進むべき道
思ったより早く入学試験が終わったので
ボク達親子は商業都市デマントの街をゆっくり見て回る事にした。
大きな建物が立ち並んでいて、ボク達のダマス村とはまったく雰囲気が違う。
通りには沢山の人が歩いている。
そして、何よりも街はとても活気があった。
昼食を取るために選んだお店は、道にまで椅子と机が並べられていて、とても良い匂いが漂っている。
何を注文したら良いのか、さっぱり分からなかったので、
「この店の名物を二つ」
と、注文をした。
しばらくすると、焼かれた丸く茶色食べ物が出てきた。美味しそうな香りがするが。。。パンかな?
「ナイフで切って食べておくれ♬」
恰幅の良い女性のウエイターが元気に伝えてきた。
その丸いパンのようなものを切ると、中からドロっとした黄色いスープが湯気と共にあふれ出てきた。
ふわーっと、さらに良い香りが広がる。
「うわぁー」
思わず口に出てしまったが、それほどの衝撃だ。
スプーンで口に運ぶとまろやかな味わいが口中に広がる。
「美味しい!」
お母さんとサフィアにも食べさせてあげたかったな。
次、来る時は絶対にみんなで一緒に来よう。
店を出て、
街の中心付近に来ると、大きな銅像が立っていた。
魔法の杖を持つその銅像は老人のようだが、
迫力ある凛々しい顔が凄みを感じさせる。
「トルナシアの銅像だよ。」
「トルナシア?」
お父さんの言葉に疑問系で返した。
「昔、魔族から人族を守った伝説の英雄だ。」
そういえば、そういう昔話を以前に聞いた事があるような。
にしても銅像にまでなるなんて凄いな。
ボクもこの方を見習って頑張ろう!
銅像を見つめ、ぐっと手に力を込めた。
「そろそろお土産を買わないとな。」
お父さんは、そう言うとお母さんから手渡されたメモを取り出した。
「お前もサフィアが喜びそうなお土産を探してくれ。」
サフィアの喜びそうなものかー。
なかなか難しいお題だな。
まず、お母さんの為に手芸で使う布や糸を買う。
見た事もないぐらいの種類と色があり、かえってどれを購入したら良いのか分からないぐらいだ。
お父さんも詳しくは無いので、ほとんどお店の方に選んで貰った。
サフィアへのお土産は、美しい装飾が施されているコップにした。
少し大人っぽいデザインかな。とも思ったけど、
今、使っているコップが少し欠けていた事を思い出したのでて、これを選んだ。
待ち合わせ時間が近づいてきたので、馬車の方にむかって歩いていると叫び声が聞こえた。
「泥棒ーーー!!」
泥棒と思われる人物は、こちらに向かい走ってくる。
ボクは手を前に出し。
「風魔法・・・突っ・・・」
泥棒を転ばす為に、突風の魔法を行使しようと思った瞬間、
白と赤の服を来た男が後ろから駆けぬけた。
ドゴッッッ
男は持っていた剣を入れる筒で、泥棒と叫ばれた男の腹に一撃を加えたのだ。
倒れうずくまる泥棒。
「あぁ、ナムーヤ様。」
近くに居た女性が呟く。
ざわざわと集まる人達の話に聞き耳を立てると、
どうやらナムーヤというこの男は街を守る王国軍の団長らしい。
王国軍の騎士様か…カッコイイな。
そう思っていると、
ナムーヤさんがボクに向かって歩いて来た。
「キミは魔法使いなのかい?」
ぼくは「はい」と返事をし、王国軍立学園に入学する予定だという事を伝えた。
「それは楽しみだ。是非、卒業後は俺たち王国軍の仲間になってくれ。」
優しく美しい笑顔でボクに、そう話しかけた。
「はい、一生懸命勉強して、人々の役に立てるような魔法師になりたいです!」
友人や家族と離れ離れになる事に不安や寂しさが胸に残っていたが、この瞬間にはっきりと自分の進むべき道を見出したのだった。




