死後のメッセージ
ほんの少し遅れてごめん
――――――部屋中が発光して、まるで星空のような光を見せた。
「これを見ているのは貴方でしょうか、クラリス。」
眼鏡を掛けた、白髪のエルフが目の前に現れた。そのエルフに触れようとしたが、エルフはイヴァンの手を貫通した。
「もし、クラリスで無いなら、この手帳を彼の元に届けて上げて下さい。彼は今、無実の罪で獄中の中です。どうかお願いします。」
「待って、クラリスはもう・・・・いや、何でも無い、続けて。」
それを聞き、出来る事なら叶えてあげたかったが、クラリスはもうこの世にはいない。せめて、クラリスの願いを叶えると誓ったのだから、最後まで聞いて彼の墓の前で語ってあげようと決めたのだった。
「さっそくですが、クラリス。あなたの予感は正しかった・・・アイツはやはり黒でした。」
残念そうな顔をしてミーニャは言った。
「ちょっと待って、アイツって?」
だが、ミーニャは答えない。イヴァンの質問を無視して、次の言葉を発した。
そもそも、最初からミーニャの目線がおかしかった。ずっと前だけを見ており、クラリスの訃報を聞いても顔色一つ変えようとしなかった。
「だけど、掴めた情報はそれだけ。一応、貴方の言われたとうりに情報屋を10人雇用して、依頼をしたけど帰って来たのはたった1人、しかも何かあったのか、情報屋を辞めると言い出した。それに、明らかに動揺して、怯えていた。全員、裏社会で名をはせていて、完璧の人材だったけど、殺られてしまった。」
ミーニャは至らない答えを歯痒く言ったので、顔が冷静さを無くしていた。
「げほっ、ごほっ!」
ミーニャは、血を吐き出していた。緑色に写し出されていたが、それでも分かる血の吐かれる音だった。
「貴方に言っていなかったけど、私には時間がもう無いの。医者が言うには、貴方の血液が無ければとっくに死んでいたらしいわ。あの時、貴方の血で皆が救われたのを思い出す。だけど、私は貴方の血に適応出来なかった。それでも少しずつ病は治癒して行った。でも、私の病と貴方の血が交ざって、症状が悪化してしまった。」
謎はまだあったが、一番の謎は、クラリスの血をミーニャは摂取していたということだ。それに、クラリスの血は、病を治癒する事が出来る。それを知っていなかったイヴァンは、あの時何故クラリスが心臓を食らえと言ったのかが分かった気がした。
「はぁ・・はぁ。貴方は自分を悔やまなくていい。だけど、私の命は無駄にしないで欲しい。私の生きた意味は、貴方がその小さい手のひらで拾ってくれるから。それを信じて、貴方に手を貸した。」
ミーニャは、吐血しながらゆっくり話していた。
「クラリス、貴方を見たときから・・・私は!」
必死に叫ぶような、生命の最後を謳歌するように叫んでいたミーニャだった。
ミーニャの必死に叫ぶ姿を見て、こらえていた涙が、片目から一筋にこぼれ落ちた。
「貴方が・・・・大好きでした。」
そう言うと、未練が無くなったように倒れこみ、眠るように息を引き取った。
最後の顔は、痛みと苦しみに悩まされながらも、満面の笑みが死に顔だった。
始めて会った女性だったミーニャだ。
顔も知らないし、声も知らない。どんな人かも知らないし、どんな性格かも知らない。でも、ただ一つ分かった。
―――――ミーニャはクラリスを本気で愛していたと言うことだ。
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――――――アルゴア王国 某所
暗く、薄気味悪い雰囲気がする室内。
常人であれば、この空気感と威圧感に逃亡をしていただろう。
円卓のような机に4つの椅子と、4人の人影のみが視認出来た。
「・・・・・つまんねえなぁ。」
少し焼けた茶色をした、男がこの緊迫した空間に声を出した。
少しのあくびと共に、拳を円卓に叩きつけた。その後、円卓が、円卓だった物へと変化した。砕け、へしゃげて潰れた。
「俺ァ、強ェ奴と拳を交わしてェ。こんな破壊に意味はねぇが、正直暇で暇で、退屈死しちまいそうだ。」
それに、目から冷たい光と異彩を放つ少女が声をあげた。
「今の行動に、意味が無いのならそういう行動は慎んでください。貴方のその行動は、世界にとっての損失です。はぁ、このクソ脳筋が。」
それを聞き、茶色の男は血管が破裂したような音をたてて言う。
「うるせェんだよ!脳味噌ぶちまけて殺ろうか?この貧弱メスブタがよぉ!」
その答えに、舌打ちをして少女が血管を浮き出させ返答する。
「てめェ、こっちはなぁ!体重管理に困ってんだよ!運動もほとんど出来ないしな!てめェはいいよな!男だから!こっちは体重減らすのに苦労してんだよ!」
醜い争いを始めていたが、いつもの事のように(本当にいつもの事)無視して、話を進めていた。
そこで、長い金髪で容姿端麗の男が口を開いた。
「王、実は報告がありまして。」
その答えに、部屋とは相反する純白のローブを来た物は答えた。
「よい、話せ。」
「実は、私の部下が担当していた地区にある、牢獄で異常がありまして。なんと、大悪魔クラリスの処刑の際に、何者かが乱入し、牢獄が跡形も無く消失したようです。」
その言葉を聞くと、全員が殺意剥き出しの姿で動きを止めた。
「もちろん、その地区の責任者には責任を取って貰います。だが、ケジメとして、その者の始末を私に任せて下さい。」
白ローブは、黙りこみ頷いた。
「見に余る光栄、感謝感激です。」
だが、それを許さないのは、他の3人だった。
全員、王の意見に反対出来なかったが、かなり恨んでいた。
茶色の男は、後ろで中指を立てていた。
「そうだ!せっかくなので。」
そういうと、豪華な鎧を着た男、イヴァンを連行した騎士の隊長が涙ながらに連れてこられた。
「申し訳ありません!本当に申し訳ありません!ですから命ばかりはお助けを!何でもしますから!」
泣きながら懇願する姿は、騎士の威厳を踏みにじるような姿だった。
その顔を見ながら、長い金髪の男は笑って言った。
「じゃあこれを飲んで。」
そういうと、ガラス性のグラスに少し赤い液体が注がれていた。
それを見て、命欲しさに一気に飲み干した。
だが、飲み干した瞬間に異変が起きた。
騎士長は泡を吹き、倒れ、嘆いた。
次に、体が紫に変色して膨れ上がった。
そして、顔は出目金のような見た目になり、膨らみ続ける体に耐えきれずに潰された。そして破裂した。
「あーららあらら」
―――長い金髪は楽しそうに笑った。――――――
ちょっと今回はグロかったかも!
どうもくぼってぃーです!本当に投稿遅れてすいません!
次は、ちゃんと投稿します。




