875 決死の撃破法
この脅威の怪物ウルティマ・ザイン。
コイツを倒すためにボクはワープ床で腕を別の場所にワープさせてやった。
つまり、この脅威の怪物は自己修復能力を持つので破壊された箇所を自ら治す事が出来る。
だからいくら攻撃してもコイツはその度に修復させるのでいつまで経っても倒せないというわけだ。
しかし、ワープ床で腕をどこかに飛ばしてしまえば、修復したくても元のパーツは残っているので修復できない。
だから実質的にアイツの腕は修理出来ずにどこかに消えたままということになる。
ボクが作ったあのワープ床、実際はウルティマ・ザインの手はその遥か下に座標を合わせているので腕は地下深くに埋もれた事になっている。
そして、切り落とされた腕はあくまでもただの物体なのであの脅威の光の剣で攻撃しようとしてもエネルギーが腕に届いていないので動かしようが無い。
ボク達は古代文明最強の敵をそうやって攻撃力を奪う事に成功した。
だが、それでこの怪物に勝てたとはとても言い切れない。
アイツには腕の剣を奪ってもそれ以外の武器がまだ残っているのだ。
ホームさんが先程から肩のパーツを斬り続けてくれている。
それなのであのミサイルという武器は再生し続けるだけで発射は出来ていない。
でもだからとこのままの状態が続けばホームさんの力が尽きてしまうだけだ。
どうにかしてこのウルティマ・ザインを倒す方法を考えないと。
ボクの出来る事、例えコイツを上空から叩きつけても再生を続ける。
だから地面のマップチェンジでコイツを倒すのは難しい。
さて、どう攻撃すればいいだろうか。
そんな事を考えていると、ウルティマ・ザインが舌を伸ばしてボクを捕まえてきた。
「なんだって!?」
ダメだ、こいつの舌、ボクを一気に口に放り込んでしまった。
「キャアアアア! ユカ様がー!?」
だがこれはチャンスかもしれない!
ボクは歯で噛み砕かれる前にウルティマ・ザインの内部に入り込んだ。
以前バロールを倒した時も内部から破壊したけど、今回も内部から壊せばこいつを倒せるかもしれない!
「この足元を土塊にチェンジ!」
ボクはウルティマ・ザインの内部を土に変えてしまい、剣を突き立てて外部に脱出した。
よし、この方法なら倒せる!
——だが、ウルティマ・ザインはそんなに甘い敵ではなかった!——
土塊になってボロボロと崩れ落ちたはずの内部がどんどん修復されていく……。
そして数分もすると、ウルティマ・ザインはすっかり元の姿に戻っていた!!
なんという脅威の再生能力だ!
ボクが内部から壊せると思っていたウルティマ・ザインは、あっという間に自己修復を完了させた。
不幸中の幸いと言えるのは、腕の再生が出来ていない事だろうか……。
しかしこのままではいつまで経ってもアイツを倒せない。
こうなったら強烈な溶岩でアイツを溶かしてやる!
「アイツの足元を溶岩にチェンジ!」
コレで溶けてしまえばいくら古代の脅威でももう復活出来ないだろう。
実際ウルティマ・ザインは高温のマグマに飲み込まれ、ドロドロと溶けていった。
今度こそ倒せたか……。
だが、体の半分くらいが溶けかけたところで、ウルティマ・ザインは再び体の一部を光らせて自己再生を始めた。
あの光は!?
溶けたパーツを再生させながらウルティマ・ザインが動き出す。
そして、ウルティマ・ザインは一瞬目を光らせて沈黙した後、背中の巨大な二本の柱を前に倒してきた!
これは、まさか……!
ウルティマ・ザインが咆哮を上げた。
すると、ボク達は全員の動きがものすごくおそくなってしまった。
これは! まさかアイツ、重力を制御しているのか。
ダメだ、動けない!!
その場から動けないボク達に、ウルティマ・ザインの二本の柱がむけられた。
柱の間にはとてつもなく巨大なエネルギーが集められている。
アイツ、まさかボク達をあのエネルギーで消し去ろうというのか!?




