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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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卒業検定試験 2

卒業検定試験を終え、ボクと4人の先生達はファスマス魔法科長の部屋に集まった。


先生方全員が頭を抱えている。

「今年の生徒は、一体どうなっているんだ。」

「全員が中級魔法を使っていたぞ。」

「中級魔法どころか上級魔法を使う生徒までいたわよ。」

「上級魔法って…誰が教えたのじゃ。」


アルマが目を逸らし、お茶を飲んでいる。


ため息をつく先生達が項垂うなだれる中、ボクは話を切り出した。

「で、合格の基準はどうしましょうか?」


「全員、中級魔法を使えるし、魔力も申し分なかった。全員、卒業検定合格…魔法科は崩壊だ。」

ファスマス先生が挙動不審な行動をしている。


「上級魔法を使えた生徒が合格という事にしたらどうかしら?」

風魔法組のザンビアス先生が提案する。


「それだと卒業生が4人だけになってしまうだろ。」

水魔法組のドレイク先生が言う。


「卒業生が少なすぎると軍から文句を言われそうじゃな。」

土魔法組のナズーム先生が困り顔を浮かべる。


4人揃って「うーん。」と唸っている。


答えが出なさそうなので、帰りたいな…と、思っていると、ボクの心を読んだアルマが言った。

「大丈夫よ。全員に卒業資格を与えても、問題無いわ。何人か残るわよ。」


先生方の顔が、パァっと明るくなった。

「おぉ、それだと全員を合格にしても問題無い。で、その根拠は何なのだい?」

ファスマス先生がアルマに尋ねた。


「ふっ…無いわ!召喚獣の勘よ!」


先生方はふたたび頭を抱えた。


場の空気に耐えられなくなったボクは

「すみません、ちょっと用事がありまして…」

と言い、席を立つと。


「イリエさん、ヤエノさん、サビアスくんの3人はまだ卒業せずに学園に残ると言ってましたよ。」

とだけ伝えて部屋から出た。


「あぁ、疲れた…」

遅くなったので、今日は誰にも顔を合わせず、自分の部屋へと帰る事にした。


帰宅後、アルマに魔力を提供しながら話をする。

「考えすぎなのよ、あの人族たちは。」

「学園の将来を不安に思うと仕方ないよ。」

ボクはアルマに言う。

「ただ、イリエ達は残るとしても…他のみんなが居なくなっちゃったら寂しいな。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


翌日、予定通りに卒業検定試験の合格者の発表が行われた。


その紙には…魔法科の生徒、全員の名前が書かれていた。

いや、先生に卒業しないと宣言していたボクだけの名前は無い。試験さえも受けていないのだから当然の事か。


「マイトくん。」

イリエが声を掛けてきた。

「昨日の卒業試験、私、どうだった?」

すんごい笑顔だ。


「アルマに聞いたよ、こっそり上級魔法を練習してたんだってね。」

「そうなの、上級はあの魔法しか使えないし、一度、行使した後は魔力が尽きちゃうけどね。」


「おーい、マイトー」

片手を大きく振りながら近づいて来たのはヤエノだ。

「へへーん、私の上級魔法、良かった?良かっただろ?」

こちらも、すんごい笑顔だ。

「うん、まんまとドッキリに引っかかった気分だよ。」

ボクは正直に感想を伝えた。


「卒業検定試験、全員が合格だったんだねー」

サビアスが感心したように言いながら歩いてきた。

話によると、みんなはボクが居ない時に秘密の演習場で上級魔法の特訓をしていたらしい。


「やぁ、君たちは本当に仲が良いねぇ。」

「あ、アルマさん、上級魔法を教えてくれてありがとう。」

メガネを光らせながらカミュアが話しかけてきた。

「センスが良かったから、教えただけよ。」

アルマはツンとしながら言う。


「カミュアくんは、学園を卒業するのかい?」

ボクが聞くと、カミュアはにこやかに答えた。

「オレは卒業したら家を継ぐ為に戻らないとならなくてね、まだまだ遊んで居たいから学園に残るよ。卒業検定試験には落ちた事にしといてくれ。」


貴族を継ぐのって大変なのかな。と心の中で思ったが口には出さずに苦笑いで返した。


「母上がボクの顔を見たいと言うので、長期休みでは一旦帰るけどね。」


カミュアが言うよつに試験が終わると、しばらく学園は長期休みに入る。

そのまま残って自主練習をしても良いらしいが、ボクは久しぶりに家族の元へと帰る事に決めていた。


ヤエノとサビアスも長期休み中は、実家に帰るらしい。イリエは実家暮らしだから特に変わりはなく、暇な時は学園に自主練習をしに来るかも、と言ったいた。


イリエから、小さくなって着れなくなったという服を数枚渡された。是非、ボクの妹に渡して欲しいと言う。

感謝の気持ちを伝えて受け取ると、それはとても上等な品だった。


実家へと旅立つ前、来年度の"継続登校願い"の書類を渡す為にファスマス先生の部屋に立ち寄った。


部屋に入ると、いつものようにお茶が出て来た。

「今日は遠い西の地方のお茶だよ。少しクセがあるから、好き嫌いがあるかも知れないが。」

ボクは美味しいと感じたが、アルマは怪訝な表情を浮かべる。


「先生、それで魔法科の生徒達は、みんな卒業してしまうのですか?」

ボクが尋ねると、先生はお茶を飲みながら答えた。

「それが…困った事になっていてね。」

ゆっくりとお茶を置いて先生は話を続けた。


「誰一人として卒業すると言って来ないのだよ。

まだ迷っている生徒も居るようだが…このままでは王立軍に怒られてしまいそうだ。」


ほらね、といった表情をするアルマ。


「で、継続登校の書類を持ってきた生徒数人に聞いてみたのだけどね。」

『自分の魔法が、どんどん上達していくのが分かってとても楽しい。自分も上級魔法を使えるようになりたい。』

「と、口を揃えているかのように言うのだよ。マイトラクスくん、キミのおかげだね。」


誰一人として卒業を言い出さないという事から、怒られているのか褒められているのか分からない状態だった為、

「また、9月になったら来ますね。」

とだけ伝え、そそくさと退散した。


ダマス村へはデマントの街から出る乗り合い馬車で向かう。


懐かしい両親と妹の顔を思い浮かべながら、揺られていると、一緒に乗った親子が話しかけて来た。


どうやら魔獣に襲われた村、ジン村から逃れてきた親子で、しばらくデマントの街に滞在していたけど、ダマス村への移住を決め今日向かっているらしい。


「デマントの街は大きく、そして活気があって良かったのだけどね。ずっと農作業をしながら静かに暮らしていたから、私達はどうしても馴染めなかったのだよ。」

「壊滅したジン村にはもう帰れないから、ダマス村で一からやり直したいのさ。」


きっと辛い目にあったのだろうと想像したけど、それを感じさせないくらい希望に満ちた雰囲気だった。


馬車は村へと近づく。


すると…まったく見覚えのない村の姿がそこにはあった。

~~~~~~~


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