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924 黒竜王の村

どうにか再開です、次の話から主人公サイドの話に戻します。

長い間更新を待ってくれていた方、大変申し訳ございませんでした。

◆◆◆


「俺様の名前の村だって?」


 ヘックスは村長の申し出を聞き、驚いていた。

 今までに恐怖の対象として住処の山に名前を付けられたりしたことはあれど、感謝の気持ちで自身の名前の付いた事等一度も無かったからだ。


「我等一同、これは全員の総意です。貴方様達がいなければ、儂らは全員あのモンスタースタンピードで誰一人として生き残れなかった」

「そうです、黒竜王様、どうか我々の村の守り神となってください」


 困惑するヘックスだったが、そんな彼を優しい目で見つめているのはワタゲだった。


「わたしもクロちゃんと一緒にいたいな」


 力を再び失い小さなブラックドラゴンの姿になっていたヘックスだったが、ワタゲの表情を見て困惑していた。


「だが、俺様にはやるべき事が、ユカ達の事も気になるしな」

「うん、それは分かってる。だからわたし、ここで待ってるね。いつか必ずここに戻って来てね」

「……わかった、必ずこの村に帰ってくる、だからここで静かに待っているんだぞ」


 ヘックスはワタゲと約束をし、その光景は大魔女エントラと龍神イオリが眺めていた。


「のう、えんとら。いくらあやつがこの村の守り神として祀られるとしても、ここにずっと置いておくわけにはいかんじゃろうて」

「そうねェ、まあ……もうその想定はしてたからねェ」


 そう言うと大魔女エントラは杖を高く掲げ、遠方の山に光を飛ばした。

 魔法の杖から放たれた光は、特に何かを傷つけるわけでもなく遠方の山で天に向かって光り輝いていた。


「さぁ、あと二つ、飛ばすからねェ」

「ほう、術式結界というわけか、確かにこれならあのへっくすのタワケがおらずともこの地に魔物は入り込めなくなるのう」


 どうやら龍神イオリは大魔女エントラが何をしようとしているのかを分かっているようだ。


「さて、仕上げに……ちょっとゴメンねェ」

「な、何をする、エントラ!?」

「大丈夫、悪いようにはしないからねェ」


 そう言うと大魔女エントラはヘックスの鱗を一枚剝がした。

 そして手にした鱗に何かの魔力を注ぎ込むと、そこには本来の黒竜王ヘックスと同じ姿のドラゴンが姿を現した。


「な、何故俺様が二人いるのだ?」

「フフフ、これは……クローンという技術だねェ、アンタの鱗から読み取った情報で、全盛期のアンタの千分の一くらいの力のドラゴンを作ったってわけだねェ」


 大魔女エントラはそう言うと、村人の用意した酒を呑んで笑っていた。

 だがこの状況が理解できていないのがヘックスだ、勝手に鱗をむしられた挙句に自身にそっくりなドラゴンが目の前に姿を見せたからだ。


「おい、エントラ。一体これはどうなっているんだ?」

「アンタ、ずっとこの村で守り神やってくつもりなのかねェ? そんなのでアンタが満足するとはとても思えないけどねェ」


 そう言われたヘックスは黙るしかなかった。


 確かにフワフワの生まれ変わりであるワタゲと巡り会えたことで、ヘックスの中ではもうこれからの生涯は守りに入ってもいいと考えた部分もあるが、この世界を脅かす脅威である魔王、そして謎の存在であるバグスと呼ばれる男、そして逃げた魔将軍アビスといった者達がいる限り、平穏な暮らしはいつ終わるとも知れないのだ。


「う……うぅむ、そう言われると反論できん」

「そうだろうねェ、まだここに根を下ろすには早いって事だねェ」


 ヘックスはようやく大魔女エントラの意図がどこにあるのかが分かったようだ。

 つまり彼女はヘックスの鱗から作り出したクローンとこの村を囲むように張った結界で村にもう二度とモンスタースタンピードが起きないようにしてくれたというわけだ。


「そうだな、俺様の旅はまだ続くというわけだ。だが、やる事を終わらせた後、俺様はここに戻ってくる。そう、ここがオレ様の安住の地になる黒竜王ヘックス様の村だからな!」


 ヘックスは力強い目つきで自身の名前を関した村を目に焼き付けていた。

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