記憶
熱い。チリチリ、ぱちぱちと何かの音がする。
空気を吸っても息苦しい。
焦げ臭さとは別の異臭が鼻を刺す。
胸の内側が焼けるように熱い。
瞼の隙間からは赤黒い何かと、焼けるような熱を感じる。
身体が鉛のように重い。
助けてお母さん…
助けて…お母さん…
目を覚ますと、もう苦痛を感じなくなっていた。私の足元には焦げた木材が散らばっている。まだ火種が残っていて、またすぐに燃え出しそうだ。
私は地面に散乱している木材をよけて歩く。辺りに人の気はなく、ただただ焦げた木材と真っ黒な炭がおてているだけだった。
そもそもここは〇国だろうか。昨日までとは全く違う景色だ。私の家はどこだろう。お母さんはどこだろう。この大量の焦げた木材と真っ黒な炭は誰が用意したのだろう。昨日の私はなにをしていたの?
『ggggggggggggggggggggg‼!!!!!!!!!!!!』
大きな音とともに豪風が吹きつけてきた。辺りの木材と炭が音を立てて去っていく中、私は状況が理解できずその場立ち呆けていた。豪風が吹いてきた方向に目をやると、巨大な雲のお城がそびえたっていた。
昔一度だけお父さんに見せてもらったテレビの光景と似ていた。テレビの画面を見たお母さんがすぐに消してしまったしまったあの光景だ。あの時お母さんはなんで怒っていたんだろう。
やがて巨大な雲のお城は解けていき、黒くて気持ちの悪い雨が降った。地面に叩きつけられた雨は分裂して、また地面とぶつかった。
空を見上げると誰かが笑っている気がした。このひどい景色を笑っているのか。また別の何かをわらっているのか、それが何なのか私にはさっぱりわからない。




