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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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剣士科のユキアノ

今、ボクは馬車に揺られている。


合同野外演習の日がやってきた。


魔法科からラブラリルとボクの2人、

剣士科からは3人の生徒が参加していて、1人は女生徒だ。

ショートカットで華奢(きゃしゃ)な雰囲気。

女子生徒と反対にとても体格の良い男子生徒が2人。

そして薬師科からは、小柄な男の子が参加している。

小柄なラブラリルも加わっているのでデコボコな感じのパーティーだ。


一通り自己紹介を終えた後、馬車に乗り込み今は演習場へと向かっている道中。

「野外演習では強い獣は出ないのですか?」

初めて演習に参加するラブラリルに尋ねられた。

「演習地は先生方によって管理されているからね、地図外に出ない限りは強い獣は出ないよ。」

「いえ、少しは強い獣が出た方が楽しいかなーっと思って。」

ボクはラブラリルが不安がっているのかと思い、安心させようと言葉を選んだが逆だったようだ。


「ちょっと質問しても良いかな?…マイトラクス君は強いのに何故、剣士科を選ばなかったのだい?」

ずっと下を向いていたザンバラスと名乗った大柄な生徒が口を開いた。


「いえ、ボクはそんなに強くないですよ。あの剣士科との決闘はまぐれです。」

「いや、まぐれっておかしいだろ?オレは君の姿を目で追う事が出来なかったぞ。あんな事は初めてだ。辞められてしまったが…カブリマル先生が弱いなんて事は決して無い。お前は魔法科なんかより絶対に剣士科へと来るべきだ!」

ザンバラスは少し強めの口調で早口で言った。


剣士としての力量があると思われているようだが、実は光魔法で身体強化していたなんて事はルール違反なので言えない。

それどころか失われた光魔法の存在も誰も知らない事だ。


「おい、ザンバラス。いいかげん、剣士科より魔法科を下に見るのを止めろ。偏見だぞ。」

ボクが剣士科に来るべきだ!とい質問に対して、どのように返答しようかと考えていると、ユキアノと名乗った女子生徒が口を挟んだ。


「実際、王立軍でも魔法師より剣士の方が活躍しているじゃないか。」

ザンバラスは、さぞ当たり前かのように言うと、もう一人の大柄の剣士科の生徒もうなずいている。


「はぁ…今の軍は剣士の人数が魔法師の2倍以上居ると聞く。剣士の活躍の方が多く耳に入るのは当たり前だろ。」

ユキアノが二人をなだめるように言う。


「魔法師は…凄いんですよ!400年前の魔族との戦いでもトルナシア様が居たから人族は助かったって!」

突然、ラブラリルが大きな声を出した。小さな馬車の中だから、その声が響き渡る。


「いや、その400年前の戦いの時も、剣士が活躍したと聞いている。それなのに、あのトルナシアばかりが持てはやされている。おかしいだろ!」

ザンバラスとラブラリルが言い争う。


飛びかかろうとするラブラリルをボクが抑える。

同じくザンバラスをユキアノが体を張ってブロックする。


「まぁまぁ、お二人とも冷静に。剣士も魔法師も両方、凄いですから。」

薬師科の男子生徒、ハルサーノが二人に落ち着くように説得する。


ハルサーノのおかげで口喧嘩は収まったが、馬車内の空気は最悪だった。


演習場までの移動時間がこんなにも長く感じたのは初めてだ。

にしても、ラブラリルがこんなにも好戦的だとは知らなかったな。


演習場に到着。

今回は、冷静なユキアノにリーダーを任せる事にして、地図を持ってもらった。

この演習では、それぞれの班が指定された目的地へとに向かう。


ザンバラスとラブラリルは未だにお互いにけん制し合っている。


盾を持つ大柄な剣士科の男子生徒二人が前を歩き、その後ろを剣士科の生徒ユキアノと薬師科のハルサーノ。

さらにその後ろをボクとラブラリルが続くといった布陣を組んで進む。


しばらくするとイノシシ型の獣が3体、現れた。

先生方がどうやって仕組んでいるのかは分からないが、獣3体が1組となり行動してくる。


相対する獣はパワーがあり、油断できない。


「魔法科の二人は右の1体を頼みます!」

「薬師科はこの二人の背後で待機。」

ユキアノが指揮を繰り出す。


ボクとラブラリルは右に流れた。

「ラブラリル、攻撃は任せる。ボクは防御に専念する。」

「はい、分かりました!」

彼女の声が響き渡る。


前線では、剣士科の3人が連携と取っている。

二人の男子生徒が盾で2体の獣の攻撃を防いだと思ったら、二人の背後からユキアノが大きくジャンプした。


ふわっ…半円型を描いて空中を舞うユキアノ。

太陽の光が彼女の甲冑を(きら)めかせる。


シュシュシュン


え?二刀流??

