デマント防衛戦 3
行動力を制限させる事に成功した巨大トカゲを騎士団に任せて、爆発音がした街の中心へと走るボクとアルマ。
大型の角サイが通った後の、街の建物は壊されていて瓦礫が散乱している。
住人の多くは避難していると思われるが、全員が避難出来たのかは分からない。
ズドーーーン!
また、大きな爆発音が聞こえた。
何かが光ったようにも見える。
音がした方へと急ぐと、そこには角サイと対峙する学園の生徒達が居た。
魔法科に加えて、剣士科、薬師科の生徒達まで集まっている。
魔法科の生徒が、それぞれの魔法を繰り出す。
が、角サイが動じる気配は無く、その赤い目で生徒たちをにらむ。
次に剣士科が号令にて連携と取り一斉に4本の足を攻撃する。
が、こちらの攻撃も有効打を与えられない。
すると…角サイの角が光始めた…
ズドドーン!!
角から稲妻が放たれ、爆音が街中に響く。
剣士科の生徒が倒れつつ、慌てて後退する。
近くの建物の一部からは火災が発生し、それを薬師科の生徒達が消化している。
「ファスマス先生!」
ボクは先生を見つけて駆け寄る。
「マイトラクスくん、無事だったか!」
「先生、どういう状況ですか?」
「あのサイの電撃攻撃が強烈で近づく事も困難だ。王都に軍の要請依頼をしているが、連絡が来ない。」
「マイトラクス君、防衛騎士団の状況を知っているか?」
「はい、1体の大型の獣と対峙しています。が、もう少しで倒せると思います。」
「そうか、では騎士団が来るまで、なんとかここで足止めさせよう。」
ボクは角サイの姿が良く見えるように、建物に登り高い位置へと移動した。
白い大きな巨体で、固そうな雰囲気は無い。
剣がよく通りそうだが、近づけないとなると難しいか。
「アルマ、どう思う?」
「相手が電撃系を使うとなると、水属性魔法はダメね。たぶん…土属性の相性が良いかと」
「よし、やってみるか。」
「召喚獣展開…岩王の巨人!」
角サイの頭上に土魔法にて、岩を構築…両足、両腕、胴、頭、すべて硬い岩石にて構築し形作った。
そして、そのまま"岩王の巨人"を角サイの体の上へと落下させる。
ドォーン!
「ぶぉぉぉーん」
角サイが苦しそうな鳴き声をあげながら暴れる。
召喚獣を振り落とされたが、ダメージは受けていない。
"岩王の巨人"を角サイの正面に立たせて対峙させると、サイの角が光始めた…
ズドドーン!
角サイの雷がボクが作り出した召喚獣へと落ちる。
プスス…岩の体から煙を上げるものダメージは受けない。
「マイト、召喚獣が敵だと思われるかも!?」
よく見ると周りに居る学園の生徒達が困惑している事が分かった。
「あ、そうか…アルマ、ありがとう。」
「その巨人は仲間です!ボクの召喚獣です!」
そう叫ぶと周りから歓声が上がった。
召喚獣"岩王の巨人"の右腕を動かして角サイにぶつける。
ズドン。
少し後退りしたが角サイは後ろ足を踏ん張って耐えた。
次に左腕を動かして角サイにぶつける。
ズドン。
角サイはこの攻撃力も耐えると、すぐに前傾姿勢を取り前足で地面をかく。
次の瞬間、勢いをつけて召喚獣へと突進っ。
ズドーン。
召喚獣は、胸の一部の岩石が崩れ落ちた。
「あぁぁ」
周りから落胆の声が聞こえる。
「マイトくん!」
ボクが居た建物の屋上に上がってきたのはイリエとヤエノだ。
「あっちの亀とトカゲは?」
「二人共、無事で良かった!亀は倒した、トカゲは騎士団が倒した頃かな。」
「流石ね!こっちのサイはどう?何か手伝えそうな事はある?」
「正直言って、勝算が見出せていないんだ。あの破壊力と雷は厄介だ。」
手伝いを申し出てくれたイリエに対し、現状を使える。
こうしている間も魔法科の生徒達が、角サイに対して遠方から攻撃を加えている。が、遠方からの攻撃の為、威力が落ちている。
剣士科の生徒達に至っては近づけずに待機している状況だ。
「うーん、すべてはあの雷攻撃か。」
「って事は…あの角を攻めてみるよ。」
そう言うと少し後ろに下がらせていた召喚獣を一気に前へと動かす。
ズーン。
ぶつかり合う角サイと召喚獣"岩王の巨人"
サイの角を掴もう右腕を出すも首を振って避けられる。
「がぅぅ」
逆に右腕を噛まれ、身動きが取れない状態になってしまった。
「援護する!」
ヤエノが叫ぶと、火魔法を繰り出した。
「我々も援護を!サイの頭を狙うんだ!」
路上に居るファスマス先生が指揮を出し、魔法科の生徒が一斉に魔法を繰り出す。
「オレ達も行くぞ!サイの前足を狙え!」
叫んだのは剣士科下級組の酔っ払い先生だ!
