学園初登校 4
やっとの事でアルマをイリエから引き離した時、演習場の後方のドアから4人の先生方が現れた。
「はい、静かにー。」
魔法科長ファスマス先生が声を出し、パンパンと手を叩いて生徒たちを静めながら、前方へと歩いていく。
火、水、風、土、この世界にある4つの魔法。
各、それぞれに先生が居るとの事で、各先生の紹介から始まった。
火魔法の先生は、ファスマス先生だ。
先程、履修登録をした際とは違う服装をしていて、ビシッと襟を立てた青色のロングコートを見に纏っている。
とても鮮やかな青に引き込まれそうにな感覚になる。
先生方、全員が同じ服を着用しているので、この青いコートが正装のようだ。
次に水魔法の先生が壇上に立った。
「新入生の諸君、入学おめでとう!」
ドレイクと名乗った先生は、爽やかな笑顔が印象的な短髪の先生だ。
ファスマス先生よりもだいぶ若いように見える。
ザンビアスと名乗った女性は風魔法の先生だ。
「在校生の諸君も新入生の諸君もお互いに切磋琢磨して精進して欲しい。」
高身長で長髪をなびかしながら強い口調で語っている。初日から、なかなかの熱弁。
土魔法の先生は大きめのガタイをしている。
「是非、有意義な学園生活を送り、王国の為になるような人物とへと育って欲しい。」
名前はナズムと名乗った土魔法の先生は、黒い髭がとても印象的だ。
「早速ですが、各魔法に分かれて実力試験を行います。試験と言っても確認作業みたいなものなのでリラックスして参加してください。」
「在校生、新入生共に、各自の得意魔法が分かっている者は、それぞれの演習場に向かってください。新入生で、まだ得意魔法が分からない、在校生で他の魔法の適性も試してみたい。という生徒は、まず土魔法の演習場に向かってください。」
ファスマス先生が生徒達をそれぞれの魔法の先生へと誘導した。
イリエとヤエノと別れ、ボクは、他の生徒たちと土魔法の演習場へと向かった。
新入生はオドオドして見えるので、何となく分かる…30人程だろうか。
土魔法の在校生組も30人と言ったところだ。
まぁ、ボクも他の生徒から見たらオドオドした雰囲気になっているだろう。
土魔法のナズム先生を先頭にゾロゾロと歩いていると、一人の男子生徒が話しかけてきた。
「ボクの名前はサビアス。その子は召喚獣?」
真新しい制服から察するに新入生で、幼さを感じる容姿だ。
「うん、ボクの召喚獣のアルマだよ。ボクの名前はマイト、よろしくね。」
アルマの方を見ると、ツンっとしている。
どうやら先程のイリエにモフモフされた事でトラウマが出来たようだ。
下手に喋っても高慢な態度を取るだけだし…まぁ良いか。
土魔法の演習場は、屋外だった。地面は土で三方面は、山で囲まれている。
演習場の中央、奥側にナズム先生が2メートル程の岩山を築いた。
「よし、では順番に放っていこう。」
先に在校生組が見本という形で試験を受ける事になった。
「土魔法…石弾!」
「土魔法…土舞!」
「土魔法…砂弓!」
入れ替わりで次々と初級魔法を繰り出していく。
魔法の種類は問わないようだ。
見た事も無い魔法もあるが、威力はたいした事ない。
あと、同じ初級魔法でも魔法師によって威力が全然違っている。
「では、次に新入生の諸君、よろしく頼む」
在校生が全員、終わった後は新入生の番だ。
土魔法は使えないと言い、数人の生徒が辞退する中、
「じゃあ、ボクが最初に行くよ!」
先程、会話を交わしたサビアスが新入生の先陣を切った。
「土魔法…砂弓!」
ザンッ、砂の弓が岩山へと放たれた。
おぉ、なかなかの威力だ。
新入生の間からも歓声が上がる。
「サビアスくん、凄いね!」
ボクは、ニコリと微笑んで彼を見た。
サビアスは満足な顔をしている。
「じゃあ、次はボクが行きます。」
そう言って、前に出ようとしたところで、アルマが耳打ちをしてきた。
「ちょっと…マイト、分かってるわよね。」
「大丈夫、分かってるよ。」
そう答えて、いつもより静かな口調で呪文を唱えた。
「土魔法…石弾!」
どぉーーーん!
ナズム先生が作った岩山は崩れ去った。
周りが、しんっ…とし、静寂が広がる。
「ちょっとマイト、全然分かっていないじゃない!」
「手加減したハズなのに…まさか崩れるなんて。」
睨みながら小声で怒ってきたアルマに対し、同じく小声で返した。
サビアスの魔法に触発されて、ちょっと集中力が増してしまったのかもしれない。
これは不味い…魔族と契約しているから強い魔法を放てる事がバレたら一大事だ。
ボクは青ざめながら
「あれー、おかしいな。岩山に亀裂でも入っていたのかなー」
と叫ぶも、完全に声が裏返っている。
ナズム先生が額に汗を垂らしながら、
「お前は土魔法に適性があるようだな。」
と、言ってきたが、
「次の演習場に行ってきます!」
早くこの場を離れたいと思ったボクは、そう叫び、隣の演習場へと逃げるように走り去った。




