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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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新年度の始まり

長期休暇を終えて、ボクは王国軍立学園へと帰ってきた。

思えば、この一年はとても早く感じた。

一年前に、この学園の敷地内に足を踏み入れた事を、ついこの間の事かのように思い出す。

いきなりヤエノが剣士科の生徒とトラブっていたのだったな。

ボクは、目を閉じて懐かしい思い出をまぶたの裏に映し出した。


「あー!?何を訳の分からない事を言っているのよ!?」

おかしいな、目を閉じて思い返していたつもりだが、すぐ近くでヤエノの声が聞こえる気がする。


いや…実際に居るな…


ボクはゆっくりと目を開けると、そこには赤髪長身の女子生徒…ヤエノが構える姿があった。


相対するのは、見知らぬ剣士科の生徒が4人。


「返り討ちにしてくれるわ。」

昨年のこの日、同じ状況で震えていたイリエは一年が経過し、堂々とした姿で言葉を放つ。


どうしよっかな…ボクが出ていかなくても大丈夫だろうが…

どちらかと言えば剣士科の生徒が怪我しないかが心配だ。


「どうかしたのかい?」

ボクはいざとなれば剣士科の生徒に防御魔法を行使しようと思い、近づいた。


剣士科の4人の生徒は…真新しい制服からすると新入生かな?


