秘密
もし1話から読んでくださってる方がいらっしゃいましたら、ここまで読んでみての感想や評価を伺えたらとても幸いです。
「さて、と」
ルードも荷物の整理を終え、身支度を済ませ立ち上がった
「辺り一帯には…まあ栄養価の高いものは優先的に取っておくか」
ルードは道なりに進みながらもきっちりと採取をすすめていった
「…ここで確かめなくちゃいけないこともあるしな…」
-同時刻-
ストッ
「フンッ!!」
ナイフが頭部に刺さり猪らしき獣が倒れた
クルはそのままナイフ一本で無駄なく獣を捌ききった
「ジビエかー。おいしそっ。あ、あとこれの胆のうとか、めちゃくちゃ高い薬と同じくらいの滋養効果だったっけか」
「あとはー、ジビエの臭み消しのハーブと、私の寝つきを良くするハーブを手に入れたら水、探しますかー」
ルードは最悪水分としても補給出来る木の実を優先して採取しながら進んでいた
「…やはり、林道は抜けられたか。街もある…一旦クルに連絡するか」
腕時計をいじるとすぐにホログラムが作動した
「よークル。首尾は?」
「え、ルード?早くない?もう林抜けれたの?」
「まあね。一応街も発見してる。抜けて200メートルもないところらへんだから、使えそうな容器を取ってこようと思ってはいる」
「水は…」
「あるある!超さっき見つけたけどもう簡易キットで飲めるかも確認済み!」
「んじゃ大体のものも揃いそうだな。メシにしよう。合流できそうか?」
「おけ!街の前で!」
-街の中のとある民家-
クルがハーブティーを飲みながら感心していた
「へーーーーーー。これって前の調査団が行った時の状態のトレースってことだから、20年経たない位前の状態?」
「そうだな。ヨーロッパの郊外ってところか?」
「…それにしても贅沢なメシになったもんだ。ジビエに木の実にハーブティーとは…」
「お気に召さなかった?」
「いんや、最高」
ルードはステーキを頬張った
「俺も栄養価の高いものなんかも沢山採取した。ジビエも二人ならまだまだ食える量もある。ハッキリ言って、一週間生き残るミッションはもう達成したも同然だ。」
「んーんで?」
「俺は情報が欲しい。検閲に引っかかっていないような、ルーム外に持ち出せないものだ」
「だから最後の一日は終日で別行動にしないか?」
ルードは続けた
「もちろん俺のワガママだ。獣狩りもトレジャーハントも俺がほとんどやる」
「それは別にいいわよ。ただし、何か引っかかってるんでしょ?ねぇ白昼夢病とも関係ある?」
「はあ、それ好きだなあ…その通りだ。ここにはそれがあるみたいなんだよ」
「ロマンのある話は皆好きよ。だからなおさら協力的になるわよ?んでまず事実として何が引っかかってるの?」
「…コンピュータだよ。ほぼ完全に再現されてるのに、今のところデバイス一個すら見つかってない」
「あ、たしかに」
「20年前とはいえ、連絡手段なんかも一切持たずに暮らしていたとは考えにくい。現に歴史的に価値のある著書にも、この頃最新とされる雑誌にも時計型かタブレット型のデバイスはあったのに、だ」
「…でもそれって全部回収されてるってことよね?打つ手なしじゃない?」
「…大丈夫、この身体は教えてくれる」
「え?白昼夢病は持ってる身体記憶が呼び起こされる現象じゃないの?」
「俺にも分からない。だが、身体が真実を伝えたがっているんだと勝手に思ってはいる」
「……もし仮にそうだとしたら」
「私たちに教えたくない真実が」
「このルーム内のどこかにあるってことだな」