旅路の楽しみ
今回と次はネタ回ですw
――――――外を見た。
気がつけば夕暮れ時から夜になっていた。恐らく魔術の類いだが、目の前で人が死んだという実感と、クラリスとミーニャの二人がどのような関係だったか、今となっては分からない。それでも最後のメッセージを見て涙を少しだけこぼしたイヴァンだったが、感情に浸っている暇は無かった。
ミーニャは必ず他にも手がかりを残しているのだろう。クラリスが死ぬ直前に放った遺言だ。必ず僕にも分かる手がかりがある。
そして、部屋を灯した緑色の光が消え、くぼみから手がかりの一つである、クラリスの手帳を取り出した。
「そういえば、これ読んだこと無かったな。」
好奇心を具現化したような性格だったイヴァンは、手帳を開いた。
中を見ると、ただの白紙の紙切れが何ページもあるだけだった。
「これの意味は、このくぼみにはめるだけだったのか?」
全くクラリスの意図が分からなかったがそれは突然分かる事となった。
「っ、痛っ!」
紙が、イヴァンの指をぱっくり切り、ページには鮮血が飛び散った。
だが、それと同時に本は発光し、文字や絵になり始めた。
「これは、魔法や魔力についての本?しかも最上級の物!?」
本を読むと、魔力に関してのあらゆる知識と使用用途、方法等が記載されていた。
だが、本題はそれとは別だった。
―――神殿について―――
神殿は、私とクラリスが作成した禁庫のような物である。
神殿の最下層に古代兵器等を封印する。
神殿はクラリスか私以外閉開不可である。
神殿はトラップや魔物を大量に用意してあるので、近く事を推奨せず。
ーーー残りは読めない文字で書かれていた。
「神殿にクラリスとミーニャが残した遺産がある。」
イヴァンは行動に出た。だが、神殿は何階層あるか分からない上、何が必要なのかも分からない内は、準備をして明日を待つことにした。
とにかく、準備と聞き込みの為にミーニャの家を出た。
外を見ると照らされており、周りが光輝いていた。
「これが、エルフの文明・・・」
エルフ達は、昼間の自然な感じを相殺しているような派手さをかもし出していた。
「――――――――!(あっ!イヴァン!おーい。)」
遠くからこちらを呼び寄せるのはスライムだった。
数時間ぶりの再開だったが、すっかり町に馴染んだようで、なんかこうキラキラしていた。
とりあえず、スライムの元に行こうと思い歩んだ。
スライムの元に着いたが、何故か嫌そうな顔をした。
「―――――――――。(イヴァン、ごめん。ちょっと匂う。)」
思い返せば、風呂に入ったのは魔女になる前だったので、匂うのは当然の事だった。
「―――――――――。(イヴァン、お風呂入ってこようか。)」
とりあえず、言われるままに風呂に進められた。
そして、歩いて4~5分の所に風呂屋のような所があった。
どうやら、エルフの領地は温泉も盛んらしく、夜になると仕事をしたエルフが風呂に入りにくるようだ。
受付に向かい、風呂に入るのを楽しみにしていた。
「お前も入る?」
「――――――――――。(私はいいよ。風呂に入ったらお湯を吸収してしまうから。)」
スライムにも、スライムなりの悩みがあると分かった。
「大人1人で。」
受付のエルフの女性は優しい声で言った。
「分かりました!鍵はこちらなのでどうぞ楽しんで下さいね。」
彼女は気前のいい笑顔を見せた。それに笑顔で返した。
そして、ようやく湯船に入れると思い、男湯に向かった。
「ちょっとちょっと!お姉さん!そっちは男湯!女性はあっち!」
「あっ。」
すっかり忘れていた。そうだ体は女なのだ。
いつも、風呂屋に来ると男湯の方に行っていたので緊張した。
「そういえば、貴方人間よね?何でこんな所にいるの?」
彼女は、まだ知らなかった。クラリスの頼みでここまで来ている事を。
そんな彼女に、クラリスの事等を話した。
「すみません!クラリスさんのご友人の方なんて!でも、すみません。規則は規則なので、女湯の方でお願いします!」
仕方が無いので、女湯の方に行くこととなった。
「すみません、とりあえずこれを着けておいた方が良いかと・・・」
そうやって渡されたのは、エルフのつけ耳だった。勘違いを孕み、いざこざが起きるよりはいいかと思い耳に着けた。
脱衣場まで来たが、やはり周りはエルフの女性だけで、緊張していた。
皆、美人でびっくりするほどの天国だったが、いざ本番になると心臓の鼓動が止まらなかった。
なるべく落ち着いて風呂までたどり着いたが、周りは全員裸体で顔を赤らめた。
―――――――――――――ヤバい、鼻血出そう。――――――――――――
こんちわ!くぼってぃーです!
女湯に無断で入るイヴァンじゃなくてよかったw
ちゃんとルールを守る子で良かったと思う(作者目線)
次回は金曜日に投稿です(21時頃)