ナイサンスールが後に続いて足に剣を振る。
剣士科上級組のサモハン、ジンハイトも強烈な攻撃を繰り出す。
サイの角がまた光始める。
「くっ、させるか!」
召喚獣の口を開けると石の弾撃を角に向けて発射させる。
ズドドドドドド
ダメージは与えられなかったが雷な発射は防ぐ事が出来たようで、角から光が消えた。
魔法科の生徒がサイの頭部を、
剣士科の生徒がサイの前足を、
それぞれ攻撃を加える。
サイは召喚獣の右腕を噛んだまま離さない。
こう着状態がしばらく続いたが…
ズーン。
角サイの前足が崩れ落ちた。
「攻撃を続けろ!」
剣士科の先生が鼓舞する。
「火魔法…上級 炎帝の双璧!」
「ぐわぁぁ」
角サイがヤエノの渾身の上級魔法に堪らず声を上げ、口を開けた。
「よし、腕が外れた!」
召喚獣"岩王の巨人"の両手でサイの角を握る…
バキッ
角を折られたサイは怒り狂ったような遠吠えを上げる。
そこにナズーム隊長率いる騎士団が到着。
「この巨人は…敵か!?」
そう思われるのも仕方ないか。
ボクは赤い魔法陣を作り出し、召喚獣をその中へと消えさせた。
雷を撃てなくなった角の折れたサイは、騎士団と学園の生徒達の手によって崩れ落ちた。
サイを囲んで、みんなが歓声を上げる。
薬師科の生徒達は怪我人の治療に当たっている。
「マイトラクスくん、ありがとう。」
ファスマス先生が感謝の言葉を送ってくれた。
「マイトくんの召喚獣、凄いでしょ!」
何故か、イリエとヤエノが自慢する。
「あー、召喚獣がこんなにも凄いとは知らなかったよ。」
本当は魔法の塊。先生を騙しているようで気が引けた。
召喚獣を使い魔法を行使する事で、ボクは自分の高い魔法能力を隠している。
魔族であるアルマと契約した事で魔力が高まった事を隠す為だ。
「アルマもお疲れ様。」
隣に居るアルマに声を掛けると彼女の顔がこわばっている事に気づいた。
遠くの方…一点を凝視している。
「アルマ、どうしたの?」
ボクが問いかけると、遠くの方を見つめながらアルマは答えた。
「魔族よ…」
慌ててアルマが見つめる方向を見る。
イリエとヤエノもそちらの方向に目を向けた。
そこには全身、黒い服をまとった男が立つ。
その赤い目を見ると、背筋が凍るような気持ちになった。
ニヤリと笑う魔族
「我が魔獣を倒すとは、なかなかやるじゃないか!」
ボク達を見ながら、その魔族は声を上げる。
なんて禍々しく、そして大きな声なのだろうか。
空気が振動するかのように響く。
喜びあっていた騎士団達、学園の先生、生徒達も魔族の声に気づき、その声の主を見つめる。
「今日は、ほんの挨拶だ。いつまでも人族の思い通りになると思うなよ!」
魔族は再び大きな声を上げた後、すっとその姿を消した。
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