剣士科との決闘 1
決闘の話が学園長室で行われた翌日、学園は大騒ぎになっていた。
剣士科vs、魔法科
この一大事に魔法科の生徒全員が興奮している。
講義堂、食堂、演習場、どこもかしこもその話で持ち切りだ。
まずは、3人の代表を選ぶとの事で
イリエ、ヤエノ、サビアス、カミュア、そしてボクがファスマス先生の部屋に集合した。
魔法科の4人の先生も揃っている。
「なんか大変な事になっていますねぇ。」
まず、カミュアが口火を開いた。
「うむ…剣士科の連中に乗せられてしまった雰囲気もあるが…」
そう言うファスマス先生にボクは質問をする。
「ところで決闘で使われる魔法剣って、どういったものなのですか?」
「まずは、そこからですね。」
「ドレイク先生、お持ちですか?」
水魔法組のドレイク先生が魔法剣と思われる剣を木箱から取り出した。
神秘的で美しい水色に輝くその剣を見ていると、吸い込まれるような錯覚に陥った。
「これが私の魔法剣です。剣で切るというより、剣に込めた魔法をぶつけるようにして使います。」
「マイトラクス君、持ってみますか?」
ドレイク先生の剣を手に持ち、教えられたように剣に魔力を流してみた。
すると、元々水色だった剣が青く光った。
「なるほど。」
剣に魔力が伝わると込めた魔法が宿るのを感じる。
剣を振ると、剣から氷の息吹が舞い上がる。
「これは…凄い。」
「魔法剣は、使い手の魔法適性と一致する必要があるのですか?」
ボクの質問にドレイク先生は、
「その認識で間違いはない。そして今この学園にある魔法剣は、この水魔法適性の剣だけだ。」
「となると…その魔法剣を使えるのはボクかイリエだけですね。」
「私、魔法科の為に頑張るわ!」
イリエが興奮気味に名乗りを上げた。
「ここに集められた生徒5人は上級魔法をも使える人材だ。魔法科の代表として胸を張って送り出せると我々は考えている。魔法科の生徒たちも納得し応援してくれるだろう。」
ファスマス先生が言い終えると、カミュアが口を開いた。
「オレは辞退させていただくよ。将来、貴族の家を継ぐ事になるからね。伯爵家と事を荒立てたくはないんだ。」
「そうか、それは仕方が無いな。」
ファスマス先生は残念そうに答えた。
「ただ…オレの家に風属性の魔法剣があるから、それを提供させていただくよ。適性的にマイトくんが使うと良い。」
「ありがたく使わさせて貰うよ。」
ボクはカミュアと握手を交わした。
「もう一枠は、私に任せて欲しい!この件の発端は私にあると思うから責任を取りたいの!」
ヤエノが手を挙げる。
「いや、あの傲慢な伯爵子息の事だ、ヤエノとトラブルにならなかったとしても他の誰かと揉めていたよ。」
「そして僕が代表に…と言いたいところだけど、この腕ではね…」
サビアスは、そう言うと代表の座をヤエノに譲った。
「となると、火属性の魔法剣の入手が必要だな。」
ファスマス先生が言うと、イリエが手を挙げた。
「商会で探して貰うように頼んでみるわ。」
「私も軍にいる両親に聞いてみる。」
ヤエノもやる気満々だ。
「あとは、剣の訓練方法ね…私たちではどうにもならないわ。」
風魔法組のザンビアス先生が言うと、
「確かに…」
と、他の先生達も声を唸らせた。
これは難しい問題だな…どうしたものかと先生方4人が頭を抱える。
ボクは少し迷った後、話を切り出す。
「剣士科に居る友達に相談してみようかと思うのですが…どうでしょう?」
「剣士科との対戦に剣士科の生徒の力を借りるってのか?」
ナズーム先生が驚く。
「もしかして、その友達というのは下級組の生徒かい?」
ドレイク先生の質問にボクはうなずく。
「下級組の生徒は、上級組に対して嫌悪感があると聞いた事があるわ。手助けしてくれるかも。」
「そういった話は聞いた事があるが、下級組の生徒は見捨てられていてロクな練習をしていないとも聞いている。」
ザンビアス先生の話は肯定されたが、ファスマス先生の負の情報でガッカリと肩を落とす。
解決策が出ないまま、お昼の時間となったので一旦解散となった。
ボク達5人は食堂に行き、相談を続けた。
「何もしないよりは、動きたいと思うんだ。剣士科のナイサンスールくんを訪ねてみるよ。」
「じゃぁ、私たちも行くわ。」
ボクが剣士科に行く事を告げるとイリエとヤエノも同行する事となり早速、午後から剣士科を訪れる事に決めた。
「じゃあオレは実家にある魔法剣をこちらに持ってくる為の手配をしてくるよ。」
「ボクはラブラリルさんと約束があるから失礼するよ。」
カミュアとサビアスは先に席を立った。
数ヶ月前、剣士科を訪れた時とは状況が違う。
下級組とは言え彼らは剣士科だし、頼みのナイサンスールがまだ居るとは限らない。
不安に思ったボクはアルマを召喚した。
「はいはい、付き添いますよ。」
ボクたちは久しぶりに剣士科、下級組の演習場へと来た。
良かった、ナイサンスールが居る。
彼は、喜んでボクたちを迎えてくれた。
「キミが居てくれて良かったよ。」
ボクが言うと、
「ははは、実は上級組への昇格試験には合格したのだけどね、僕は下級組に残ったのさ。」
上級組に行かなかった事に驚いていると、後ろから声を掛けられた。
「おい、お前たち!」
酒の匂いをさせたこの男性は、以前尋ねた時にも居たヤル気の無い下級組の先生だ。
「剣士科の生徒と決闘するって本当か!?」
嫌な人に見つかってしまったな…
「頑張れ!アイツらをブチのめしてしまえ!」
イリエとヤエノと共にポカンと口を開けてボクは固まった。
「え?どういう意味ですか?」
ボクの問いに酔っ払いの先生は答える。
「当たり前だろ!アイツらは平民出身だからという理由だけでオレを下級組の教師に任命したんだ。」
「怪我さえ無ければ、まだ軍に居たのに…ちくしょう!」
そういって、手に持った茶色い瓶を口に運ぶ。
瓶の中身は酒だな…
「で、どうやってアイツらを倒すんだ。剣で勝敗を決めるなんて、何か算段を持っているのだろ?」
「はい、実はその算段を相談しに来まして…」
ボクが答えると…
「なぁにぃー!?お前たちはバカなのか!?」
顔を寄せてきて叫ぶので酒臭いし、耳も痛い。
「対策も無しにそんな勝負を受けたのか?どう考えてもお前たちが不利じゃないか!?」
やる気の無い先生だと思っていたが、よくしゃべる人だな…
ボクは一歩後退する。
「先生、マイトくん達にも稽古をつけてあげれませんか?」
ナイサンスールが口添えをしてくれたが、この先生って…大丈夫なのかな。というのがボクの印象だ。
するとアルマが囁いてきた。
「この人族は、なかなかやるわよ。筋肉は衰えていそうだけど、動きに無駄が無いわ。」
アルマの話を聞いていたイリエとヤエノと目を合わせた後、ボクたち3人はこの剣士科下級組の酔っ払い先生に頭を下げた。
「先生、よろしくお願いします!」
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