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93 魔剣から聖剣へ

 1000近くの魂、その悲しみ、憎しみ、苦しみは重いものだった。

 それでもエリアはその全ての魂を救おうというのだ。

 その中にはソークツ、ドークツも含まれていた、悪人だから除外というわけではないのだ。

 罪を憎んで人を憎まず。

 彼らも生まれと環境が違えばもっと違った生き方をしていたのだろう。

 そう考えると彼らも哀れな存在である。


「くぅうう……、はぁ……はあ……」


 エリアは先ほどからずっとエネルギーを集中してレザレクションを続けている。

 このままレザレクションを続けるとエリアの命にすらかかわるレベルだ。


「エリア、ボクの力を貸すよ!」


 私はエリアの左手を自分の指を絡める形で握った。

 ルームに聞いたが、魔力を譲るには出来るだけお互いの身体の部分が接している方が良いのだ。


「ユカ……」

「ぐぅっ!!」


 エリアの手を握った瞬間、私の魔力はごっそりと持って行かれたような気がした。

 約1000人分の魂の浄化である、そりゃあ膨大な魔力が必要といえよう。

 だが私には20000以上のMPが存在している。たとえどれだけ魔力を持って行かれたとしても命に別状はないのだ。

 しかし、それでも分け与えられる魔力は限られている。

 手を繋いで受け渡した魔力はあくまでも直列繋ぎみたいなものである。

 繋いでいる部分を離すと途端に魔力の供給は出来なくなるのだ。


「ユカ様! 私の魔力もお使いくださいませ!!」


 ルームが私の開いたほうの左手に手を絡めてきた。

 ルームの魔力が私の中に流れ込んでくる、そしてその魔力は右手からエリアに注がれた。


「ルーム、ありがとう。助かったよ」

「いいえ、(わたくし)で出来る事でしたら是非とも!」


 そんな私達を後ろで見ていたホームたちも力を貸してくれた。


「僕の力も使ってください!」

「あーしも手を貸すよ」

「俺も協力する!!」


 みんな素晴らしい仲間だ、全員がエリアのレザレクションの為に力を貸してくれた。

 ……しかし、それでもまだ魔力は足りなかった。

 みんなが手を繋ぎ魔力を注ぎ続けてそれから一時間近くが経っていた。


「ゴメン、あーし、もう……ダメ」

「すまない、俺ももう限界だ」

「僕は……」

「ホーム、無理をしないでっ!」


 全員が魔力を使い果たし、手を離してしまった。

 そして、最後にルームも手が小刻みに痙攣し始めていた。


「わわ……(わたくし)はこんな事で……」

「ルーム! もういい、無理はよしてくれ!」


 そしてルームは私の手を握ったまま気絶してしまった。


「ううっ……」


 エリアの力もかなり限界に近付いている。

 しかし、私達のやっている事は無駄ではなかった。

 実際、漆黒だった魂喰らいは薄い鈍色にその刀身の色を変えていた。


「ユ……カ……」


 もうエリアは限界だ、しかし私にはレザレクションは使えない。

 こうなると、膨大な魔力を相手に与える方法は……ルームの言っていた口移ししかない!


「エリア! ボクの力を君に渡す!」

「ユカ……?」


 そのすぐ後、私はフラフラで倒れそうなエリアを後ろから支えた。

 そして……私はエリアの柔らかい唇に直接魔力を分け与える為……キスをしたのだ!


「!」

「ユカ様!??」


 ルームの言った通りだった。

 私の膨大な魔力はその大半をエリアに持って行かれた!!


「これは……この魔力は……!!」


 エリアのレザレクションの威力が跳ね上がった。

 どうやらこれは私の与えた魔力を一気に放出した事によるものなのだ。


「凄い……(わたくし)の魔力ではとても無理ですわ」


 これはエリアの力なのか、それとも私の力なのかそれはどちらかわからない。

 だが、この膨大な力は1000近くの魂を救うには十分な力だった。


 ウぉォォォ…………ン…………ン


 最後の嘆きの声が途切れた。

 その後……眩い光が辺り一面に解き放たれ……魂喰らい(ソウルイーター)はその刀身を粉々に砕かれて光の粒となった。。

 そして…………その光の粒は……再び一つに集まり、新たな輝く刀身となった。


 魔剣魂喰らい(ソウルイーター)はエリアのレザレクションの力で呪いが浄化され、新たに聖剣として再誕したのだ。

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