魔法訓練 2
「火魔法…炎の槍!」
マイトが叫ぶ。
空中に浮かぶ炎を纏った2メートル程の一筋の槍。
近くにいるだけで熱波を感じる。
片腕を降り、岩山へと槍を投げ込むと轟音と共に岩山の一部を砕いた。
「水魔法…氷の剣舞!」
美しくも妖艶な水色を帯びた10本の氷の剣が各々に意志があるように空中で舞っている。
手のひらを頭上に掲げ、10本の指を岩山へと向けると氷の剣達が舞ながら岩山へと突き刺さる。
「風魔法・・・竜巻!」
マイトが両腕を高く天に向けて上げると腕から風が円状に広がっていく。
轟音が響き渡る草原。
ゆっくりと岩山に向けて渦巻いた風を解き放つと岩山にヒビが入る。
「土魔法・・・岩石崩し!」
地面から舞い上がったいくつもの砂や土が一つの塊となり石となり、さらに大きくなっていく。
直径3メートルほどの大きさとなったところで、その岩石を岩山へとぶつける。
衝撃波と共に岩山は粉砕され、砂煙が舞った。
やったよ!アルマ!
岩山を粉砕させたよ!!
魔族であるアルマと契約したおかげで、ボクの魔力は格段に成長し、岩山をも粉砕させる程の上級魔法を使えるまでになった。
喜ぶボクを見つながらアルマは言った。
「私が教えたとは言え、完全に想像を超えているわ…コレはおかしなレベルね」
そう呟くと困った顔をしてボクの目を見つめる。
今日は学校が休みだったので、
遠くの山まで魔法の練習をしにやってきたのだ。
ここなら思いっきり練習が出来ると思い、
ひらけた場所にあった岩山に今出来る全力の魔法をぶつけたのだ。
「うーん、王国軍所属の一流魔法使いレベルじゃないかしら?」
アルマのその言葉にボクは驚く。
一流の魔法使いなどまったく知らないけど、ボクが強いという事だ。
嬉しくなって、ついニヤついてしまう。
「強いのは良いけど…。」
「親が強い魔法使いとかなら理由も分かるけど、なんの変哲もない村出身のキミがこの力を持っている説明がつかないのよ。」
確かに、ボクは木こりの父と、手芸が得意な母を持つ単なる村人の子供。貴族でも何でもない。何故、村の中でボクにだけ魔力があるのかも分からない。
「大人は得体の知れない力を恐れるものなの。強さを探られ、もし魔族と契約した事を知られたら…。」
アルマの言葉に背筋が凍りついた。
確かに、そうだ。
ボクは初級魔法しか使えなかったのに、魔族であるアルマと契約して上級魔法をも使えるようになったんだ。
もし、王国軍に知られたら…。
「ねぇマイト、大人になるまで、この力は隠しておいた方が良さそうね。」
アルマの言葉に、ボクは高速で首を縦に振る。
なんだか一気に疲れを感じたので
座ってお母さんが作ってくれたお昼ごはんを食べる事にした。
その時
「キャーーーーー」
この声は。。。妹のサフィアだ!
ボクは急いで声のした方へと走り出した。