学園初登校 3
魔法科長ファスマス先生の部屋を出た後、言われた通り魔法科の演習場にやってきた。
かなり広い空間で、無駄な物が一切ないように見える。
そんな演習場だが、紺色の制服を着た多くの生徒でごった返していた。
「今朝はありがとう!」
大きめの音量で声を掛けてきたのは、朝、剣士科の生徒達と揉めていた長身赤髪の女の子だ。
改めて向かい合うと、ボクより身長が高い。
「可愛い召喚獣ですね!」
隣に居た青いロングヘアーの女の子も笑顔で話しかけてきた。朝の騒動の時に震えていた子だ。
「いや、ボクは結局、助けにならなかったから。」
と返し、「ほら、アルマも…挨拶を。」
「可愛いだなんて…キミは見る目があるわね!」
何故、上から目線?
長生きしている魔族だから…歳上からの目線の話し方になってしまうのだろうか。と、一人で納得した。
嫌な空気にならないか心配したが、
二人は笑ってくれたので、ホッとした。
「私の名前は、イリエティーナ。イリエと呼んで。」青いロングヘアーの子が名乗る。
「私は、ヤエノカシス。ヤエノと呼んでくれ。」
「ボクはマイトラクス。マイトと呼んで欲しい。
そしてこの召喚獣はアルマティアス。」
「キミ達の事は気に入ったから、アルマと呼んで貰って構わないわ。」
…その上から目線を治して貰わないとボクは学園の生活は前途多難だ。
「それにしてもマイトの土魔法は凄かったわね!
あんなに連続で魔法を打てるなんて!」
少し興奮気味にヤエノが話す。
「マイトくんは、土魔法が得意魔法なのね!」
イリエも早口で話、キラキラとした目で見つめてきた。
「いや、まだどの魔法が得意魔法なのか定まっていないんだ。」
そう答えると、二人は少しの間、固まってしまった。
「そういえば、マイトくんは今年度からの新入生ね。私たちは昨年度から通っているから、見ない顔の子だったね。ってヤエノと話をしていたの。」
「分からない事とかあったら、なんでも聞いてくれ!」ヤエノは胸を叩きながら言った。
どうやら二人は先輩のようだ。
「それは心強いです。是非、ご指導ください。」
ボクが少しかしこまって、そう答える。
二人は、また笑い出した。
「この学園では、先輩後輩は無いわ。年齢も先に入学しているからと言って上とは限らないわよ。」
イリエは何歳なのだろう?と思ったが聞くのは失礼かも、と思い口をつぐんだ。
「そう!実力がすべてだ! 実力がつかなければ何年も卒業出来ないし、逆に実力があれば少しの年数で卒業出来る!そういう学園だ!」
ヤエノは声のトーンを大きくして語った。
そういう仕組みだったんだ。
「色々教えてくれてありがとう。これからもよろしく!」
ボクは感謝の気持ちを伝えると共に、これから始まる学園生活への期待も高まった。
「で…」
イリエの目が変わった。
「ちょっと、アルマちゃんを触っても良いかしら?」
???
ボクとアルマは目を見合わす。
「別にいいわよ。」
アルマがそう言った瞬間、イリエは飛びついて抱きしめた!
「うわぁー、ふわふわぁー」
イリエは抱きついて頰づりをしている。
アルマの顔は引きつっている。
「この子、ふわふわに目がないのよ。」
頭を掻きながらヤエノが言う。
「ちょっと、助けてーーー」
アルマは涙目になりながら逃げ出そうとしているが、ガッツリと絡めたイリエの腕は取れそうにない。
「マイト、助けなさいっ!」
必死に叫ぶアルマを見ると、なんだか面白くて笑いが止まらなくなった。
目立たないようにと思っていたが、どうやら初日からかなり目立ってしまったようだ。




