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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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第一魔法師団長

王立軍の魔法師のトップである、第一魔法師団長の突然の来訪だったが、学園はいつも通りだった。

なんせ知らされる前に師団長が来ているので”このおじさんは誰だろう?”と言った雰囲気だ。


「おい、不正を働く前に早く演習を見せたまえ。わたしは忙しいのだよ。」

カッサリル師団長が強気な口調でファスマス先生に伝える。


「忙しいなら、話が出た翌日に学園まで来る事なんて出来ないはずだわ。」

ヤエノの顔はあきらかに怒っている。

ボクもカッサリル師団長の傲慢な言動には腹が立っている。


ファスマス先生は一瞬、顔を引きつらせたが、すぐに余裕の表情に戻った。

「お前こそ、ちゃんと本当の事を国王様に報告するのだぞ。」


次は、カッサリル師団長が顔を引きつらせた。


到着はお昼過ぎだったので、ちょうど午後の演習が始まる前だった。

「おいマイト、昼飯はどうなるんだ?」

ヤエノが心配しているのは、自分がお昼ごはんを食べる事が出来るかどうかだった。

自分の処遇が決まる重要な演習が始まるというのに、ヤエノの神経の太さに関心する。


魔法科棟の食堂を通り過ぎ、土魔法組の演習場へと到着した。

いつものように、生徒全員が壁側に並んで目を閉じて座っている。


「な…何をしているのだ?」

カッサリル師団長がボソリと質問をする。


「さて…何をしているんだろうな。」

ファスマス先生も苛立っているのだろう。

”自然の流れを身に引き入れる訓練をしている”という事実を伝えずにニヤリと笑う。


そこに土魔法組のナズーム先生がやってきた。

「ん?これはカッサリル師団長様、どういったご用件で?」

先生は師団長の事を知っているようで、挨拶をする。


「なぁに、ちょっとした用事だ、気にせず普段通りにせよ。良いか、普段通りにするんだぞ。」

「あ、私が何者かは生徒達には内緒にしておくんだ。」


師団長が何をしに来たのかさえ知らないナズーム先生は、首をかしげる。


ナズーム先生に事情を話しただけで『不正があった』と言い掛かりをつけられない状況なので、ボクとヤエノも黙ったままだ。


集中力を増す訓練が終わったところで、サビアスがボクとヤエノが来ている事に気付く。

「あ、マイトくんとヤエノさん、もう王城から戻ったの?」


ボクが応えようとすると、カッサリル師団長が咳払いをした。

「ごめん、また後で…」

と、だけ答えてその場を終える。

「まったく、面倒ねぇ。」

ヤエノがボクに耳打ちした。


「ボクが何を伝えようが変わらないけどね。」

「不正って、どうやってやるのか逆に教えて欲しいくらいよ。」

ヤエノと話をしていたら、カッサリル師団長に睨まれた。


「それでは、始めようか。」

「いつも通り、あの岩山に向かって、各々の得意とする魔法を放つんじゃ。」

ナズーム先生が号令をかける。


「土魔法…中級 土石流!」

「土魔法…中級 石弾撃!」

「土魔法…中級 土の門!」

今年入った生徒達は初級魔法を使っているが、ファスマス先生が王城で言った通り、ほぼ全員が中級魔法を繰り出す。


カッサリル師団長は言葉を発する事が出来ずに額に汗を垂らす。


サビアスが何かを察したのだろうか?それともボクに見せたかっただけだろうか?

ニカッと笑ったかと思ったら、ターゲットに向かい呪文を唱える。


「土魔法…上級 砂人の剛腕!」


巨大な砂の腕が、地面より出現しうねりながら岩山に殴りかかる。

ずどーーーん!


