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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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剣士科との決闘 3

さて…行くか。


ボクはイリエが使う予定だった水属性の魔法剣を手にする。

剣に魔力を流すと水色だった剣は一瞬、青色へと変化したが、すぐにまた水色へと戻ってしまった。


「やはり魔力を抑制させられているな…」


演習場の上から審判員の先生が早く上がるようにと催促をしてくる。

アルマが審判員が腰に下げた鞄を凝視する。今にも飛びかかってしまいそうな雰囲気だ。


演習場の横にある階段をゆっくりと登り、円形の中心付近へと向かった。


「魔法科代表、マイトラクス!」

「剣士科代表、ジンハイト・アーノルド!」

名乗り合いながら、ジッと目を合わす。


「…久しぶりだな。」


昨年、ヤエノと揉めていたところに出会(でくわ)したのが最初だった。その後、合同野外演習で同じ班となり、魔獣と戦った事を思い出す。

我儘(わがまま)な部分がある男だがジンハイトが強い事は確かだ。


「始めっ!」


ジンハイトの突進で戦いの火蓋が切られた。

彼の体重が乗った攻撃を単なる木剣と化した魔法剣で受け止める。


「くっ、重い。」

酔っ払い先生に下半身を鍛えて貰っていなければ初撃で吹き飛ばされていたところだ。


直線的な攻撃には、円を描くようにして(かわ)す。


相変わらず直線的な攻撃を続けるジンハイトだが、一撃一撃のスピードと破壊力は以前よりも増している。


どんっ


彼の大きく踏み込んで放った強烈な一撃がボクの脇腹をかすめた。


「うっ!」

僅かだが脇腹付近が痛む。


「逃げてばかりでは俺を倒せないぞ!」

ジンハイトが放つ一撃一撃をボクは横方向へと流れる動きで避けていく。


…今だ!


