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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第一章

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学園初登校 5

土魔法の演習場から隣の演習場へと向かう通路でボクは一旦、歩みを止めた。


アルマを見ると、呆れたような顔をしている。

「あきらかに高出力だったわよ!キミは、まだ目立ってはいけないの!」


「ごめん、なんかサビアスの魔法を見たら、つい集中力が増しちゃって。」

アルマに謝っていると、背後から声がした。


「おーい、マイトくん。キミ、面白いね!」

サビアスが追いかけてきたようだ。


「一緒に次の演習場に行こうよ。」

ボクは誘われるまま、ゆっくりと歩き出した。


次の演習場に着いた。

先程とは違い三方面は、木で囲まれており、その中を風が強く舞っている。

どうやら、風の演習場のようだ。


「お、君たちは新入生だね。」

金髪ロングヘアーをなびかせて、ザンビアス先生が声をかけてきてくれた。

「まだ、在校生達の試験が終わっていないんだ。

ちょっと見ててくれたまえ。」


先生の言葉に従い、ボクたち二人は端っこの方で待機する事にした。


「おや、キミはあの時の…。」

ゆっくりと近づいてくるメガネをかけたイケメン男子。

「あー!」と、答えるものの名前が出てこない。

今朝、イリエとヤエノを庇った時に助けてくれた方だ。

「朝は助けて貰いありがとうございました。ボクはマイトラクスと言います。」

とりあえず自分の名前を伝えつつ、お礼を伝える。


「いやいや、キミの土魔法の防御も凄かったよ。キミは土魔法の特性が高いと見たけど、風魔法の試験も受けるのかい?」

名乗ってみたが、イケメンメガネさんは名乗り返してくれなかった。

「はい、色々と試してみたいと思いまして…。」


「はじめまして、ボクはサビアスと言います。よろしくお願いします。」

隣に居たサビアスが挨拶をする。

「はじめまして。オレの名前はカミュアシーズ、カミュアと呼んでくれて良いよ。」

彼の名前を思い出す事が出来、ボクは安堵した。


「おーい、君たち。」

ザンビアス先生に呼ばれた。

在校生達の試験が終わり、どうやらボク達の番のようだ。


しまったな…今までの試験を全く見ていなかった。

「しまったな…じゃないわよ。気が緩みすぎよ。」

ボクの心を読んだアルマは呟く。


ここでの試験は、

どうやら演習場の真ん中、奥にある大木に向かって風魔法をぶつけるらしい。


皆さん、どの程度の威力を放っていたのだろう。

カミュアと会話をしていて、在校生の魔法をまったく見ていなかったボクは困惑した。


そうだ、サビアスに先に行って貰おう!

と思い、促したが、

「どうもボクは、風のイメージが掴みにくくてねぇ」と頭を掻きながらサビアスは答えた。

どうやら風魔法を使う事が出来ないらしい。


「どうしたのだい?」

ザンビアス先生に催促されたので、ボクは覚悟を決めた。


「マイト…頼んだわよ。」

アルマが心配そうに見てくる。


ふぅ…と息を吐き、心を整えた。


「風魔法…風刃」

円盤状の風の輪が大木に向かって飛び、枝をスパッと切り取った。


よし、そんなに強い威力じゃなかった!

