相棒
-7日目-
「コレでよし…」
ルードはクレパスに時計を落とした
「せっかく見つけて修理までしたのに…」
クルは不満そうだった
「暗号化されている部分も含めてきっちりデータは取れた。…白昼夢病と言われるこの現象のおかげでな」
二人は用が済むと早々に下山していた
「…クル」
「ありがとう」
「なに、あらたまって」
「俺はまだまだやらなきゃいけないことがあるし、ミッションもこなす。もちろん、クルのサポートも」
そう少しずつ話を続けているうちにルード達は雪山を下山し、岩石の多い荒野を歩いていた
「…意味わかんないかもだけど、気になるけど気にしちゃいないわよ。ただ本格的に信用するかはこれからなんだから」
「私だって暗号には精通してるけど、あの時計の暗号は読めなかった。もし暗号の内容があんたのいう通りなら」
「心配はない。シェルターは必ずある」
「…そして化け物もいる」
「……」
ルードは静かに口を開いた
「相棒、俺は経験と頭脳で道を切り拓く。だがそれだけじゃ先へ進めない、手に入れられないものがある。だからこそ…」
クルが言葉を続けた
「私がいるんでしょ。手に入れたい物の前に邪魔者がいるなら…切り拓いた道に強敵がいるなら…全部なぎ倒すから、そこまで案内しなさいよ。相棒」
ルードはニヤリと笑った
ルードはおもむろに地面の砂を払った
「地面に擬態しているが、これは外からパスワードでロックされているシェルターだ。」
「さて鬼が出るか、邪が出るか…」
ルードはパスワードを打ち込んだ
一気に二人とも臨戦態勢に入る
シェルターはゆっくりと開いた
シェルターから上がってきたのは剣を携えた、やせ細った老人だった
覇気のない目だが、明らかにこちらを敵視しているのは分かる
「んーあの剣も惜しいが、勲章だけでも取れれば超歴史級のアイテムだし」
「ッ集中して!上の奴らがコレの存在知らなきゃ、アイテムもルーム内から持ち帰れないんでしょ!?」
クルは少し焦っていた
「ていうか…!!!!!!っ!!!」
クルは一瞬で間合いを詰められ斬撃を受け止めたが受け止め切れず岩へ激突した
ルードは相手の強さを見誤ったことに気付きすぐに煙幕を張った
「クル!お前の言う通りだ!ルーム内から持ち帰れないなら戦う必要はない!今の動き…ヤバいぞ…!」
「いつつつ、でもあの中に用があるのは変わらないじゃない。それにルード…あいつ、私と同じだから分かる。どこまで逃げても追ってくる。ふふ、お互い強い奴には目がないタイプなのよね」
クルは笑っていた
「…あんたのナイフ預けてくれる?」
「……やるのか?」
「うん、ルードは信じてあの民家から、このルーム内から持ち帰るものを精査していること。わかった?相棒」
「…わかった」
「…ん、ありがと」
クルはゆっくりと立ち上がった
「さて、あんまり相手を待たせるのも、ね」
2本のナイフを携え、クルは再び、晴れつつある煙幕の向こうの老人に向き合った
「さあて、別にシェルターの中に用があるだけなんだけど…でも通してくれなそうね…じゃあ…」
「押し通る!!」