「あぁ、また壊しおって。」

ナザーム先生が冷静に文句を言う。


カッサリル師団長は目と口を大きく開けたまま固まっている。


「どうかしましたか?カッサリル師団長。」

普通に話すファスマス先生だが、明らかに口元は笑っている。


ボクは、サビアスに向けて手で”よくやった!”とサインを送った。


「つ…土魔法が得意なようだな、この学園の生徒は…」

「土魔法『も』得意ですよ…カッサリル師団長。」


ボク達4人は風魔法組へと移動する。


「これはカッサリル師団長様じゃないですか、ようこそいらっしゃいました。」

ザンビアス先生が長い髪をなびかせながら挨拶をする。


「ちょっと見学に来ただけだ。気にせずに続けよ。」

カッサリル師団長が冷たく言葉を返す。


ここでも生徒達が普通に中級風魔法を行使している。


「カミュアシーズ君、皆さんにお手本を見せてあげて。」

何も知らないザンビアス先生が、師団長に良いところを見せようとしたのだろう。


「はい、先生♪」


「風魔法 上級…艶花の乱舞!」

無数の真紅の花が舞い、ターゲットである大木(たいぼく)へと向かいぶつかる。

毒を持つその花達に包まれた大木は煙を上げながら枯れ果てていった。


「な…こんな魔法、見たことも聞いたこともないぞ!」

「君!是非、ウチの魔法師団に入りたまえ!」

カッサリル師団長は本来の目的を忘れたのか突然、勧誘を始めた。


「あ、オレはここを卒業したら実家を継ぐので無理です。」

カミュアは、あっさりと断る。


「あー、そうだった、悪かった、自己紹介をし忘れていた。私は第一魔法師団長のカッサリルだ。君を第一魔法師へと迎え入れる。」

師団長は両手を広げてアピールを行う。


「いや…戻らないと母上に怒られるので…」

カミュアは、まったく動じない。


その後も押し問答を繰り広げていたが、ファスマス先生に止められて、水魔法組へと移動をする。


水魔法組でも、ほとんどの生徒達が中級魔法を放っている。


それを見るカッサリル師団長も、もう動じていない。

「上級水魔法を使う生徒も居るのかね?」


ファスマス先生はイリエを呼んだ。


「あ、マイトくんとヤエノ、おかえりー。」

「ただいまイリエさん、この方がキミの上級魔法が見たいのだって。お願い出来る?」


「はーい。」

イリエはあっさりと受諾する。


「水魔法…上級 水虎の氷槍!」

空中に作られた美しい輝きを放つ氷の槍。

イリエは大きく腕を振り、その槍をターゲットに向けて投げ込んだ!


ずどーん!


ターゲットに作られていた氷の山は粉々に砕け散った。


「素晴らしい!素晴らしい完成度だよ、君!」

カッサリル師団長がイリエの手を握る。

「是非、我が第一魔法師団に入りたまえ。歓迎するぞ。」


「え?え?何?」

イリエは驚きながら、ボク達の方を見る。


「カッサリル師団長…貴方は一体、何をしに来たのですか?」

ファスマス先生が呆れたように言う。


イリエに対し、一方的に話をしていたカッサリル師団長は静かになった。


「火魔法組も見るかね?」

「あぁ、もう良いよ。それよりも話がしたい。」


カッサリル師団長はファスマス先生の部屋へと向かい歩いて行った。


やっと解放されたボクとヤエノは遅い昼食を取るため食堂へと向かう。

イリエもついてきた。


「王城で、何かあったの?」

イリエの質問に、ボクとヤエノは顔を見合わせた後、話始める。


「王様が突然、ボクとヤエノに対して軍の魔法師団に加わるように言い出したんだ。この前の魔族の襲撃で魔法師団の人数が減ってしまったので人員を補填(ほてん)したいとの事でね。」

「それを聞いたアルマが謁見会場で暴れ出しちゃってね、場を取り成す為にファスマス先生が学園の生徒で魔法師団を結成すると提案したんだ。」

「で、今、『学園の生徒なんかで魔法師団なんて任せられるか!』となって、カッサリル第一魔法師団長が視察に来たんだよ。」


昼食を取りながら、イリエに説明をする。

「ふーん、要するに魔法科が軍に所属するって事なのかな?」

「そういう事だね、魔族がまた襲ってくる状況だから、このファスマス先生の提案も必要だった事なのかもしれない。」

ボクが答えると、ヤエノが続けた。

「もし、さっきのカッサリル師団長が、魔法科で師団を作るなんて無理だと判断したら、私とマイトだけ魔法師団に入団。ファスマス先生は牢獄行きって話になったんだ。」


「えー、牢獄行きって…酷い話ね。それなら、魔法科が軍に所属するって話にも賛成だわ。」

イリエは少し怒りながら言った。

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