力を抑えて魔法を放てた事に、ボクは安堵してザンビアス先生の顔を見た。


おかしいな…先生は口を大きく空けて固まっている。

周りもなんだか静かだ。


「バカ…風刃は、中級魔法よ…。」

アルマが尻尾でボクの顔を叩きながら答えた。


おや、そうだったか…。


よし、次の演習場に行こう。

ボクは何も言わずに、そっと風魔法の演習場を後にした。


次の演習場に向かう通路で、後ろを付いてきたサビアスが少し笑いながら言った。

「新入生なのに中級魔法を使えるなんて凄いね!もう何が来てもボクは驚かないよ。」


「初級魔法と中級魔法って、そんなに使う魔力変わらないじゃん。」とボクは答える。


「へー、そうなんだ。ボクは中級魔法なんて使えないから分からないや。」

あんなに強い土魔法を放てるサビアスでも中級魔法を使えないのか。と思い、彼を見つめる。


驚いた顔をしているボクに向かい、

「この学園では、まず常識を身に付ける事が先決ね。」

アルマは溜め息混じりに言葉を吐いた。


次に着いた演習場は岩に囲まれた場所だった。

向かい側、正面の岩山からは滝が流れている。

ここは…水魔法の演習場だな。


美しい滝に気を取られていると、イリエが声を掛けてきた。

「マイトくん、アルマちゃん、いらっしゃい♪」

アルマがボクの頭の後ろに隠れて警戒する。


「ふふ、さっきはごめんね。」

アルマに対し、笑顔で謝罪をするイリエ。


うん、この目はまだアルマを狙っている目だ。


「私は水魔法が得意なの。」

「マイトくんも水魔法が適性魔法ならこれからも一緒に講義を受ける事が出来るから嬉しいな!」

笑顔で言うイリエにボクは少しドキッとした。

と、同時にアルマが尻尾で頭を叩いてくる。

試験中に、ちょっと浮ついた気持ちになった事を反省した。


水魔法の演習場では試験は終わっているようで、生徒達が思い思いに水魔法を行使していた。


初級水魔法の水球、水弓、水鞭が乱れ飛んでいる。


うーん、失敗ばかりだし

もう試験を受けるのをヤメとこうかな。


そう考えていたら、水魔法のドレイク先生に見つかってしまった。

「やぁ、貴方たち、随分と早かったね。」

先生の言葉に対し、

「ちょっと…走りたくなって、走って来ました。」

と、訳の分からない返答をしてしまった。


「ふっ、若いっていいな。在校生達の試験は、もう終わって練習の時間にしていたんだ。早速、試験を開始しよう。」

ドレイク先生の笑顔は爽やかで素敵だなー。


「今度こそ失敗しないようにするよ。」

ボクは肩に乗ったアルマに呟くと

「もう手遅れじゃないかしら…。」

溜め息混じりにアルマは遠くの方を見ながらそう答えた。


「では、自分の後に続いて水魔法を放ってくれ。」

今回は、何かのターゲットを攻撃するのではなく、先生の真似をする試験のようだ。


ボクはドレイク先生と並んで立ち、先生の姿を見つめる。


「水魔法…水球!」先生が放った水のボールが空中に浮かび、前方に向かい飛んでいく。

よし!出力を最大限に下げて…「水魔法…水球」

ボクの水球も、先生と同じ軌道を描いて飛んでいく。

「水魔法…水弓!」先生が腕をしならせて水の矢を放つ。

出力を下げて…ボクも同じように水の矢を放つ。

「水魔法…水鞭!」先生は片腕を振り上げて、その腕を振り下げる…腕の動きに合わせて水の鞭が空中に舞った。

出力を下げて…同じようにボクの水の鞭が空中を舞った。


うん、出力は適度だ。

今回は、土魔法、風魔法での試験の時とは違い、周りもザワザワと話し声がするだけで、静まり返る事はない。


アルマも満足そうな顔をしている。


「水魔法…水球!」「水魔法…水弓!」「水魔法…水鞭!」

「水魔法…水球!」「水魔法…水弓!」「水魔法…水鞭!」

ドレイク先生は、何度も魔法を繰り返して放った。

ボクも同じように水魔法を放つ。


パシッ…突然、アルマの尻尾がボクの顔を叩いた。


ん??

アルマを見ると先生の方を見ろ。というジェスチャーをする。


「はぁ、はぁ、」先生が肩で息をしている事に気づいた。

あ…マズイ…。


ドレイク先生は、ボクの方に向き直すと

「何故、貴方はそんなに繰り返して魔法を放てるのだ!?」

と、息を切らしながら話してきた。


「えー、先生が自分の後に続いて魔法を放てって言ったんじゃないですか!?」

ボクは質問を質問で返した。


後ろで見ていたサビアスが笑っている。


アルマが…「だからぁ、常識を考えて。」と呟く。


「すっごーい!土魔法だけじゃなく、水魔法も連続で放てるのね!」

イリエが近づいてきて目をキラキラとさせて見つめてくる。


「まぁいい。貴方の魔法適性が水魔法である事はハッキリとした。これからは自分の授業を真面目に受けなさい。きっと素晴らしい水魔法使いになれるだろう。」


ボクは返事をせず、どの魔法の授業を受けるか、

一つを選ばなければならないというのは難しい事だな、と思案した。

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