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最果ての魔女 ~魔女となった少年の時を超えた復讐の旅~  作者: くぼってぃー
序章 魔女になった少年
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世界から嫌われている

──長く、綺麗な黒髪、それでいて、少し面影があるような顔。

そんな姿が鏡に映りこんでいた。


「何で……」


声も、普通の青年が発する声からは、想像できない高い声になっていた。


 ドアの音が少し軋み、父と母が入るまで、自分の置かれた状況を否定しようとしていた。これは夢だ、悪夢だ、断じて現実とは関係の無いことだ。

自分の信じた虚言は、一瞬で終わりを迎えた。


「おはよう!イヴァ……」


元気いっぱいの、母と父の声がした。

その元気も、一瞬のうちに否定された。


「父さん、母さんっ……」


涙が溢れそうだった、実際溢れていたのかも知れない。


何かにすがり付こうと、声が震えていた。


父と母は、絶句して、同時に絶望もしていた。


「イヴァン……お前何で…………」


父は、驚きと恐怖で僕よりも声が震えていた。


「あぁ、神よ何で貴方は、イヴァンをこんな風にしてしまったのですか。」


 冷静沈着で、いつでも優しくしてくれていた父さんのイメージが、崩れ落ちた。

それと並んで、母さんは、涙をこぼして泣いていた。

心情的に、精神的にきつかったのであろう。


──自分が腹を痛めて産んだ子が、世界から迫害され、忌み嫌われる魔女になるなんて。




──この状態で、成人の儀を実行できる筈もなく、1日が経過していった。

母は、1日で(やつ)れて、いつもの母は、戻ってくる事が無いことを知った。大好きな家事を流麗にこなしていく母が、料理を作らず、洗濯もしない日など、今まで無かった。


──父は、性格から、何から何まで、1日で酷く変わってしまった。

まず、飲まないと決めていた、酒を飲み始めた。それに、森の薬草を、葉巻にして吸っていた。一番驚いたのは、産まれてこの方、見たこと無い、母への暴力だった。大好きだった人達が、こんなにもあっさり崩れていく様を見ては、居られなかった。



ー次の日ー



 僕の部屋の前に、冷たく硬いパンと、しょっぱい水が置かれていた。1日泣いていたのでぐったりしていて、腹も減っている。僕は、それを貪った。


──そこからは、部屋で本を読んでいた。


 いつも本は、読まかったが、部屋の見栄えが良くなると思って置いていた。その中に、魔術の文献や、薬草の知識、護身術等の本もあった。あまり、文字は得意で無かったが、狩よりも難しくなく、すぐに読む事が出来た。本によると、魔術は、体内の魔力量に比例して発動する事ができるが、魔力を持った人間は、極めて稀で、10年に一人出るか出ないかの逸材らしい。魔法を放つのに必要なのは、詠唱だが、魔方陣を作成して置けば、無詠唱で発動出来るようだ。魔力は、食べ物、生命、睡眠によって回復することが、分かった。



これだけ読むのに、丸1日かかってしまった。読むのに夢中で、腹が減った。部屋の前に置いてある食べ物を食べようと思ってドアを開けたが、其処には何も無かった。腹が減り、下に降りると、独り言を言う母と、酒に浸る父がいた。


「母さん、食べ物が欲しいんだけど……」


それに対しての母の言葉は、残酷な物だった。


「お前のせいで……」

「何で魔女なんかになったのよ……」

「そのせいで……私は…………」


──涙を流しながら一言目を言うと同時に、僕の首の方に腕を伸ばし、女性と思わせない力で、首を絞めてきた。


苦しい、死ぬ、何で……

僕の意識は、そこで途絶えた。

目が覚めると、ベッドの上に寝かされていた。

首には、絞められた後があり、気持ちが限界になっていた。

それでも腹が減って、親がいない事が分かり、村の露店に貯めていた貯金を持っていった。


  いつもにぎやかで、落ち着きの無い所だが、油断出来ず、ローブを羽織って行く事にした。いつも挨拶をしている人達に、他人の振りをして会うのには、少し気が引けたが、魔女が嫌われている事を見に染みつけたので、慎重になっていた。


「すみま……せん、一番安いパンとスープを……下さい」


店の亭主は、不思議そうにこちらを見ながら会計を始めた。


「はいよ、銅貨5枚だ」


 手のひらを見ると、握りしめていたのは、小銅貨20枚だった(銅貨2枚相当)。

これでは全然足りない。


「すみません、、やっぱりパンだけで」


空腹で限界だった。何でもいいから腹に入れたかった。


「それなら、銅貨3枚だ」


亭主は、さらに怪しそうにこちらを見つめていた。


「なっ…………!」


買えない、お金が足らない、空腹で気が遠くなり、思考能力が低下していた。

腹が減った、もう限界だった。

僕は、気づけばパンを持って走っていた。

ローブも脱げて顔も体も見られた。

だがそんな事どうでもよかった。食べ物が手に入ったのだ。

後ろから、怒りに身を任せて走ってくる店の亭主が見えた。

恐らく盗んで逃げているからだろう。


「とりあえず、森に……!」


森の奥で見つからないように食べようと思った。


だが、近くにいた兵隊に見つかってしまった。


「おい、魔女がいるぞ!」


「捕まえろ!」


「殺せ!」


追いかけてくる兵隊。少しずつ距離が縮まり、押さえつけられた。


「―――――――!」


一瞬でくつわがはめられ、縄で拘束された。

見るからに豪華な鎧を着た男がこちらに来て。


「貴様、魔女だな」

「魔女は、この国にとって有害であり、世界に破滅をもたらす存在である」

「アルゴア王国騎士団長の命により、ここに貴様の死刑を言い渡す!」


──薬で眠らされ、気づけば牢屋にいた──


こんにちは!くぼってぃーです。

今回のお話は、イヴァンが捕まり牢屋に入るお話でした。

実際、世界では魔女狩りの名目で無罪なのに罪に問われた人もいたそうです。

本当に怖い話ですよね((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

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