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最果ての魔女 ~魔女となった少年の時を超えた復讐の旅~  作者: くぼってぃー
エルフの森と目指した英雄
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龍人の眼光

今日は2本投稿させて頂きました!


──「せめて安らかに眠れ……アルテミス」


 イヴァンが繰り出した一撃によりアルテミスの体は火炎に包まれ灰へと化したのである。彼が死に際に何を思い、何を願ったのかを知るすべは無くなった。


「────。(すごいよ! あんな化け物を倒しちゃうなんてさすがイヴァン!)」


「──いや、彼は自らを最弱と語りもっと強い奴らが下の階層に居ることが分かった……」


 アルテミスは化け物であった。しかし、彼は『秩序』の力と強化魔法を取れば王国の騎士団でも倒せるような力量であった。本当の地獄はここからなのかも知れない。それだけは、進む他に確かめる方法は無かった。


「スライム……君が加工を終わらせたから彼を倒せた。心から感謝するよ……」


「────。(でも……いくら金剛鉄だと言ってもその銃身はもう使えないね……)」


 手のひらに残っている金剛鉄で出来た銃身は黒く焦げついつており。先端も反動によって拡がってしまった。金剛鉄の固さは桁外れの物であり今回の戦闘で壁に出来たのが少しの穴と凹みだけであった事がそれを物語っていた。

 それでもイヴァンが限界まで魔力を込めた弾丸はアルテミスと床を貫通し、遥か彼方の地下までを貫いた筈であった。


「すまない……回復用の薬品をバッグから取り出してくれないか?」


 イヴァンは生きているのが不思議にも思える程に体からの出血がひどく、さらには内蔵が少し見えそうになっていた。


「────! (わ、分かった! バッグから取り出すから待っていて!)」


 スライムは慌てながら自らに収用されているバッグを吐き出し、この中から濃い翠色の薬品を取り出す。ローレライがくれた痛み止めを回復薬と調合した物であり、依存性を極力抑えて高い治癒能力をもたらす回復薬である。


「────! (はいこれ! 言われた分量で調合しておいたけど……本当に大丈夫かな?)」


「今はとやかく言っている余裕は無い……それに次の階層へと行かないと」


 スライムが渡した回復薬をイヴァンが飲み干す。イヴァンの体からは出血が止まり外部に出そうになった内蔵も全てが元の状態に戻っていく。


「─────? (イヴァン本当に大丈夫? 顔色悪いけど)」  


 高い治癒力を持つ回復薬であるが、先程失った血液は戻らず精神が不安定であった。恐らくクラリスの所有した『秩序』が精神を蝕んでいるのであろう。心臓が鼓動を速くし、脳への負担が大きく鼻血を出してしまった。


「──────! (全然大丈夫じゃ無いよ! このまま階層を進めれば倒しきる前に死んでしまうよ!)」


「僕の事はいい……それより君は自衛に徹していてくれ……他人を守るのは苦手なんだ……」


 イヴァンの目からは数時間前の光に満ちていた面影が無くなり。あるのは野望や執念に近しいギラギラとした眼光だけであった。


─────────────────────────────────────


──第漆階層──


 とても静かでどこか肌寒い空間であったがそれは恐怖から感じる幻覚では無く、周りに冷気が漂っており道を進む度に寒さは強くなっていった。

 奥の部屋にはかなり大きく作られた扉があり竜程度なら難なく通り抜けられる程巨大で冷気はそこから漏れ出していた。


「──どうぞ……入って来るがよろし」


 その声で扉は自ら開き部屋に溜まりきった冷気を一気に放出し始める。キラキラと光る蒼白の粒が冷気と共に降り注いでいくのは圧巻の景色であった。


「此所に誰かが来るって事はアルテミスが殺られたちゅう事やな……」


 中にいたのは見たことの無い用な服を着ている翼が生えた女性である。氷で作られた寝床のような物に横たわりこちらを倦怠感に満ち溢れた表情で見つめる。しかしその周りから放たれる冷気と恐怖は尋常な物では無かった。


「お前は……誰だ?」


「ウチは、第漆階層守護者。龍人のリュウメイと言います。忘れても忘れんでもええよ。別にウチは気にせえへんから」


 どこか気だるそうな彼女であったがどこか悲しそうな目をしながらこちらを舐め回すように睨みつける。まるで蛇が獲物の品定めをするかの様に……


「ウチは争い事は好こう無い……いくらクラリス様の命令でもアルテミスを倒したなら多少なりは腕が立つという事で通らせてあげてもええわ」


 呆気なく、先程の死闘が嘘のように感じられる物であったがそれでも先に進めるのに越したことは無く先へと進もうとする。


「──ただ……せめてウチを楽しませへんと通す訳にはいかへんな」


「……!?」


 イヴァンは彼女から放たれる殺気と恐怖に思わず足を止めて回避行動に乗り出す。しかし放たれた筈の殺気は倦怠感に変わっており、目の先には欠伸(あくび)をしたリュウメイが横たわっていた。


「勘違いするんや無い。ウチは君を取って喰らおうと思っている訳や無い……」


「それなら一体何をするんだ……」


「なに、ちょっとした遊戯(ゲーム)や気にする事は何も無い」



──リュウメイの目には殺気や憎悪といった感情は無いがそれでも殺意に近しい目の色をしていたのであった。


どうもくぼってぃーです!

一日に二本は少しキツかったけど思っているよりも速く書き終えました!

新たな階層の守護者とのゲームとは一体!

次回の話にご期待下さい!


もし、面白いと感じたり誤字があれば感想やTwitterにて教えて下さい!

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