学園初登校 1
門の左右には羽根の生えた赤ん坊のような彫像が立っている。鳥のような赤ん坊と言うべきか…。とにかく、とても不思議な感じがする彫像だ。
入学試験の時以来だな。
13歳となる歳の9月にボクは、ついに王国軍立学園の門をくぐった。
ボクの学園への入学が決まると、村をあげてのお祝いとなった。
と言っても、学校で一緒に勉強した子供たちは早々に疲れて寝てしまい、
大人たちが酒を飲んで騒ぐのがメインだった。
とても楽しそうに騒いでいたので、
若干、蚊帳の外だったボクも楽しそうにしている村のみんなを見て、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
妹のサフィアは涙ぐみながらも、
「お兄ちゃん、頑張ってね!」と、言ってくれた。
どうやら村のみんなに自慢しているようだ。
自慢の兄となれるように、期待に応えないとならないな。
お母さんは、ボクの為にと新しい服を作ってくれた。
商業都市デマントでお土産として購入した生地や糸が役立ったようだ。
ボクなんかの為じゃなく、自分の為に使ってくれたら良かったのに…。
とも思ったが、お母さんの気持ちを感じて嬉しかった。
お父さんは、これから必要になる事があるから。
と言い、お金を渡してくれた。
けっして裕福とは言えないハズなのに、結構な額だ。
素直に「ありがとう」と言うと共に、
将来、立派な魔術師となって必ずお金を返そう。と心に誓ったのだ。
門をくぐり、まずはこれから住む事になる寮に向かった。
街に住む生徒は、基本的に家からの通いになるが、多くの生徒は寮に住む事になる。
寮長さんに挨拶をした後、ボクが住む事になる部屋を案内してもらった。
一人部屋で、なんて立派なのだろう…綺麗なベットや机が完備されている。
こんな部屋に住まわせて貰うなんて、まだ何も活躍していないボクが良いのだろうか?と思う。
なんの前置きもなく…
赤い魔法陣が光った。
ボクが契約する召喚獣、アルマがゆっくりと現れた。
「あら、良い部屋じゃない。気に入ったわ♬」
あれ?
そういえばボクが魔族を学園に引き入れてしまった事になるな…。と、改めて自分が魔族であるアルマと契約した事を思い出す。
「大丈夫よ、問題を起こす気はないわ」
…そう答えるアルマを見つめ、ボクは血の気が引いた。
「ちょっと待って!!ボクは何も口に出していないのだけど!」
ボクは驚きの表情を浮かべる。
「えーーーー!今まで気づいてなかったの??
契約したのだから私はマイトの心の声が聞こえているのよ!」
逆にアルマが驚きの表情を浮かべた。
「ボクにはアルマの心の声が聞こえないよ!?」
ドキドキしつつ、そう答えると…。
「私の心を読むなんて、プライバシーの侵害よ!」
予想外の返答に、ボクはしばらく行動不能となった。
しばらく目を見合わせた後、
「とりあえず荷物を片付けるね。」
と言い、ボクはカバンを空けて荷物の整理を始めた。
まだ、尺然としない気持ちはあったが、明日からは学校が始まるのでモタモタしてはいられない。
一通り片付けを終え、アルマと向き合った。
「さて、明日からどう行動すべきかな。」
「考えたのだけど、マイトは召喚術師がメインって事にしたらどうかしら?
そうしたら、キミの召喚獣として私は自由に動ける事が出来るし、強すぎるキミの魔法から目を背ける事に繋がると思うの。」
ボクが、この学園で生きていく為には仕方ない事なのかな?と思い、「ボクって、そんなに凄い魔法使いなのかな?」
と、改めてアルマに質問をした。
「そうね、学園の生徒の実力は分からないけど…とりあえず中級以上の魔法は控えた方が良いと思わ。
特にマイトは貴族でも魔法使いの子供でもなく、村から転校して来た訳だし、目立たない方が良いと思うの。」
そうだな、魔族と契約している事がバレるとマズイし、目立たない事が一番だな。
アルマの意見を聞き、学園では初級魔法のみを使う事に決めた。
「今日の魔力も順調に美味しいわ♬」
よく分からないセリフを吐く魔族アルマに対して魔力を約束通り提供した後、移動で疲れたボクはゆっくりと眠りについた。
明日からの希望の日々を夢見て…。




