8 そうだ、仕事しよう(ゴブリン退治編 中編)
『レベルアップ』ゲーム業界で働いていた私にはなじみの深い言葉である。
レベルアップといっても色々なタイプがあるのは経験上知っていた。
一般人の考えるレベルアップは階段状に能力やスキルがアップするものが大半だろう。
しかしこのレベルアップアナライズの声は、私以外には聞こえているのだろうか?
少し変わったゲームでは熟練度というシステムで同じ攻撃を使い続けるとレベルのアップする場合がある。
中にはレベル1からほとんど成長せず、最強レベルになった場合にのみ今までのレベルアップで上がるはずだった蓄積を全部一気に上げるキワモノキャラも存在する、
だが、そんなイカれたシステムを作るのは和風RPGで『女湯のグラフィックに定評のある会社』くらいのものだろう(笑)
どうやら私の身に起こったレベルアップは、定番の階段状のレベルアップにスキルポイント付随のタイプのようだ。
これで少しはパラメーターの数値を自分で操作することができる。
「ここはやはり攻撃力とHPを少しメインに高めてやってみるか!」
貴重な4ポイントのスキルを私はHP2と攻撃力2追加することにした。
少し体が軽くなったような気がした。
ブンッ!シュッ!!
私は鉄の剣を軽く素振りした。
さっき少し重く感じていた剣が木の棒を持っているくらいの感覚になっていた、
これがレベルアップの実感か。
数値だけではわからない現実を私は感じた。
これで少しはゴブリン退治も楽になるのかな……。
そう考えていた時期が私にもありました……。
ガサガサ……。
『グルルル』
茂みの中から数体のゴブリンが現れた。
どうやら仲間が焼ける焦げ臭いで警戒心を高めて辺りを調べに来たようだ。
ゴブリンの手には節くれだったイボイボのこん棒が握られていた。
私を殺る気まんまんである。
「困ったことになったな、あの数を倒せるのか」
否、現実は非情である。
奇策で炎にまみれた布を巻き付けた剣で二匹のゴブリンは倒せたが、今の数はそれよりも多い、
このままでは間違いなく死あるのみだ!!
今私のできることは……逃げる!
私は持っていたお弁当を、渾身の力でゴブリン達の反対側に投げつけた。
ゴブリンが気を取られている間に逃げるのだ!!
案の定食い物につられたゴブリンはお弁当のバスケットを拾いに行った。
お弁当が一つだったのが幸いしたのか、ゴブリン達は仲間割れを始めてお互いがこん棒で殴り合いだした。
知性の低いもの同士の争いは見ていて醜い。
だが! 今はそんなものを見ている場合ではない。
私はゴブリン達がお互い争っている間に、逃げ出すことに成功した。
「ギギギ!」
「ギャウギャウ!」
私が逃げ出した途端、今までバスケットを奪い合っていたゴブリン達が私を追いかけてきた。
奴らはどうやら少ないバスケットの中身よりも、私を襲えばもっとたくさんの餌にありつけると考えたらしい。
これは非常に嫌な展開になってしまった!
私はゴブリンから全力で逃げ出した。
ゴブリンが私を追いかけながらそのあたりに落ちていた石を拾って投げつけてきた。
勢い良く投げられた石は私の頭をかすめた、どこか切ってしまったようだ。
頭の傷口から血が流れてきて血が片目に入ってしまった。
目がしみる、私はつい片目を閉じてしまった。
その時、私の目の前に不思議な光景が映った。
0000000000010001110001
0000000000110010111000
0000000000011100111100
目の前にあるものにうっすらと数字が見えているのだ。
この数字が何を意味するのか、今はそれを考えるだけの余裕がない、
私は霞んだ視界のまま0の数字の方に進んだ。
ゴッ! ゴッゴッ!
鈍い音がして私は0の先に進めなかった。行き止まりのようだ。
ゴブリンは後ろから追いかけてくる。
この0が何を意味するのか、ゲームクリエイターのカンで私はあることを考えた。