「この剣士科の小僧が、魔法科を馬鹿にしてきたのよ。」

うん、一年経ったけど何も成長してないよ…ヤエノさん。

一年前と同じような理由で喧嘩に発展しているよ。


「マイトくん、手加減するから大丈夫よ。」

イリエは随分と変わったな…間違った方に変わっちゃっているような気がするが。


「このクソ女ー!」

剣士科の新入生、4人が一斉にヤエノとイリエに切りかかった。

一応、木刀状の剣を使っているようだが…


「ふん…」


ヤエノの火魔法とイリエの水魔法が交差して、強烈な火力の魔法が剣士科4人組へとぶつかった。


「おいおい…」

ボクは慌てて風魔法を発動させ、吹き飛ぶ4人が頭を打たないように空中に浮遊させた。


ついでに、ちょっとクルクルと舞わせてみる。


ボクも魔法をバカにされると、ちょっと腹が立つのでね。


ゆっくりと着地はさせたが、4人は目を回したのだろう。

立ち上がれずにいた。


「ヤエノさん、イリエさん、行こうか。」


「この程度で…時間の無駄だったな。」

ヤエノは捨てセリフを吐いてボクの後ろに続いた。


ここまでする必要は無いかもしれなかったが、木刀とは言え女の子に4対2で襲いかかるなんて…


ボクは頭に血が上ってしまっていたようだ。


「マイトくん、久しぶりだね!」

やっと二人と挨拶らしい声を交わす。


「2人とも、元気そうだね!にしても、さっきの攻撃は凄く連携が取れてて良かったな。」


「ふふーん」

「実はね、帰省を早めに切り上げてイリエと2人で特訓をしていたんだ。」

ヤエノがイタズラっぽく言った。


「えー、そうなんだ。ご両親は寂しそうにしなかった?」

「私の両親は軍所属の魔法師だからね、実家に帰っても2人ともほぼ居なかったんだよ。」

「私も、魔法の練習をしたくてウズウズしてたから、嬉しかったわ。ヤエノと魔法の練習なんて、ほとんどした事が無かったしね。」

ヤエノの言葉にイリエが嬉しそうにしている。


なるほど…普段、火魔法組と水魔法組で分かれて練習をしているから、連携しての攻撃は未経験だったという事か。


「マイトくんは、帰省して何をしてたの?」

イリエの質問に対し、実家にある村の防衛柵を作る手伝いをしていた事を伝えた。

「大変だったわねぇ〜」と言うイリエに、

「いや、結構魔法の練習になったよ。繊細な魔力の流れを覚える訓練にちょうど良かった。」と返事をする。


「久しぶりー」

後ろからサビアスが声を掛けてきた。

なんか…日焼けしてて真っ黒だ。


「どうしたのさ、サビアス。」

ヤエノが目を丸くしながら聞く。


「休暇の後半は海に行ってね…砂の力を取り込んで、海を相手に土魔法を放ちまくってたんだ。」


「自主練習合宿だね。」

笑いながらイリエが言う。


「確かに…休暇は最初のウチだけで、途中から1人合宿してたわ」

サビアスも笑った。


「ところで、卒業した生徒は居たのかな?」

ボクは疑問に思っていた質問をすると、誰も分からないという。


「ねぇ、ファスマス先生の所に行ってみない?」

イリエの提案に4人は先生の部屋へと向かった。


「先生、忙しくないかしら?」

そう言いながらも部屋のドアをノックする。

以前に比べるとボクたちも随分と厚かましくなったな。と少し反省の念を覚える。


ゆっくりとドアが開くとすぐに、中からファスマス先生の顔が目に入った。


「おや、キミたちか…さぁ、どうぞ。」


いつものようにお茶を入れてくれる先生。

「今日のお茶は苦いからね、この砂糖を入れて甘さを自分好みに調節してみたまえ。」


うん、確かに苦味が強い。ボク達は砂糖を多めに入れたが、サビアスはストレートで飲んでも平気そうな顔をしている。


「どうだったかな?長期休みは有意義な日々を過ごせたかな?」

先生の質問にそれぞれが答えた。

ボクは久しぶりに訪れた村の事、村に防御柵が作られた事を伝えた。


「ところで先生、卒業した子は何人居たのですか?」

本題を切り出したのはイリエだった。


「ゼロ人だよ…」

先生は困った顔をしながら答えた。


「ゼロ…」

ボク達は顔を見合わせた。


「そうだ、長年ここで教師をしているが、こんな事は初めてだよ。魔法科所属の全員が学園で引き続き学びたいという結論を出したんだ。」


続けてイリエが質問をする。

「新入生も入るのですよね?」


「そうなんだ…今年も30名程の新入生を迎える事になってね。寮の部屋が足りなくなってしまったんだ。慌ててデマントの街に宿舎を借りる手配をしたよ。何人かの新入生はそこから通って貰う事になる。」


「王国軍からは何も言われなかったですか?」

ボクの問いに先生は、答えた。


「来年は必ず優秀な生徒を輩出するから待って欲しいと伝えてね。」

「すると今年の生徒は出来が悪いと勘違いされてね。軍で再教育するくらいなら、学園でちゃんと育ててから送って欲しいと告げられたよ。」

「勘違いしてくれたおかげで、まぁ…良かった。」


先生に迷惑がかかっていないかと不安だったボクは少し安堵した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日、今度はボク達が先生から呼び出された。

しかも、いつものファスマス先生と部屋ではなく、学園長先生の部屋へだ。


部屋の前に立ち、その荘厳な装飾が施されたドアに気押される。

ゆっくりとドアを開けて部屋に入ると学園長先生の他に、ファスマス先生と剣士科の先生も居た。

奥を見ると

昨日、ヤエノと言い争っていた剣士科の新入生4人が居る。


「コイツらだ!コイツらが昨日、僕に怪我をさせたヤツらだ!」

茶髪に赤い目をした剣士科の生徒が突然大声をあげる。


「魔法科には困った生徒が居るものですな、ヤザナス伯爵家のご子息に因縁を付けた挙句に怪我をせるとは…」

ファスマス先生の隣に立っていた剣士科の先生が鼻の下から伸びた髭を撫でながら話す。


「ヤ、ヤザナス…」

ヤエノとイリエはその家の事を知っているようで、言葉を途切れさせた。

サビアスに関しては、そもそも昨日あの場所に居なかったので意味がわからないハズだが、事の成り行きを察したようで困惑した表情だ。


ボクは伯爵家や貴族の事はさっぱり分からないので、何も言えずに思考を巡らせている。


ファスマス先生の顔を見ると青ざめている事が分かる。

学園長先生は、薄らと目を開けたまま動かない。


「さぁ、どうやって謝罪をするのかね。」

剣士科の先生が言う。


「謝っても許さないからな!」

ヤザナス伯爵の子息という新入生が言うと、後ろに居た3人組もまくし立てる。


….…


突然目の前に、赤い魔法陣が浮かび上がった。

これは…嫌な予感しかしない。


「何が謝罪よ!このボケナス共!灰にしてくれようか?」


登場すると同時にアルマが叫んだ。


が…その姿はとても魔族には見えず、変なウサギだ。

剣士科の先生が剣を構える。


「マズイ…」

ボクも咄嗟に呪文の詠唱を始める。


その時…「やめなさい!!」


学園長先生が大きな声を上げた。


ふぅ〜、と大きく息を吐いて話を続ける。

「ここは学園だ。伯爵も平民も関係ない。全員が私の大切な子供達だ。」

「問題は、魔法科の生徒が意味も無く剣士科の生徒に暴力を振るったのか?と言う一点だ。」


ヤエノが口を開く。

「先に切り掛かってきたのは、剣士科の生徒よ。」


「お前が生意気だからだ!」

ヤザナスのご子息とやらが声をあげる。


剣士科達から切り掛かったという事実をあっさりと白状した新入生達に対し、これはマズイと思ったのだろうか。


剣士科の先生がボク達を睨みつけながら言った。

「ヤザナス様、今日の所は引きましょう。まだ、学園生活は始まったばかりです。この者達に言い聞かせる機会は、いくらでもありましょう。」


4人の剣士科生徒は納得はしていなかったようだが、部屋から立ち去った。

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