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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第二章

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砂漠の街ヤンガノ

「イリエさん、もっと右に回り込んで!」

「分かった!」


「あー、もう!思うように動けない!」

「ヤエノさん、落ち着いて!」


「水魔法…氷壁!」


ボクとイリエ、ヤエノは軍への所属が認められた。

早速、派遣先である”砂漠の街ヤンガノ”へと向かっていたが、現在、砂漠に住む獣に襲われている。


細長い胴体をしたこの獣は、さっきは砂の中へと潜った…とても厄介だ。

目が赤かったら魔獣なのだが、そもそも目がどこにあるのかさえ分からない。


「アルマ、これ魔獣?」

ボクが叫ぶも…分からないと首を振るだけだ。


とりあえず馬車?を守る為にボクは防御役に徹する。


イリエは右、ヤエノが左から回り込み、相手の防御姿勢が手薄な個所を攻めようと試みているが、砂漠に慣れていない二人の動きは鈍い。

そう言うボクも足元がグラついて踏ん張りが効かない。


「火魔法…中級 炎の波!」

ヤエノが魔法剣を振りかざすと、大きな炎の波がゴーという音を立てて砂漠の表面を駆ける。


と、細長い獣は体を砂の中へと戻し、また消えてしまった。


「あれ?何なのあいつ?」

ヤエノが困惑の声を上げた。

砂の中に隠れられてしまったら、どこに行ったのか分からない。


しばらく杖を構えたまま警戒する。


「逃げてしまったようじゃの」

馬車?を操るおじさんが言う。

馬車?の?の理由は、車を引いているのは馬よりも足が短く、長い毛を纏った動物だからだ。

「あいつは、この辺を縄張りにしているタナホーガと呼ばれている獣じゃ。」

「お前さん方のおかげで助かったよ。」


「ありがとうございました。」

馬車?に乗る他の乗客たちからもお礼を言われた。


「ちゃんと倒したかったなー。」

ヤエノが魔法剣を振り回しながら戻ってきた。

「砂漠って走りにくいわねぇ。」

イリエがブツブツと砂に文句を言っていながら歩いてくる。

王国軍の証である白地に赤の紋章が入った制服が二人とも、よく似合っているな。と改めて感じた。


ふたたび馬車?に乗り込むと砂漠の街に向けて出発した。

「もう…どうして、赴任先が王都やデマントじゃなくてヤンガノなのよ。」

イリエが言う。

「まぁまぁ、3人一緒の場所で良かったじゃないか。」

ボクは赴任先が二人と同じだった事が本当に嬉しかった。

「あー、それはヤエノが…」


ヤエノを見ると、Vサインをしてニカッと笑った。

あー、さては親に頼んだな。

新人の赴任先を決めれる程の立場にあるヤエノの両親って一体…


赴任先のヤンガノの街に着き、乗車賃を払おうとするとおじさんに断られた。

なんでも軍の関係者が乗ってくれる場合は用心棒を雇わなくて良いから乗車賃を貰っていないのだという。

申し訳ない気もしたので、車を引いてきてくれた長い毛を纏った動物のご飯代です。と言い少しだけお金を渡した。


砂漠の街ヤンガノ…砂嵐に耐えられる程の石壁が街の周囲をぐるりと囲っている。

それほど背の高い建物は無く、一面茶色で土や石で構成されているようだ。


ボク達は街の住人に軍の施設がある場所を聞きながら歩く。

「あのぉ、水を…水を出していただけませんか?」

杖を持つイリエに、一人の若い女性が声を掛けてきた。

「いいですよ、その桶に出せば良いですか?」

笑顔で答えるイリエ。

「はい、ちょうど軍に水を貰いに行くところだったので助かりました。」


イリエは呪文を唱え、桶を水で満タンにする。

「ありがとございました!」

女性はお礼を言うと、引き返していった。


「砂漠だと水の確保が大変なんだね。わたしは水魔法はサッパリだからイリエとマイトに任せた。」

「大丈夫!ヤエノは腰に剣を刺しているから魔法師だとは思われないわ。」

ヤエノはイリエを叩くマネをする。

こうして二人が仲良く言い合いをしているのを見ていると、こっちまで楽しくなる。


笑いながら歩いていると、街で一番大きそうな建物に着いた。


「私は、ちょっと引っ込んでおくわ。」

アルマは姿を消し、ボク達3人で王国軍ヤンガノ支部の門をくぐった。


「あー、新人か…聞いているぞ。」

