表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

917/944

907 彼女の掌の上

◆◆◆


 魔将軍アビスはまさかの攻撃方法に驚いていた。

 自身が作った数十本の瘴気の槍が彼女を後ろからめった刺しにしたからだ。


「な……何故? なんで瘴気の槍がエントラではなく……この魔将軍アビスに!?……」


 魔将軍アビスの前に立っている大魔女エントラは全く傷一つ負っていない。

 一体どうなっているのだろうか。


 実はこれは……大魔女エントラが攻撃が当たる前に自身の前にワープゾーンを空中に作ったからだった。

 そしてその出口は魔将軍アビスの真後ろに設定、この事により全力で槍をめった刺しにしようとした攻撃が全部魔将軍アビスに刺さったわけだ。


 コレはとても想定できるものでは無かっただろう。

 攻撃を避ける方法は超スピードでかわすが、そうでなければ無効化する、あるいは防御の徹底化、コレが普通考えられる方法だ。


 だが、大魔女エントラはあえて攻撃を避けるでもなく、防御や無効化をするわけでもなく、ワープゾーンを使って攻撃の全てが敵に刺さるように誘導したわけだ。


 コレは以前ユカが作ったワープ床を見て思いついた方法だ。

 また、以前彼女が黒竜王ヘックスと戦った際に黒く光り輝くブレスの方向を変える方法が思いつかなかった反省点だとも言える。


 この方法なら相手がどれ程の攻撃で迫ってこようとも、そのエネルギーや場所は全て相手の背面に出るようにすれば攻撃を受けずに自滅させる事が出来るのだ。


「そ……そんな方法が……あるなん……て」

「だからアンタは妾に勝てないのよねェ、搦め手でなら勝てると思ったんでしょうけどねェ」


 魔将軍アビスは決して正攻法で戦うタイプではない、いうならば搦め手を得意とするタイプだ。

 だが、そんな彼女を上回るのが大魔女エントラだと言えるだろう。


 魔将軍アビスは勝ちを確信していた。

 まさか大魔女エントラがいくら魔力が強くてもそれ以上の力で押しきれば魔力障壁は打ち破れると思っていたからだ。


 だがまさかこんな方法で攻撃を回避されるとはとても思っていなかったらしい。


「でも……残念よね、アタシちゃんにこの攻撃方法を使うって事は、同じ方法でやり返されると思わなかったのかしら!」


 魔将軍アビスがワープゾーンを作り、そこに瘴気で作った矢を何十本と叩き込んだ。

 当然ながら矢の出口は大魔女エントラの後ろに合わせている。

 コレで大魔女エントラは矢でめった刺しになるはずだった……。


「あら、人のマネなんて、芸が無いわねェ」


 そう言うと大魔女エントラはニッコリと笑いながら身体を半透明に変えた。

 すると当然だが、大魔女エントラ目掛けて後方から放った矢は魔将軍アビスにめった刺しになった。


「な……何なのよ! 次から次へと、何でアタシちゃんのやる事を出し抜いてくるの!!」


 大魔女エントラは笑いながら魔将軍アビスを指さした。


「そりゃあねェ、アンタの思考が単純だからだねェ、怒った後の行動なんて次に何が来るかお見通しだからねェ……」


 世界一の魔力の持ち主を自負している魔将軍アビスはまさかの大魔女エントラの言葉に唖然とした。


「な……この魔将軍アビスが単純だとぉ!!?? 絶対に許さない」

「ほら、今も出てるじゃない、アンタ、興奮すると一人称が保てなくなるのよねェ、アタシちゃんだったりこの魔将軍アビスだったり、それで簡単に先の行動が読めるのよねェ」

「なっ!?」


 魔将軍アビスは思わず口をつぐんでしまった。

 まさか自身の一人称で現在の感情が見抜かれているなんてとても思わなかったからだ。


 魔将軍アビスは何も言わず、黒い魔力の球を連発した。

 下手に思考すると大魔女エントラに行動を読まれてしまうからだ。


 だが、そんな何の考えも無い魔力球の連発なんて一番大魔女エントラを喜ばせるだけだ。


「あら、ありがとうねェ、少し魔力減ってたから、ちょうど補充したいと思ってとこなのよねェ……」


 魔将軍アビスは完全に大魔女エントラの手のうちで踊らされていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