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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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合同野外演習 1

「やったー!マイトくんと同じ班よ♪」

イリエが笑いかけてきた。


そうなんだ、ボクはまだ班分け発表を見ていないんだけど…


今日は3ヶ月に一度の各科合同の野外演習会の日だ。

学園の北に広がる森林にて剣士科、魔法科、薬師科、3つの科が合同で演習を行う。

いくつかの班に分かれて森に住む獣相手での実戦となる。

剣士科と薬師科とは演習場は勿論、寮も食堂も別なので普段、顔を合わせる事はない。


以前、カミュアに教えてもらったこの演習。

どうしたら剣士科と魔法科の生徒が仲良くなれるのか?と尋ねた時に、この演習でまず相手を知ることから始めては?とアドバイスを貰った事を思い出した。


何台もの馬車が用意されている。

どうやら各班ごとに馬車が割り当てられているようだ。

同じ班であるボクとイリエは同じ馬車へと乗り込んだ。するとすぐに薬師科の生徒と思われる女の子が入って来た。

「こんにちは。ボクはマイト、よろしくね。」

「私はイリエ、二人は魔法科の生徒よ。」

「ナタリアと言います。どうぞよろしくお願いします。」ナタリアと名乗った女子生徒はやはり薬師科在籍で、何故かオドオドとしている。

薬師科の生徒は人数が少ないので、一つの班に一人、もしくは居ない構成らしい。

薬師科一人だと不安だよな、気兼ねなく話せるようにしてあげたいな。

そう思って、色々と話をしていると、剣士科の3人が入ってきた。


あっ…登校初日にヤエノとイリエとやり合っていた、あの大柄な男が居る。


「お前は…あのイケすかないキザ男の仲間だな。せいぜいオレたちの邪魔をしないようにする事だ。」

キザ男…カミュアの事だな。

再び現れたこの男を寮の前で追い払ったが、だいぶ根に持っているようでイライラしているのが分かる。


「オレの名前は、サモアン・カタリストだ。」

「ボクは、ナイサンスール。」

事情を知らない他の剣士科の二人が名乗ってきた。


「ふっ、オレはジンバイト・アーノルドだ。一応、名乗っておいてやる。」


態度が悪いなぁ、と思ったが他の剣士科の生徒は特別嫌な感じはしなかった。

ボクとイリエ、そして薬師科のナタリアが挨拶を返す。


「まったく…なんでこんな平民と一緒の班になってしまったんだ!」

ジンバイトは、ナイサンスールを睨みつけた。


サモアン・カタリストは軍所属の父を持つ優等生だが、ナイサンスールは平民の子らしい。


ジンバイトは、魔法科への偏見だけでなく平民に対する偏見もあるようだ。貴族というのは困った人種なのか…と思ったが、これではボクも偏見持ちになる。と考えを改めた。


ちなみに、いちいち名字を伝えるのは、貴族である事や、両親が凄い人物だという事を自慢したいかららしい。


揺られる馬車の中、薬師科のナタリアがジンバイトの横柄な態度を見て、さらにオドオドとしてしまっていた。

「ナタリア、頑張ろうね。」ボクは怯える彼女に声をかけて励ました。


野外演習場に着くと、それぞれの班に地図が渡された。

森林で、どの辺りで行動すべきかが各班に割り当てられているようだ。


担当の馬車の御者から、ジンバイトが取り上げるように地図を持って行ったので、ボクは見る事が出来なかった。


「何なの!アイツ」

怒るイリエをなだめつつ仕方なく、剣士科の3人の後ろを着いていく。


薬師科のナタリアが持ってきた体力増強剤なるものを、こっそりとボクとイリエにだけ渡してくれた。

「あの人たちは何か嫌なんで…こちら、お二人でどうぞ。」

同じ班で仲たがいするのも、どうなのかな。と思ったが、彼女の気持ちを無下にするのも申し訳ないと思い素直に受け取った。


剣士科の3人は、ジンバイトとサモアンが2人前に並んで歩き、ナイサンスールがその後を歩いている。


森はとても静かで、獣道を少し広げたぐらいの道が出来ている。


すると突然、オオカミ型の獣が目の前に現れた。

前方から結構な速度でかけてくる。2頭か…いや3頭だな。


ボクとイリエはナタリアの前に立ち、杖を構えた。


剣士科の3人はボクたちを無視して、3頭の獣へと向かう。

ジンバイトが我先にと飛び掛かる。

サモアンは獣と距離を取るように、剣を向ける。

