友情の終わり、そして覚醒へ
今回の回からが正直本番って所ですかね。
まあ、どうぞご覧ください。
クラリスを助けようと思ったのは良いが、この鉄格子はとても硬い素材で、電流が通っている。どうにかこの鉄格子を破壊しなければ助ける事など無理に決まっている。
なぜなら、窓の所はそもそも身長が届かない。男の時の体よりも少し縮んだのか、今まで簡単に出来ていたことも少し難しい場面が増えた。
「そういえば、リルが掛けた液体、あれは酸性の物だった、しかもとびきり強力な。」
その酸を掛けられた時、痛みと熱さの中に、微かな魔力の反応があった。
「魔法で、酸を作り出せれば行けるか。」
心の中で詠唱をしようと思っていたが、そもそも詠唱の呪文さえ分からないのだ。
どうしようも出来ないと思った、その時。
「っっ――――――!」
手を見ると、黄色みのついた水の玉が出来ていた。
「痛い痛い痛い痛い!」
あまりの痛みに、水の玉を手から離した。
その水の玉はとても酸性の濃度が高く、すぐに離してなければ、手が溶けていただろう。
だが、幸運な事に鉄格子に、酸の玉が当たっていた。
電流が分解しようとしたが、その前に鉄格子が飴のように溶けたのだ。
「これで、やっと助けられる。」
急いで牢獄から出た。必ず助ける、絶対に死なせない!
そう思い、場所も分からないまま走った。
だが、幸運なのか分からないが、直ぐに処刑場にたどり着く事が出来た。
「よし、やっと、、、」
そう思ったのもつかの間だった。
素早いナイフ捌き。どこかで聞いたはずの声、感じる恐怖、間違えない。
「部屋から出てきて、どこに行きますの?イヴァンちゃーん?これはたっぷり調教のしがいがありそうですわね。」
あぁ、やはりあの狂人だ。しかも今度はナイフというよりも、鉈に近しい鋭い刃物だ。
でも、時間が無い。なるべく早い段階で無力化させたい。
僕は、先ほどと同様に酸魔法を作り出し、投げた。
だが、リルに当たる前に切られて酸が少ししか掛からない。
「看守に逆らったんですから、四肢をもぎ取って、キツーーーーイお仕置きを受けてもらいますわよ。」
また、リルはあの口が裂けたような笑みを浮かべながら言った。
それでもめげずにひたすら酸魔法を打った、気が付けば手のひらの原型はほとんどなく、肉塊になっていた。どうやってもリルに勝てない、そう思いとある作戦に出た。
「どんなに打っても、当たらなければどうってこと無いのですわよ!」
そう言いながら刃物を振るう狂人。
「―――――――――っは!」
酸魔法の他に毒の玉を仕込んで置いたのは正解だったようだ。
「おっほ、えほ、ごへぇ!」
嗚咽をしながら、白目を向いていた。元にあった美貌は、見る影も無くなっていた。白目を向き、口をパクパクしているそれに、致死性の高い毒だから、恐らく彼女は死に至るだろう。
そうやって、白目を向く彼女を拘束して置いていった。
早くクラリスを見つけないと、、、
クラリスが生きている事を願った。
だが、現実は無情だった。
イヴァンが来る瞬間に糸がちぎれ、槍に突き刺さった。
「クラリス!」
彼の姿は、白い短髪で、目がオッドアイの悪魔だった。
初めて見る美貌と、友人の目の前死が衝撃で、心に穴が空いたようだった。
直ぐに、槍を破壊して、何とかクラリスを引きずり出せた。
「クラリス、しっかりして下さい!クラリ、、、」
そう言うと血まみれのクラリスが、朦朧とする意識の中で、一筋の涙を流しながら言いはなった。
「イヴァン、、、こ、れを。」
そう言うと、胸から手帳サイズの本が出てきた。
「これ、は、北方に、いる、エルフの、、、ミーニャって、子に渡せば、、、分かる。」
悲しそうな虚ろな目で話かけて来て、泣きそうだった、実際、少し涙が出ていた。
「イヴァン、君の望、みは何だ?」
突然の問いかけに戸惑った。だが、望みならもう決めた。
「魔女でも、笑って生きられる世界にしたい、、、それが僕の望みだ!だからクラリス、僕の望みがかなうまで死なないで、、、お願い。」
もう虫の息だというのに、クラリスは言葉を発する。
「なら、全てをやり直せ、、、俺からの願いでもある、、、ワルプルギスを倒してくれ。それと、、死んだら、、もし俺が死んだら、、、俺の心臓を食べろ。」
心臓を食べる事は抵抗があったが。
「わかった。だからお願い、死なないで。」
そう言うと、にっこり笑ってクラリスは言った。
「生物には、平等に生があり、、、死もある。だからこそ、こうして泣くことが出きる。だからって、、、最後は笑って、、別れる事も、、、大事だ。泣いている顔が好き、、な、物好き何て、俺は知らないね。」
彼は、遠回しに、最後は笑って見送って欲しいと思っているのだ。
僕はにっこり笑った。
「ありがとう、、俺の最愛の親友にして、最強の魔女イヴァン。」
その言葉と同時に息耐えた。
そして、僕は我慢していた涙が溢れ出した。
こんな人を、殺した世界が憎い、親友を助けられなかった自分が憎い。全ての元凶である、ワルプルギスが憎い。
そう思い、僕は、クラリスの亡骸から新鮮な心臓を抉り出した。
「愛してるよ、クラリス。」
そういう一切で、無我夢中に頬張った、口の中は血まみれで、腹は心臓から大量の血が吹き出したので全てを飲み干し、少し膨らんでいた。
「はぁ、はぁ。」
息を切らす程の思いと一心で食らっていたので全て食べられた。
次に、からだに変化がおき始めた。
「うぁ――――――――っ!かっ、ごはっ!」
体の内側が熱く、頭髪の色は、黒い黒曜石のような綺麗な髪から、死を連想させる純白の髪になっていた。
そして、腹の中に貯まっていた血が、血液と混ざり、体を支配していた。
目も、クラリスを連想させる、赤色のオッドアイになり、肉塊になったはずの片手と、二度と日の目を見ることの無いはずの片目が、修復された。
そして、一番の変化は魔力の保有量と、魔法の威力だった。
とてつもない威力と出力の魔方陣をストック出きるのが分かった。
ちょうど、騒ぎを聞き付けた看守や、騎士等がこぞって来た。
―――――――――新しい力、試させて貰うよクラリス。――――――――――
心臓を食べるという部分は、某巨人が進む漫画の、ロ○ゼ、マ○ア、シ○ナが、巨人を継承するために、全身を食べるという所からの発想です。
少しグロく書いてもよかったですけど、文章がつたなくて本当にすまない!
短い後書きだが、これからも( `・ω・´)ノ ヨロシクー!