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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第三章

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第二魔法師団

久しぶりの王都は相変わらず活気に満ち溢れていた。

以前は気付かなかったが、活気があると言っても他の街に比べるとだいぶ落ち着いた雰囲気だ。


「ところで、この剣士の銅像は誰なの?」

イリエが聞いてきたのは、トルナシア像に対抗して騎士団が建てたという剣士像の事だ。

「七仙剣のザックアリルでもブロウガでも無いな…誰だろ?」

まったく見覚えのないその像を眺めながらオレは言った。


「魔王攻めの時に、ついて来たパーティがあったよね。そこのリーダーに似ているような。」

アルマが言う人物の事は、なんとなく分かったが顔や名前までは思い出せなかった。


「まぁ、いっか。にしてもトルナシア像…自分が銅像になっているのを見ると恥ずかしいな。」

「なかなかよく出来ていると思うわよ。ちょっと実際より年を取って見えるけどね。」

オレとアルマの会話を聞くイリエは不思議な顔をしている。


「イリエ、どうかしたの?」

「うーん、やっぱり私にとってマイトはマイトであって、トルナシア様だという実感が持てないのよね。」

アルマが聞くとイリエは素直な気持ちを答えた。


門番と話をして王城へと入る。

そういえば、第二魔法師団がどこで訓練をしているのか知らなかったので、そのように伝えたら詰め所に居た騎士団員の一人が案内を買ってくれた。


「ナイサンスール!」

「マイトくんじゃないか!イリエさんとアルマも!久しぶりだね!」

ナイサンスールとは学園を去ってから初めての再会だ。野外演習で最初に出会った時とは比べ物にならないくらい堂々としている。

「ナイサンスールくんの軍服姿、素敵よ。」

イリエが褒めるとナイサンスールは顔を赤らめて頭を掻いた。


思わずオレは手を出して握手を交わしながら問いかける。

「えっと、第一騎士団に配属されたのかい?」

「いや、第二騎士団だよ。もっぱら王城の門番さ。目立つ仕事は貴族出身の騎士が担当と決まっているみたいなんだ。」

ナイサンスールは胸を張って答えた。目立つ仕事では無いが自分の仕事に誇りを持っているのだろう。


にしても学園と同様、軍でも貴族出身者と平民出身者で差別があるようだ。

「なぁ、アルマ…貴族って、こんなに偉そうだったか?」

「400年前とは違うのよ。貴族の間でも色々と争いがあってね…自分が自分がと有利になるように約束事を変えていったの。そのとばっちりを受けたのが平民ね。」

アルマの返答にオレは、ため息と共に一言だけ発した。

「差別なんて…くだらない。」


ナイサンスールの後ろを歩きつつ、会話を続けているとイリエが質問を投げかけて来た。

「魔法師は、平民だろうがあまり差別が無いわね。何故なのかしら?」

「魔法師は魔法師というだけで特別な存在よ。貴族である事を鼻にかける魔法師も居るけど少数ね。」

補足として、魔法師の人数はどんどん減ってきている事も大きいとアルマは伝えた。


「貴族の数は減らないんだな。」

「彼らは保身の為に婚姻関係、お金…なんでも使うからね。」

オレの質問に対して答えるアルマは、自らの手で貴族を減らしてしまいそうな顔つきだった。


「着いたよ。」

流石は王都の訓練場だ…しっかりと整備されていて広い。

位置的には、城の裏側に面するのだろう。


「ナイサンスール、ありがとう。オレの事はマイトと呼び捨てで構わないからな。」

「あぁ、しばらく居るなら一緒に飲みに行こう。」

オレは信頼できる騎士団の友人を持つ事が出来てうれしく思った。

案内をしてくれたナイサンスールと別れ場内を見渡す。


