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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第二章

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ふたたび王城へ

第二章の始まりです。第一章は毎日更新を目指しましたが、この章はじっくりと書いて行きたいと思います。

…さん、マ…ト…ん…

遠くから女性の声が聞こえる。

なんだろ?懐かしいような気がする。

マ…トさん、マイトさん

ボクの名前を呼んでいるようだ。

その声は、だんだんと大きくなり、はっきりとしてきた。

「マイトさん、マイトさん」

透き通るようなこの声は…ナタリアさん?


「良かった、目を覚ましてくれた。」

茶色い目でボクの方をじっと見つめてくる。

少し涙ぐんでいるようだ。


「ここは…どこ?」

寝ていた寝具から起き上がろうとするが、力が入らない。

まるで自分の体では無いような感覚に陥る。


「無理しないでください、マイトさんは2週間も眠っていたのですよ。」

え?2週間も?…驚きのあまり声を出せない。

2週間前…そうだ、王都で魔族を撃退した。あれ?その後は、どうなったのだったか…


「魔族を倒す魔法を使った後、すぐにマイトさんは気を失ったのです。」

ボクの心を察したのか、ナタリアが説明してくれた。

「そして、この王都にある治療院に運ばれました。」


「みんなは?みんなは無事?」

ボクは小さな声でナタリアに質問をした。


「イリエさん、ヤエノさん、サビアスさん、カミュアさん、ラブラリルさん、みなさんお元気ですよ。」

「ただ…大勢の軍関係者の方が亡くなられてしまい…特に騎士団内で被害者が多かったです。」


そうか…回復魔法では亡くなられてしまった方まで治せないからな…

窓の外を見ると、建物を修復する作業員の姿が見えた。


「マイトさん、これを…」

ナタリアから3通の手紙を渡された。


1通目は、学園のみんなからだ。

早く元気になって戻ってきて欲しいという願いが、それぞれの文字で書かれていた。

手紙の内容からボクは極度の魔力切れを起こした為、倒れてしまった事が分かった。

心配をかけてしまって申し訳なく思う。


2通目は、国王からだ。

体が元に戻ったら王城へと来るように。と書かれている。

どうやら褒美の準備をしてあるらしい。

王様の前でアルマがやらかした事をつい昨日のように思い出して笑ってしまった。

「あら、国王様からの招待状が、そんなに面白いのかしら?」

事情を知らないナタリアが不思議そうに言う。

「うん、確かに笑い事ではなかったよアレは。」

ボクが返事をすると、さらに不思議そうな顔を見せた。


「アルマが王様の前で騎士団長に向かって魔法を放っちゃってね、あれは慌てたよ。」

ボクがその場で起きた事を細かく説明すると、最初は笑っていたナタリアの顔色がどんどん青ざめていった。

「そういえば、アルマはどこに行ったか分かる?」

「ここまでは、一緒について来たけど、消えちゃったわ。その後は一度も姿を見せていないわね。」

とりあえず無事なようなので安堵した。


3通目の手紙は家族からだった。

どうやら、心配で王都まで来てくれたらしい。

手紙には早く元気になって欲しいという言葉と、ボクの活躍を褒めてくれる文が並んでいた。

そして…そこには驚くべき事が書かれていた。

なんと妹のサフィアに魔力が備わったというのだ。

ボクが大魔法師トルナシア様の祖先だという事が本当なら、妹のサフィアも同じ。

今まで、自身の魔力の存在に気がついていなかっただけかも知れないな。

来年度から学園に入学するからよろしく頼む。と書かれていたが、おそらくボクはそれまでには軍に行く事になるだろう。

魔族の恐ろしさを知った今、この国の為に戦わなければ。という決意は固まっていた。


「マイトさん…今はまだゆっくりとしてください。」

ボクの心を読んだのか、ナタリアが心配そうに伝えて来た。不思議な子だな。


「ナタリアさんは王都に残って、ずっとボクの看病をしてくれていたんだね。ありがとう。」

「いえ、王都を救った英雄の看病が出来たなんて光栄ですよ。」