ナイサンスールは腰が引けてしまっているようだ。


ジンバイトは直線的に獣に剣を向けるスタイルで、まさに猪突猛進。どちらが獣か分からないぐらいだ。

対してサモアンは曲線的な動きをして、獣の攻撃を交わしながら手数を当てている。


ジンバイトが大きく振りかぶった一撃で1頭を倒した。

サモアンの攻撃を何発も受けた1頭は、どんどんとスピードが遅くなり最後にゆっくりと倒れた。

ナイサンスールが対峙していた1頭は、仲間の2頭が倒れたのを見て逃げ出した。


逃げ出した先は…

こちらに向かってくる1頭の獣。

ボクとイリエは目を合わせて頷く。

「土魔法…土壁!」ボクは障壁を作り、ナタリアを守る。

「水魔法…水弓!」イリエが弓を引くと水の矢が飛び、獣を捉える。


獣は水弓を食らったが、起き上がり再びこちらに向けて走り出した。

「風魔法…風刃!」 ボクの放った三日月型の刃がオオカミ型の獣を切り裂く。

獣は声を上げる事も出来ずに、ゆっくりと倒れた。


「おい!何やってるんだ!ナイサンスール!」

ジンバイトが声を荒らげる。

怯えるナイサンスール。怒るジンバイトをサモアンがなだめていた。


「ありがとうございます。」

ナタリアがボク達にお礼を伝えてきた。

「マイトくん、ありがとう。」

イリエはボクにお礼を伝える。


「お互いをフォローし合うのは当然だよ。」

ボクは二人に向け、ニコリとほほ笑んだ。


その後、イノシシ型の獣、猿型の獣が襲ってきたが無難に倒す事が出来た。

獣は常に3体が1組となって襲ってきた。

2体を剣士科の2人、ジンバイトとサモアンが倒し、残りの1体をボク達魔法科が倒すと言った感じだ。


怪我人は出ないので、薬師科であるナタリアの出番はない。

のだろう…ボクは薬師科の事を知らないので、本人に聞いてみる事にした。


「薬師科の生徒は、戦う事はしないのかな?剣も杖も持っていないからそう思ったんだけど、もし違っていたら気を悪くしないでくれ。」

ボクの問いかけにナタリアは答える。

「私たちは基本、バックアップですよ。怪我人を治す事が一番ですが、他にも目くらましの弾幕を貼ったり、獣が嫌がるにおいを固めた球を投げたりも出来ます。攻撃では、爆薬の投擲ですね。」


「攻撃への参加も出来るんだ。」と思わず声を出したが、

「ごめんなさい、今日は爆薬は持ってきていなくて…」ナタリアは申し訳なさそうに答えた。


そろそろ引き返す時間じゃないのかな?と思ったが、

剣士科の3人はどんどん奥へと進んでいく。

何やら揉めているように見えたがジンバイトがナイサンスールに向かい怒号したかと思うと、そのまま前に進んでいった。


3人とは少し離れて歩いているので、何をもめていたかは分からない。


すると…突然、赤い魔法陣がボクの目の前に現れた。

ゆっくりとアルマが魔法陣から出てくる。

「こんにちは。」

久しぶりに会うイリエが喜びの表情をして近づく。

が…アルマは不吉な事を伝えた。

「マイト…何か嫌な感じがするわ。演習という事だけど、この場所、違わない?空気が澱んでいるわ。」


「おい、道を間違えていないか?」

ボクは前を歩く剣士科の3人に声を掛けた。


「向こうの獣は、手ごたえがないからな、ちょっと出張して来たんだ。怖かったら引き返していいぞー!」

ジンバイトが笑いながら答える。

サモアンは、それを無視して奥の方を見ている。

ナイサンスールは申し訳なさそうにこちらを見てくる。


「静かに…何か来るぞ。」

サモアンが声を上げた。


辺りが静かになると

ずずーん、ずずーん、地響きが聞こえて来た。


ボクの背筋にも冷たいものが走った。


ゆっくりと姿を見せた黒い物体…明らかに普通の獣ではない。

10メートル程はあるだろう大きな巨体。

大きなトカゲというべきであろうか、首は長めに見える。

ん…あの赤い目は…


「魔獣よ…」アルマが答えた。


魔族が使役する獣…それが魔獣だ。

魔獣の正体は誰も知らないと思うがイリエとナタリアを見ると、明らかに怯えている。


剣士科のジンバイトとサモアンが対峙しているが、流石に臆しているようだ。

ナイサンスールは震えている。


危険を感じたボクはナイサンスールに後ろに下がるように促した。


「てめえら、逃げる気か!?」叫ぶジンバイト。

「トカゲ型の獣に背を向けて逃げるは得策じゃない、戦おう」ボクは叫んで伝えた。

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