立ちたいです。」

そうイリエが伝えるとヤエノも賛同した。

「私は…誘導係だけどな。」


午後、先程とは違うメンバーが住民に水を提供している。

10人程の魔法師が水魔法を発動しているが、

かなりの数の住人が並んでいて、ごった返している。


並んでいる住人は男性は少なく女性や子供が多い。


先輩方に挨拶をする暇も無くボクとイリエは水を提供する場に加わった。

住人が持ってきた桶に水を入れていく。

車輪がついた桶や、台車に桶を乗せていたりと皆さん、色々と工夫している事が分かる。

そして、皆さんがお礼の言葉を丁寧に伝えてくれる。

「本当に感謝されているんだね。」

ボクは隣に並ぶイリエに話しかけた。


すると男性の先輩魔法師が話しかけてきた。

「新しく来た魔法師だね、君がマイトラクス君かな?」


何故、ボクの名前を知っているのだろうか?

ボクはキョトンとした顔をしながら「はい」と返事をする。


「オレの名前はキルアス。君の事は弟のサビアスから聞いているよ。」

ニコリと笑ったその顔は確かにサビアスと何となく似ている。

「あ、サビアスくんのお兄さんでしたか。どうぞよろしくお願いします。」


「弟が世話になったようだね、こちらこそよろしく頼むよ。」

「おっと、話をしている暇はないな。」

確かに列は続いているので、ゆっくりしている場合では無かった。


と、突然大きな声が聞こえてきた。

「こらー、順番を抜かすなー!」

この声は…ヤエノか…


イリエと向き合って苦笑いを浮かべる。


「ちょっと…行ってくるよ。」

またトラブルを生み出してなければ良いが…


案の定、ヤエノは横入りをしたと思われる男性と口論をしている。

「だからー、オレは騎士で今日は休みなだけだ!」


「騎士だからって横入りはダメだろ!」

「騎士服を着てたら横入りも許すじゃないか!」


「何を訳の分からない事を言ってんだ!」

ダメだ…ヤエノは完全にぶち切れている。


「ヤエノさん、やめるんだ。」

ボクはヤエノを後ろから羽交締めにして抑えた。


すると言い争いをしていた休みだという騎士が殴りかかる。

「うっせぇんだよ!」


どんっ


ヤエノを殴る前に、その騎士は倒れた。

「キュイイイイン」

横を見ると召喚獣ヒスイが誇らしげに声を上げている。

ヒスイが騎士に体当たりをかましたのだ。


「ありがとう!ヒスイ!」

そう言うとヤエノはヒスイに抱きついた。


「こらー、何をしている!」

パトロール中だったと思われる騎士団員が4人、走り寄ってきた。

倒れている非番の騎士を見ると、4人の騎士は血相を変えて詰め寄ってきて言った。

「お前達がやったのか!?」


「弱いのが悪いのよ。」

アルマがまた悪魔の囁きを放つ。

これは、もう立派なスキルだと言えよう…相手を怒らせるというスキルだ。


「この男が列に割り込んだからよ!」

そう叫んだのは…ヤエノでもアルマでも無く、街の住人だった。

驚いていると、列に並んでいた住人達が次々と叫び出す。

「そうよ、その男が悪いのよ!」

女性達も子供達も…みんなが見ていたのだ。


4人の騎士は、慌てた様子になり…倒れていた非番の騎士を抱えて逃げるように去って行った。


「みなさん、ありがとうございました。」

白い制服を着ているのでボクとヤエノが軍の関係者だという事は住人の皆さんには分かっているハズだ。

「お嬢ちゃんは勇敢だねー。」

一人の女性がヤエノに告げる。

「わたしゃ、胸がスカッとしたよ。」

老婆がヤエノに笑顔を向けた。

列に並んでいた住人全員がヤエノに賛辞を送った。


にしても、あの騎士は順番を抜かす事が当たり前のような口ぶりだったな。機会を見て団長に聞いてみよう。


ボクは水の供給係に戻った。

「また、ヤエノがトラブルを起こしたの?」

「うん、もう当然かのように騎士と揉め事を起こしていたよ。」

はぁ〜とイリエはため息をついた。


水の提供は夕方まで続いた。

本当、砂漠では水が貴重で、魔法師の存在が大きい事が分かった。

立ちっぱなしだったし、流石に疲れるな。

「キミ達、初日からお疲れ様。」

サビアスの兄、ルキアスが労ってくれた。

そこに、エタレナ師団長が戻ってきた。

「やぁ、あなた達ご苦労様。本当は来て早々に水の提供班に加えるつもりは無かったのだがね。」

ニコリと微笑む師団長…うん、この人も結構腹黒い方かもしれない。


「そうそう、あなた達の歓迎会をする事になったんだ。早速だが明日の夜、良いかな?」

「はい、分かりました!」

ヤエノはまだ整列の係から戻ってきていなかったが勝手に了承の返事をしておく。

歓迎会とは…美味しいご馳走にありつけるに違いない、断ったら逆にヤエノに怒られそうだ。


ボク達は部屋に帰ってゆっくりとする事にした。

「ねぇ、ヒスイの能力ってどんなのだった?」

イリエとヤエノは今夜も当然のようにボクの部屋へと来ている。


「ヒスイの能力はねぇ。目から何百匹もの蝶を出せるんだ!」

ボクは自慢げに話した。

「え!?何それ、すご〜い。」

「で、その蝶はどうなるんだい?」

イリエとヤエノの目が輝く。


「目から出された蝶は…飛んで去って行ったんだ。」

そう言うと、ボクは二人から目を逸らせた。

「え?それだけ?」

「うん、それだけ…」

狭い空間に静寂が訪れた。

ヒスイは、もう引っ込めているが居たら悲しい思いをしたに違いない。そして、その後相手から逃げ出した事は言わないでおこう。


「イリエさんと、ヤエノさんはどうだった?」

ボクが聞くと二人は顔を見合わせてニコリと微笑む。

「思ったより…普通だったかな。」

「学園の生徒達の方が強いかもしれない。」


「なんかねぇ…中級魔法でも威力がイマイチなのよ。」

「魔力効率悪いし、発動時間も長かったな。」


「それ、相手に言ってないだろうね。」

ボクは不安に思い、二人に聞く。


「まっさっかー、ちゃんと魔法も合わせて置いたわよ。」

二人は笑いながら言った。


「マイトも、ちゃんと抑えるのよ。あなたが王都の英雄だとバレちゃうわよ。」

アルマも釘を刺してきたが…


「いや、アルマが一番自重してくれ!」

ボクが叫ぶと、イリエとヤエノは笑い声を上げた。

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