ユキアノは2本の細い剣を風を切るような速度で振るった。


イノシシ型の獣2体は一瞬にして倒れた。


「凄い…」

ボクは思わず口にする。


「え?私、そんなに凄かったですか?」

満面の笑みでラブラリルが振り返った。


見るとボク達が請け負った獣が倒れている。

嬉しそうにこちらを見るラブラリルに対して、まさか見ていなかったとは言えず、ボクは嘘をついた。

「す…凄かったよ…」


「なかなか、やるわね♪」

ユキアノがラブラリルを褒める。

が、大柄の二人の剣士科生徒は黙ったままだ。


「さて、進みましょうか。」

薬師科のハルサーノが場の空気を変える。


ラブラリルは不満そうな顔をしたまま隊列の後に続いた。


次に現れたのはオオカミ型の獣だった。

先程と同じように3体が1組となって現れる。


ユキアノは先程と同じように指示を送る。


が…木の上からサル型の獣が3体現れた。

2組の獣が同時に現れるのは…野外演習では初めての事だな。


「ユキアノさん、どうする?」

ボクはリーダーであるユキアノに判断を(ゆだ)ねた。


「オオカミ型の獣は剣士科が引く受ける。サル型の獣を魔法科で頼んだ!」

「分かった!」

ボクは返事をすると、ラブラリルと共に攻撃に移る。


「土魔法…石弾!」

「水魔法…中級 氷結!」

ラブラリルが一体の獣に攻撃を加える。が、当たり所が悪く、動きを封じるのみに留まる。

ボクの魔法を受けた獣は凍り付いて、地面へと落下してその身体をバラバラにさせた。


と、その時…なんと3組目の獣が現れた。

ヘビ型の獣だ。速度が速い上に毒を持っている。


「おい、もう一組、そっちに行ったぞ!」

ボクはオオカミ型の獣と対峙している剣士科の生徒達へと叫んだ。が、聞こえていないようだ。


「剣士科さん!ヘビ型の獣がそちらに向かいました!」

ラブラリルがよく通る声で叫ぶと、剣士科の3人が気づいた。


6体の獣を剣士科3人で相手にしなければならない。

「マズイな…」

ラブラリル一人に残る2体のサル型の獣を対峙させる訳にはいかない。


「マイトさん、あっちに行ってください。この2体は私が倒します!」

「一体、撃ち損じたのは私です。けじめを付けます!」


確かに、ラブラリルが一体を的確に倒していれば、サル型の獣は残り一体を残すのみだった。


「ラブラリル…残り2体を頼んだぞ!」

ボクは彼女を信じる事にした。


薬師科のハルサーノは、さらに後方へと下がり剣士科の行く末を見守っている。

無理せずに万が一の際の治療に備える…良い判断だ。


ボクは剣士科3人の後方へと入った。


「風魔法…中級 風刃!」

ヘビ型の獣一体を切り裂く。


が…ユキアノが倒れているのが目に入った。


「ユキアノさん!」


叫びながら観察すると、オオカミ型の獣2体、ヘビ型の獣2体がまだ残っているようだ。

残った大柄の剣士科二人は盾を捨てて、攻撃に専念している。


オオカミ型の獣2体がザンバラスに攻撃を加える。

ヘビ型の獣2体がもう一人の剣士科の男に攻撃を加える。


「ぐわっ」ヘビ型の獣と対峙していた剣士科の男が噛まれた。


これは…やるしかないな。

ボクは詠唱を唱え始める。


「土魔法…上級 大地の憤怒!」

大地が震え始め、地面が鼓動をし始める。


どどぉーん、岩の剣山が地面から突き出し、オオカミ型の獣2体、ヘビ型の獣2体を串刺しにした。


「あ…ごめん。」

ザンバラスも危うく串刺しにするところだった。いや、決してわざとではない。


ラブラリルが2体のサル型の獣を倒したようで、こちらに向かって走ってきた。

「なんですか?さっきの地震のような揺れは?あ…」


剣山に鎧の一部を貫かれて、空中で暴れているザンバラスを見て、ラブラリルは口を開けたまま固まってる。

「ちょっと…手元が狂った。」

ボクはザンバラスを助ける為に、さらに魔法を行使する。


いつの間にか薬師科のハルサーノがユキアノの治療に入っている。

流石、専門職の動きは早く、それでいて的確だ。

「ユキアノさんは、毒に侵されています!」

ハルサーノが叫ぶ。


「ハルサーノ君、もう一人もヘビ型の獣に噛まれていた!」


「こちらは、私に任せなさい。」

急に現れたのは、おっちょこちょいな薬師科の科長先生だ。


「あ、先生!よろしくお願いします。」

二人で治療に当たる間、ザンバラスは心配そうに二人を見ている。


「マイトラクス君、先程は助かった。」

ザンバラスの言葉にボクは謙遜する。

「ただ…剣士が魔法師に比べて劣っているとは考えない。」


随分と飛躍した考えだなと思い、

「剣士、魔法師、どちらか一方が優れていなければならない。いう考え、ボクは嫌だな。」

と、答えた。


ザンバラスは腕を組みながら黙っている。


と…その時、空に緑色の煙が舞った。

「あ…あれは、訓練中止の合図。」

ハルサーノが言う。


ボクはこっそりと呪文を唱えた。

「光魔法…毒回復!毒回復!」


毒に侵されていた剣士科の二人はゆっくりと起き、薬師科の先生とハルサーノ君にお礼を伝えた。

「え?随分と早く効いたわね。」


「まぁいいわ、何かあったようね。急いで戻りましょう。」

薬師科長の先生はそう言うと、急いで出発地点へと走って戻った。


ファスマス先生がそこに居て、ボク達の班に伝えてきた。

「みなさん、落ち着いて聞いて欲しい。」

「先程、連絡が入った。デマントの街が大きな獣に襲われているらしい。」

「街の騎士団からの依頼で、街の住人を学園へ避難するように誘導せよ。との事だ!心してかかれ!」


ボク達5人は急いで馬車へと乗り込み、デマントの街へと向かった。

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