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87 こんにちは、赤ちゃん

 双子の狼の赤ちゃんは産毛もないピンク色だった。まだ男の子か女の子かはわからない。

 サイズは流石に大狼の子供だ、赤ん坊で大型犬の成犬くらいの大きさはあった。


「クゥ……クゥ……」


 双子は目を閉じたまま包まって寝ていた。


「可愛い……」

「これが……ロボとブランカさんの赤ちゃん」

「やーん、なでなでしたくなるぅー」

「駄目だぞ! それよりも早く温かいお湯を!」


 この中で動物の事が分かるのはフロアさんだけのようなので私はその指示に従った。


「目の前の床を温水にチェンジ!」


 ぬるま湯を用意した私達は生まれたての双子を優しく洗い、柔らかい布でその体を包んであげた。


「ゥ……クゥ……」


 さっきに比べて寝息が弱くなっていた。このままではせっかくのロボとブランカの忘れ形見が死んでしまう!


「フロアさん、どうすれば良いと思う?」

「俺も詳しくは分からん、一旦ここを出よう!」


 私達は檻の人質救出と盗賊の住処の探索は後回しにして双子の狼の赤ちゃんを助ける事を優先した。



「ユカ様! お待ちしていました!」


 私達を待っていたのは商隊と助け出した人質だった。人質だった女の子と子供達は憔悴していたが命に別状はなかった。

 念の為、檻の中の人質もその後一度戻り全員解放しておいた。


「誰か!? この中で動物の赤ちゃんの事が分かる人はいますか?」


 私は大きめの声で全員に呼び掛けたが返事は無かった。

 その中で一人手を挙げた女の子がいた。


「あの……わたし、家で牛や馬を飼っています……それと猟犬や番犬の世話も」


 渡りに船だ! 助け出した女の子の中に飼育の経験者がいたのだ!


「お願いします! 貴女のお名前は」

「ファームです。アニス・ファームといいます」

「アニスさん! お願いします!」


 アニスさんは手慣れた手つきで双子の身体を優しく拭き、柔らかい敷草を用意した。


「この後どうすれば?」

「ミルクですね、温かいミルクを飲ませてあげてください」

「商隊の皆さん! ミルクを用意してください!!」


 商隊の売り物の中にはミルクもあった。

 私達はそれを人肌に温め、細い藁の先からゆっくりと双子の口にミルクを注いであげた。


「チュウ……チュウ…」


 無事、双子はミルクを飲み、命を長らえた。


「皆さんはゆっくり休んでください。この子はわたしが見ています」

「アニスさん、ありがとうございます」

「お礼を言うのはわたしの方です。貴方方が来てくれなければわたしはこのまま盗賊の奴隷として死ぬまで弄ばれてました。その恩返しが出来るのですから!」


「アタシ達も!」

「ぼくも、出来る事あったら言ってください!」


 助けられたみんながみんな、私達に何かできる事が無いか聞いてきた……。

 しかし今はまだ何も頼める状態ではないので、帰ってから考えよう。



 次の日、私達は戦いの疲れを癒すためにゆっくりと過ごす事にした。


「目の前の森を温泉にチェンジ!!」


 疲れを取るにはやはり温泉が一番である。

 私がかつてチーフとして“ドラゴンズ・スター”等の新作ゲームを完成させた後はスタッフみんなで温泉旅館によく行ったものだった。


「はー、疲れが取れるー」

「ユカ様 少し相談があるのですが……」

「ホーム? どうしたの?」

「実は……先祖伝来の名剣を折ってしまい……父上にどう説明すればいいか悩んでいるのです」


 あの激闘の中でホームがアジトに叩き折られたのは先祖代々の名剣だったのだ。


「まあ、後で一緒に考えるよ」



 さっぱりした私達は状態の安定した双子の狼の赤ちゃんの様子を見させてもらった。


「ユカ様、わたしが見て、もうこの子たちは大丈夫です。後はすくすく大きくなりますわ」


 双子の狼の赤ちゃんには産毛が生えてきていた、片方はロボと同じ銀色の毛が、もう片方の子にはブランカと同じ純白の毛が生えてきていた。


「ユカ様。この子たち、銀色の方が男の子、白い方が女の子です」

「そうなんだね、この子たちはロボとブランカさんの生まれ変わりなのかもね」

「ユカ様、せっかくですから貴方が名前を付けてあげてください」


「え? ボクがですか??」

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