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最果ての魔女 ~魔女となった少年の時を超えた復讐の旅~  作者: くぼってぃー
序章 魔女になった少年
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懐死する心体

投稿遅れて申し訳無いです!

次回から出来る限り投稿日や時間を守るのでお許し下さい!

――――――朝が来た。凍えそうな寒さの牢獄だったが、1日を過ごせば寒さは苦痛にならなかった。


「ふぁっ―――――おはようイヴァン。」


どこか間の抜けた声が牢獄に響き渡った。それでも今となっては心を支える大事な一声だ。この牢獄での、いや今の僕の希望の光と言っても過言ではないその人はクラリス。彼の一声だけでどれだけ気持ちが楽になるのか。そう考えた。


「さぁイヴァン、準備した方がいいよ、心の準備をね。」


「えっ、、、」


どういう意味かと思い戸惑っていたがその答えが直ぐにわかるとは思いもしなかった。


「どうもー!看守兼調教師のリル·エリステロですわ!」


キャンキャンした甲高い声が獄中に響き渡った。

赤黒い髪質はどことなく血を思わせたが、それとはどことなく違う誰にでも同じ態度が取れる狂人の目をしていた。


「早速だけど、服を脱いで出てきて下さいな。」


笑っている顔だけど、なぜか気分を害する様な言動の発声の仕方だった。


「えっ、、、」


同じ嗚咽の様な声を発してしまった。だが、下手に手を打って看守の気分を損ねてしまえばどうなるのかも分からない。


服を脱いだら凍える様な寒さが突き刺して来た。


「っっっ、寒い、、、」


本当に死ぬような寒さだが、少しずつ体が赤く何も感じなくなってしまった。

看守が鉄格子に手を掛けるとバチバチと電流が流れ、看守の腕が焼け焦げた。


「じゃあ出ようか。」


そう言われるままついて行った。周りに見える景色は、出た瞬間につけられた目隠しによって完全に遮断された。


「着いた。」


リルは、欲しい玩具を手に入れた様な気持ちで言い始めた。


「いらっしゃい、囚人番号529番さん。」


「私の拷問部屋(おもちゃへや)に!」


目隠しが外れてみた光景は誰もが絶望する惨状に近しい物だった。

鉄の処女(アイアンメイデン)や目を抉り取るためだけに作られたであろう器具がごまんと揃っていた。何度も何度も体を刻んだであろうナイフをリルは、突きつけて来た。


「さぁ、楽しいパーティーの始まりですわ。」


僕の腰は恐れて抜かしてしった。


「何を、、、するんですか?」


怖く口に出来なかった一声だが聞かなければ良かったと思ったのはその数秒後だった。


「貴方の目をこのナイフでくり抜いて差し上げますの。」


不気味な笑みで慣れた手つきで物事をこなそうとするリル。

左目を狙った彼女のナイフは1秒で目に到達し、その0.5秒後に左目は機能を失った。グチュルグチュルと肉を抉られるそして血が辺り一面に広がっていく。その光景を残った片目で追うが、次に来たのは痛みだった。


「―――――――――ぁぁ!!!」


声でない嗚咽がこの部屋中に充満した。感じたのは痛みと恐怖だった。

予想の斜め上を行く凶行、間違いない狂人の手法だった。

目のあったはずの場所が空虚となり喪失感と絶望の感情が沸き上がった。

だがその目のあった場所に休む暇等なかった。


「たくさん血が出てますの、たいへーん。そうだ、私が止血して差し上げますわ。」


そう言うと近くにあるビンを傾け目が抉られた場所に垂らされた。


「―――ぁあ!熱い、痛い!」


液体を掛けられた所は灼熱の様な痛みを発しており、直ぐに目があった所は爛れ、赤黒く染まった。だが血は止まったので命の心配は無くなったが耐え難い痛みを感じる事を思っておらず、痛みで失神しかけてしまった。


「驚きました!いつもならとっくに気絶して失神しておりますのに。精神が強靭なのですわね。」


少しつまらなさそうな口振りでこちらを見下したリル、彼女はもっと屈辱的で痛みを伴う拷問をするだろう。そう考えると、寒さとは別の震えが止まらなかった。


「貴方を壊すのを、楽しみにしていますわ。」


口が裂ける位の笑みを浮かべながらこちらを見て来たが、片目を失ったので怖さは半減した。


「今日の所は以上!お疲れさまですわ。」


先ほどの笑みと比べれば作り笑いという事が分かる顔だが、今は急いで部屋から出ようとした。


「あぁダメダメ!ちゃんと眠って貰わないと。」


薬品が着いた綿を口元につけられ、涙と鼻水と唾液を垂れ流しながら静かに眠った。



――――――――――目が覚めたのは自分の牢獄の中だった。


「君もリルにやられたか。」


クラリスが当たり前の様に問いかける。


「―――――――はい。」


痛みで気分がおかしくなっていて、声がほとんど出ない喉で答えた。

それきり、今日の発言は無く、そのままゆっくり寝た。



―――――その日から10日、ようやくこの牢獄の仕組みがわかった。


まず日の出が上がると、朝飯が鉄格子の横にある壁の向こう(クラリスとは別の方向)から出される。その内容は酷い物で、パンはカビだらけの薄い物が一枚、スープは何が入っているのか分からない酷い物で、たまに虫の死骸が多量に入っている事もある。


そして少し日が上の方へ上がると、リルが訪れ、お気に入りの罪人を拷問室へと連れて行き。楽しむのがこの時間だ。だから罪人は来ない様に必死に願っている。

そして夕暮れ時は、仕事が無く暇な騎士の遊び相手になることもあるらしい。

僕は今まで無かったが、拷問や賭け事等に罪人を仕様しているらしい。

酷い時だとそう言う行為等をする時もあるそうだ。


そして夜になるとほぼ必ず一人以上は処刑される。この時とリルが来る時が一番嫌な時間だ。子供から大人の罪人まで全ての断末魔を聞くことになるのが耐え難く苦痛だった。


それに、最近クラリスの様子がおかしく、自分の死んだ時の話や、いつになったら処刑されるのかの話でほとんどの会話が占めていた。



そしてある日、クラリスが意味の分からない事を言った。




――――――「イヴァン、私と契約しないか。」―――――――



この小説は、一章が終わるまでの間、中心的に投稿します。

ちなみに一章が終わった後、二章の投稿は年の開けてからを予定していますのでよろしくお願いいたします!

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