「マイト、あの人…ラナハンさんじゃない?」

イリエが指を差す方向を見る…確かにラナハン第二魔法師団長だ。

オレ達が師団長の方へと歩みを寄せると、向こうから駆け寄ってくる。


「おぉ、マイトラクス…よく来たな。」

師団長からは笑顔で歓迎されるが、周りの魔法師からは”誰だろう?”と言った雰囲気だ。

共に王都防衛戦を戦ったのだが、あれからだいぶ経ったので顔までは覚えていないのだろう。


「ハンセルトから手紙を受けっとっている。是非、ウチの魔法師団でも指導をしてくれ。」

第三魔法師団で学んでいたので、まず…みんなを集めてもらい、アルマとイリエに上級魔法を披露してもらった。


ここでもシザカンの軍と同じような反応だ。

口を大きく開けて、時間が止まっている方が多数だ。


勿論、ベテランの魔法師ともなれば上級魔法を使う事が出来る者も居る。

が…うわべだけの詠唱で発動する魔法師とは違い、アルマとイリエの上級魔法は根底から力を貯めて放つ真の上級魔法だ。


「上級魔法と言えば…イリエとアルマが放つような威力が当然だったけどな。」

「400年の間で魔法師の数が減ると共に、その力も衰退してしまったのよ。」

オレとアルマは過去を懐かしんだ。


「とにかく、魔王と戦うには少しでも多くの人員が必要だ。七仙剣を探しつつ、ここの魔法師をしっかりと指導しよう。」

オレが言うと、アルマとイリエは初日からスパルタ指導を始めた。


ラナハン師団長は、少し戸惑いつつもアルマとイリエに手を貸してくれている。


「うーん…第二魔法師団の中にも七仙剣は居ないようだな。」

ザックアリルであるユキアノ、ブロウガであるハンセルトを見つけた事で、なんとなく七仙剣の現世の雰囲気が分かるようになった。

散々、アルマからニブイと言われ続けているので先に見つけて挽回したいところだ。


そこにカッサリル師団長が率いる第一魔法師団がやってきた。

「ラナハン、交代の時間だ。」


どうやら、第一魔法師団と第二魔法師団は交代で、この訓練場を使っているようだ。

ラナハン師団長率いる第二魔法師団は、これから街と街の周辺へと巡回に出るとの事でオレ達も誘われた。

「マイトラクス達も、是非、巡回に参加してくれ。」

そう言われたが、七仙剣を探す為、第一魔法師団の魔法師もゆっくりと見てみたいと思った。

「ラナハン師団長、申し訳ないですが、もうしばらくここに居たいです。」

オレがそう言うと、残念そうな顔をしながらラナハン師団長は第二魔法師団を引き連れて街の方へと向かって行った。


「カッサリル師団長、見学してもよろしいでしょうか?」

オレが依頼すると師団長はあっさりと承認してくれた。


すると…


「あれ?あの女性魔法師…リズラルじゃない?」

オレは一人の魔法師を指さし、アルマにそう伝えた。

「ええ…間違いないわ。」

アルマも賛同し、第一魔法師団の見学からあっさりと七仙剣の一人、炎の魔導士リズラルを見つける事が出来た。


「でも…おかしいわね。」

「あぁ…おかしい。」


アルマと意見が一致した。

リズラルの生まれ変わりであると思われる女性魔法師は、その強大な魔力の割には繰り出す魔法が非常に弱いのだ。


「あの子、もっと強い魔法を繰り出せるわよね。」

「あぁ…オレでもリズラルの生まれ変わりだと、すぐに分かったレベルだ。間違いなくヤエノ以上の火の使い手だ。」


「え?あの子、ヤエノ以上なの?」

イリエは驚きながら言う…彼女が使う魔法があまりにも弱い為、仕方のない反応だ。


オレは少し不安そうな顔をしているイリエに伝えた。

「イリエ…タイミングを見て、あの子に接触してくれないか?」

「ふふふ…マイト、デート一回ね♪」

嬉しそうに微笑むイリエ…本気か冗談か分からない言葉だったが、アルマが了承するように促してきたので、イリエに接触を依頼する事にした。

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