建物に入るとすぐに随分と体の大きな男性騎士が声を掛けて来た。


「はい!この度、ヤンガノへと配属されましたマイトラクスです!」

「イリエティーナです!」

「ヤエノカシスです!」

ボク達はカッサリル師団長から習った通り、背筋を伸ばして敬礼をした。


「ちっ、なんで魔法師なんだ。」

受付にいた大きな騎士は怒り口調で言う…ボク達3人は顔を見合わせた。


「この前の魔族襲撃の後、軍の再編があってな、騎士が半分もここから抜かれたんだ。」

「なのに、新しく配属されて来たのが何故、魔法師なんだ?一体、どうなってんだ?」

怒り口調で問われるが、それは王都周辺の騎士の数が減ってしまったからだろう。


「それは魔族の襲撃で…」ヤエノが言おうとしたが、ボクは止め、

「この人は多分、理由は分かっている…」ボソリと耳打ちをする。


「何をごちゃごちゃ言ってやがる?」


「団長は?この街の団長はどちらに居ますでしょうか?」

ボクはややこしくなる前に話を替えた。


「5階だ…奥の階段から行け。」

この体の大きな騎士に再び敬礼をして、奥へと進んだ。


「何あれ?感じが悪いわねぇ」

「ハゲてしまえ。」ヤエノが恐ろしい事を言うと二人はふたたび笑顔となった。


5階まで階段を上がり、団長室と思われる部屋をノックする。


「入りたまえ。」


「この度、ヤンガノへと配属されましたマイトラクスです!」

「イリエティーナです!」

「ヤエノカシスです!」


「あれ?…あなたは…」


「久しぶりだね、マイトラクス君。私はここの団長、騎士団長のヤクトルド・ヤザナスだ。」

「以前、僕の弟であるコンドルドが迷惑をかけたね。」

学園で剣士科と決闘をした際の、あの困った伯爵子息のお兄さんだ。


「お久しぶりです。ヤクトルド騎士団長。」

ボクは再び敬礼をした。


「おかしいな、ガルハルトに案内するように伝えたのだが…困ったヤツだ。」

ヤクトルド団長は、あごに手を置いて困惑の表情を浮かべている。

おそらく、さっきの大きな体をした騎士にボク達の案内を頼んでいたのに一緒に来なかった事を言っているのだろう。


「あの…コンドルド君は、どうなったのでしょうか?」

嫌なヤツではあったが、気になったので聞いてみる事にした。


「あー、あの弟は剣の才能が無いと判断されて、普通の学園へ転校となったよ。大人しくなれば良いが。」

団長はため息をついたが、言葉を続けた。


「まぁ、座ってくれ。」


改めて見るととても綺麗な部屋だ。

木製の品が多く、豪華さは無いが品が良くグレーのソファーも落ち着いた雰囲気だ。


「マイトラクス、イリエティーナ、ヤエノカシス、よく来てくれた。」

「先の魔族との対戦で騎士団員の多くが帰らぬ人となってしまった、とても悲しい事だ。」

「この第9騎士団からの半数が王都周辺の騎士団へと移動になってしまってね…第8騎士団と統合して名前も第5騎士団に変わったんだ。」

「今は第4魔法師団と二つの団で、この街を統治し守っている。人員が増えて嬉しいよ。」

ヤクトルド団長は優しく微笑んだ。


「あと…これは言っておかないとならないのだが…」

言いにくそうな顔をする団長。

「この街の騎士と魔法師はとても仲が悪いんだ。私が赴任してくる以前からね。」


「そういえば先程、体格の良い騎士に”なんで魔法師なんだ”と言われました。」

ボクが言うとヤクトルド団長が手で額を抑えてうつむく。


「どうして、そんなに仲が悪いのでしょうか?」

イリエが直球で質問をした。


「この街は水が貴重なんだ、それを魔法師が作り出すから住民は魔法師に凄く感謝している。逆に騎士は、税金の取り立てや防犯の為として暴力を振るう事もあり、住民から嫌われている。」

「だから”魔法師は自分達だけ良い恰好しやがって”と騎士が思ってしまっているんだ。」


「そんな…単なるやっかみじゃないですか!だいだい住民に暴力を振るうなんて…」

イリエの声が少し大きくなり、怒ってる事が分かる。


「デマントの街では、防犯を担う騎士団が尊敬されていますよ。」

ヤエノの声も少し大きくなっている。


「ここヤンガノは他の街と違い、あまり裕福では無いんだ。」

「税金を滞納する者も居るし、親兄弟が窃盗などで捕まっている者も居る。取り締まる騎士はあまり良い印象を持たれていないんだよ。」


ボク達3人は、声を出せなくなった。

~~~~~~~


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