ナタリアからの思いもよらない褒め言葉にボクは照れ笑いを浮かべた。


体力が回復するのを待って、ボクは王城へと赴いた。

久しぶりに外に出たが、日の光がとても暖かく感じる。

王城を訪れるのは2回目だが、落ち着かないな。

1回目の訪城時でのあの事件、王様に対してどのような顔をしたら良いのかも難しいところだ。

「ナタリアさん、一緒に来てくれてありがとう。どうにも緊張しちゃって。」

「ふふ、王城訪問だなんて緊張しますね、控室までで勘弁してくださいね。」

ナタリアには王城の控室までという約束で付き添ってもらった。

王城に一人で来る勇気が無かったので助かる。

本当は王様との謁見の間まで一緒に来て欲しかったが、そこまで図々しい事は言えないな。


控室では前回訪ねた時と同じ侍女がお茶を入れてくれた。

今回は、少し待つ必要があるようだ。

「この度は王都を救っていただき、ありがとうございました。」

丁寧に感謝の言葉を伝えられたが、どちらかというと恥ずかしい気持ちで溢れた。

ナタリアからも王都の住民みんながボクに感謝をしている事を伝えられた。

この話を聞いてボクは複雑な心境になった。


すると、一人の兵士がボクを呼びに来てくれた。

どうやら準備が出来たようだ。


ナタリアに待ってて貰うように伝えて王様が待つ部屋へと進む。

うわぁ、踏むのが勿体無いな。と思いながら今回も美しい青い絨毯の上を歩いた。

以前、来た時よりも豪華な装飾品が増えているような気がした。

逆に警備兵は少なくなっている。


「よくぞ参った…マイトラクスよ。」

王様の大きな声が響き渡る。

「今日はあの召喚獣を出さないでくれよ。」

ニヤリと笑う目が少し怖い。


「この度の功績を讃えたい。」

そう王様が言うと、隣に居たカッサリル魔法師団長が美しく装飾された箱を持って来た。


「これは国宝、魔力増加の腕輪だ。心して受け取りなさい。」

師団長はそう言うと箱を開けた。

中を覗き込むと、緑色に輝く宝石がはめられた金の腕輪が入っていた。

「こ…こんな…国宝だなんて受け取れません。」

いや、どう考えても無理でしょう、貴族でも何でもない木こりの息子がこんな大層なものを受け取るだなんて…


「マイトラクスよ…君は2度も私の願いを断るのかね?」

王様がため息混じりに声を発した。


「大人しく受け取りなさい。」

カッサリル師団長が少し呆れた口調で言う。


ボクは仕方なく、国宝の腕輪を受け取った。

これは…どこに保管しておけば良いのだろうか…


「マイトラクス、よくぞ受け取った。他に必要な物は無いね。」

王様は、さらに何かを与えようとしてくるのか?

師団長が静かに元の位置へと下がる。


欲しい物なんて無いしな…

と、思ったが良い事を思い付いた。


「あの!」

王様と師団長がボクをじっと見る。


「ボクが王都で魔法を使い、魔族を退治した事を広めないで欲しいです!」


「何故だ?あれ程の魔法であれ程の活躍!国中に広めるべきだろ!?」

カッサリル師団長が声を荒げた。


「カッサリル、落ち着かんか。」

「マイトラクスよ、理由を話してみよ。」


「はい、ボクはまだ未熟で今回の戦いで何度も魔力切れを起こしました。おかげで2週間も寝込む事になりました。」

「次、同じような状況となっても、また今回のように上手く魔族を倒せるとは限りません。過度に期待されると…困るのです。」


王様と師団長は顔を見合わせた。

「うむ…ただ、王都内はすでに君の噂で持ちきりだぞ。」


確かに王様の言う通りだ。

さっきの侍女さんとナタリアから聞いた話からも分かる。


「まだ…まだ他の街にまで、この話は広まっていないかもしれません。是非。」

「それに…魔族に…魔族に狙い撃ちされるかもしれません。」

ボクは少し声を大きめにして言った。


「確かに、マイトラクスの言う通りだな。」

「分かった、キミの希望通りにしよう。ただ、人の噂は王族とあっても、なかなか止められないぞ。」

王様は街に緘口令(かんこうれい)を敷く事を約束してくれたので、とりあえず安堵する。

この先、どうなるかは分からないが…


次の日、ボクとナタリアは学園へと帰る事にした。

~~~~~~~


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