扉の向こう
2人は重苦しい扉の中に入っていき、扉はすぐに閉められた
「ここは…森?」
「…いや、林道がある。舗装されてないとはいえ獣道じゃない。恐らく下れば街があるはずだ」
「てかさこれって、言っちゃえば向こうが隠した宝を探す宝探しゲームよね?」
「だったら財宝を隠すならこんな近くに置かずに奥にあるってのがセオリーじゃない?」
ルードはため息混じりに放つように言葉を紡いだ
「言ってたろ?ほぼ完璧に一帯をトレースしてるって。つまり、製作者の意図を汲む必要ははっきり言ってゼロだ」
「それにさっき軽く荷物を確認したが、どう節約しても3日分程度しか食料は無い、つまり、水の確保と食料の確保が最優先」
クルは良くも悪くも素直な性格だった
「たしかにそうね。んじゃ自生してる木の実でも取ってこようかしら」
「その前に渡すものがある」
ルードはクルにポシェットを手渡した
「簡易サバイバルキットだ。コンドームとレーション、ナイフにコンパス…」
「あんた、さりげなくコンドームって」
「どっちにしろそれはあんたが持っておくべきものでしょ。私に全くその気がなくても」
「何を勘違いしてるか知らないが、コンドームはかさばらない上に出血の際には止血にも使えるし、水を発見できれば貯めておくこともできるし、電子機器はそれに入れて縛っておけば防水の役割も果たす、川を渡らなければならない時にも重宝するぞ」
「………」
ルードは続けた
「先に言っておくが俺が昔、ここで訓練した際には違うシュチュエーションだったが、動物も独自の生態を築いて生息していた。つまり、今回も野生の動物に襲われて出血する可能性が大いにあるってことだ」
クルは余裕そうだった
「正直、熊相手でもナイフ有りなら私無傷で倒せるけど」
「…独自進化ってのは侮れない。シュミレーターが創り出した熊と同じと思わないことだ」
「話がズレたな。とりあえず、水を探してくれ。その近くを拠点にする。俺はこの林道を道沿い降りてみる。林の先まで道が抜けているようなら林の終わりで俺は待つ。何にせよ1時間だ。この特注腕時計での互いの位置確認と、万が一の時のためにナイフでこの道に戻れるよう、しるしを付けて進んでくれ」
「はーい。冒険は最先端とアナログの両方でってやつでしょ?」
「そういうことだ」
「OK、じゃ1時間後に!」
クルはそういうあっという間に木の上に上がり、見えなくなっていた