ジンハイトの一撃に合わせて斜め後方へと飛んだ。

「あぅっ」

審判員の先生にぶつかり、寄りかかるようにして倒れ込む。


パキンッ


倒れた拍子にボクは魔法剣の持ち手部分を審判員の腰にある鞄へとぶつけた。


審判員の先生の顔が青ざめる。


「あ、すみません、何か割れちゃいました?」

すっとぼけた声で言うが笑みを浮かべてしまった。


「ちょっとストップで。」


ボクは起き上がり、そう伝えると審判員の先生の手を取り、立ち上がらせて耳打ちをする。

「すべて、分かっていますので。」


ジンハイトに向き直した。


「お待たせ。」

そう伝えると次はボクの方から踏み込み、魔法剣を上段から振り下ろす。


ガンッ


深い青色へと変化し氷の息吹を伴った魔法剣が、ジンバイトの木剣と激突し、鈍い音が響き渡る。


「くっ」

魔法剣の威力に押され、彼の足がよろめく。


さらに一歩、足を踏み出し次は下段から剣を振り上げる。


ゴンッ


ジンハイトは辛うじて木剣で氷の攻撃を防いだ。


急にボクの動きが良くなった為か、剣士科の生徒達が押し黙る。


「マイトくん、頑張って!」

イリエの声が響き渡る。


「しっかりせんか!お前が出たいというから出したのだろう!」

近くまで駆け寄ってきた剣士科の髭の先生が声を張り上げる。


ジンハイトはギロリと先生を睨んだ後、何も言わずにボクの方へと向き直した。


「ぬぉ〜」

剣を大きく振りかぶるジンハイト。


うん、構えが大きすぎる…ボクは魔法剣に魔力を充填させる。


ガッキンッ


ジンハイトの剣を弾き飛ばし、ボクは彼の懐へと入り込んで返す刀で腹部を捕らえた。


ドンっ


ボクの渾身の魔法剣を受けたジンハイトはその場にうずくまり膝をつく。

「かはっ」


彼が持っていた木剣は場外へと転がり落ち、彼はうつむいたまま動けずに居る。


ようやく顔を上げた彼は一言だけ発した。

「参った。」


ゆっくりと立ち上がり演習場を後にする彼の背中を見つめる。


場内は静寂に包まれた。


「審判員さん。」

ボクが呟くと、小さな声で彼は言う。


「勝者…魔法科。」


魔法科の生徒たちの中から歓声が上がる。


と、ヤザナス伯爵の坊ちゃんがボクを睨みつけて言った。

「次だ!次が勝負だ!」


ボクは彼を見つめて言う。

「さぁ、勝負だね。上がっておいで。」


すると彼はニンマリと口を歪める。


「キミと戦うのは私だ。」

あの髭を生やした剣士科の先生が演習場へと上がってきた。


「えっ?先生?予定表によれば…そこの伯爵子息が相手じゃないのか?」


「お前だって、予定表と違っていたではないか。こちらもメンバー変更だ。」


「おい!教師が出るのはおかしいだろう!?」

前方に座るファスマス先生が叫ぶ。


「教師が出てはいけないというルールは無い、それとも教師同士で戦おうか?ファスマス君。」

「…ぐっ」


「先生方、ボクなら大丈夫です!」

学園長先生が立ち上がり何かを言おうとしたのをボクは制した。


ボクは一旦、演習場から降りてイリエの前に立ち、水属性の魔法剣を手渡した。

イリエはその剣を受け取ると、代わりに風属性の魔法剣をそっとボクに手渡す。

が、ボクはその剣の受け取りを断った。


10歩ほど歩き、転がっているジンハイトが使っていた木剣を手に取った。

「うん、これで十分だ。」


木剣を持ち、ゆっくりと演習場へと戻った。


「おい、気でも狂ったのか?この剣士科教師の俺相手に木剣で戦おうと言うのか?」


笑いながら言う剣士科の髭の先生。


「あーそうだ、対等になって良いだろ?」

ボクも笑みを浮かべて言い返す。


「くっ、生意気な!合図をしろ!」

慌てて審判員の先生が開始の号令を伝える。


髭の先生は、ゆっくりとこちらに向かう。


「光魔法…視力強化。」

「光魔法…感覚強化。」

「光魔法…筋力強化。」

「光魔法…体幹補正。」

「光魔法…処理補正。」


「おい、何をブツブツと言っているんだ?気持ち悪いヤツだ。」


そう言いながら髭先生は切り込んで来る。


ブ………ン………


髭の先生がゆっくりとした動作で腕を振り下ろす。

実際は早いのだろうが、ボクは自分自身にかけた身体強化の光魔法により相手の動きがゆっくりに見えていた。

ボクは剣を持つ先生の腕を掴んでグッと握った…筋力強化の魔法をかけた手で…


「あぅ」

悲鳴にも似た情けない声を出して、先生は剣を落とした。


カランッ


「はい、先生…剣を落としましたよ。」

落とした木剣を先生に差し出す。


「あ、あぁ。」

剣を受け取った先生は一旦後ろへと下がり、中段に剣を持ちなおすと…


「やぁっ!」

すり足で間合いを詰め、剣を水平に振り回す。


振り回された剣の下をくぐり、先生の背中へと移動したボクは木剣で先生の背中を叩いた。


先生は慌てて振り返る。


ドッドッドッドッドッ


ボクはニコッと笑うと木剣で先生の右腕、左腕、右脚、左脚、そして胴部を連打した。


「うごっ」


四つん這いになり冷や汗を流す先生。


魔法科の生徒達の大歓声が聞こえる。

剣士科の生徒達は静まり返っている。


「なんだ?何者だ、お前は?」


改めて聞かれても、なんと返事をして良いのか分からずボクは質問に答えずにいた。


「何か卑怯な手を使ったんだろ!?」

そう喚きながら、ヤザナス伯爵のお坊ちゃんが演習場へと上がってきた。


「おい、反則では…?」

と、言いかけたが反対方向からイリエが登ってくる。


審判員の先生は、オロオロとするだけでまったく審判の意味を成さなくなっていた。


イリエはキリッとした顔つきで、両手で水属性の魔法剣を持ち、ヤザナス伯爵のお坊ちゃんと対峙した。


「お前!俺に剣を向けたら、商会との取引は停止させるぞ。」


そう叫んだ声を聞いた観客の生徒達がザワザワと騒ぎ出す。


「そうなったら…あなたを氷漬けにしてくれるわ。」

アルマに教育されたのだろうか…イリエが恐ろしい事を口走ると共にその身体からは冷気が漂う。


「やる気満々って事だな…イリエさん、そのショボイお坊ちゃんを頼んだ。」

そう言うとボクは髭の先生へと向きを直し、睨みつけた。


髭の先生は、木剣を構えてはいるが震えているようだ。


「残念だけど…容赦はしないよ…」

膝にタメを作って足を伸ばし、一気に加速。ぐんっ勢いをつけて剣を振るう。


ザン、ザン、ザン、ザン、ザン


光魔法により肉体強化したボクの5連撃により髭先生はゆっくりと前向きに倒れた。


カキンッ


隣に立つイリエも伯爵坊ちゃんの剣を吹き飛ばして一撃を与えた。


「ガブリマル先生!」審判員を務めていた先生が駆け寄る。

「へー、名前あったんだ。髭先生で良いじゃん。いや、こんな弱い人が先生だなんて、剣士科は有り得ないな。」

ボクは演習場に響き渡るように、大きな声で言い放った。


「お前ら!退学にしてやる!この国に居られなくしてやる!」

イリエの剣が顔に当たったのだろうか?

涙目になりながら頬を押さえながら、伯爵の坊ちゃんが騒ぎ立てる。


「ほぉ…優しいイリエじゃ物足りないか。このマイトラクスが相手をしてやろう。」

木剣をお坊ちゃんに向けて立つ。



その時、魔法科生徒の集団の中から大きな声が聞こえた。

「コンドルド・ヤザナス!」

ビシッとした軍の制服を着た男性が人混みの中から姿を現す。

隣には、カミュアがメガネを整えながら歩いている。

「やぁ、待たせちゃったね。」


「お、お兄様…」

なるほど、コンドルド・ヤザナスと呼ばれたのは、このお坊ちゃんか。


「お前は一体何をやっているんだ。家宝の魔力封じの宝珠まで持ち出したそうだが…そこに散らばる破片は何だ?」


ヤザナス伯爵のお坊ちゃんの顔が青ざめる。


「申し訳ございません。」

突然、土下座をしてお兄様と呼んだ相手に謝り出した。


「キミ達、私の弟が迷惑をかけてすまなかった。必要なお詫びがあれば後々、用意させよう。」


まさに貴族といった気品のある立ち振る舞いだ。


「いえ、僕達は平穏に学業に励む事が出来ればそれで良いです。」


「キミ、名前を聞いても良いかい?」


「マイトです。マイトラクスと言います。」


「私の名前はヤクトルド・ヤザナス。王国軍で第九騎士団の団長をしている。また会える日を楽しみにしているよ。」


ヤザナス伯爵のお坊ちゃんは、その兄に引きずられるようにして、連れられて行った。


「終わったね。」

イリエがニコリと笑顔を向けてくれた。


「おい、早く医務室に連れてけよ。」

ヤエノは痛そうにしているが、表情は晴々としていた。


「あぁ、もう魔法を使えるのだったわ。光魔法…回復。」

アルマがコッソリとヤエノに回復魔法を施す。


「もう、もっと早く治してよっ」

ヤエノが言うとボクたちは笑いあった。

~~~~~~~


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