874 究極の兵器
ボクがはるか上空から一気に地面に叩き落としたウルティマ・ザインはバラバラに砕けたものの、その後何事もなかったかのように自己再生していた。
なんという再生能力だ。
しかもコイツは生命体とはいえない一種のゴーレムのような存在だ。
だからどこまで砕けても元の形に戻ることが出来る。
切っても焼いても雷でもダメという事だ。
正しく言うならば、すべての攻撃は通用する、しかしそのすぐ後で再び再生するので攻撃が意味無いというべきだろう。
つまりこのウルティマ・ザインという怪物は、打たれ弱い代わりに脅威の再生能力を持ったバケモノだと言える。
だからボクやホームさんの攻撃が通用しなかったのだ。
こいつを倒すためにはこの脅威の再生能力を封じなくてはいけない。
しかしどうやってコイツの再生を止めるか、それがわからない限りはいつまでもコイツには勝てない……。
さあ、どうやればこの怪物を倒せるのだろうか。
ウルティマザインはボク達目掛けて円筒の金属を飛ばしてきた!
『気をつけろ! ミサイルだ!!』
ソウイチロウさんがボクにウルティマ・ザインの武器の事を伝えてくれた。
『ソウイチロウさん、ミサイルって何ですか?』
『今は詳しく話している時間は無い、すぐに地面を低くしてやり過ごすんだ!』
ボクはソウイチロウさんの指示通り、マップチェンジスキルで地面の高さを低くし、ミサイルという武器の直撃を避けた。
ボクの避けた辺りはミサイルによる攻撃で、地面がボコボコになっている。
ソウイチロウさんがもし教えてくれなければ、ボク達はあの直撃を喰らっていたかもしれない……。
どうやらウルティマ・ザインのミサイルとはあの円筒の金属に爆発の魔法を詰め込み、相手の近くに弓のように放ってから爆発させる武器のようだ。
こんな兵器の事を知っているなんて、この武器はソウイチロウさんの世界では普通に使われていたのだろうか。
ボクは再度ミサイルが飛んでくる前にウルティマ・ザインの肩をミサイルごと切り飛ばした。
「リィ……リリ……」
この耳障りな音、コレはウルティマ・ザインが動き続ける限り聞こえてくるのだろうか。
でも反対に考えると、この音が鳴らなくなる=ウルティマ・ザインを倒した証明、ともいえるかも。
ウルティマ・ザインは再び右手の巨大な光の剣でボク達を攻撃してきた!
「バリアフィールド!」
ルームさんの魔法、バリアフィールドがボク達を覆う。
しかし大抵の物理攻撃を受け止めるはずのバリアフィールドが完全に一度で砕ける使い捨て状態だ。
このバリアフィールドの魔法、発動させるには通常の魔法使いには膨大な魔力が必要になる。
一度でMP100以上は使う魔法だ。
それが人数分かけるとなると、一度の消費量は400以上になる。
いくらルームさんが大魔女エントラ様に匹敵する魔力があるといっても、MP量はかなり差がある。
だからそれほどこのバリアフィールドの魔法を連発出来ない。
——どうにかしてあのウルティマ・ザインの超再生能力を止めてあの武器を奪わないと!!——
「リィ…………リリィ……」
ウルティマ・ザインが光の剣を大きく振り上げた!
このままではバリアフィールドが持たない!
「ユカ様、僕がアイツの手を狙います!」
ボクの前に立ったのは手をエリアに治療してもらったホームさんだった。
彼は大剣魂の救世主を構え、剣に自らのオーラを注ぎ込んだ。
「攻撃させないためにはあの腕を使えなくすればいいんですよね! 行くぞっ」
ホームさんは大剣を斜めに構え、袈裟懸けにウルティマ・ザインの手首を狙い切り落とした。
「アイツの手の下をワープ床にチェンジ!!」
地面に落下するはずのウルティマ・ザインの光の剣と手首はボクの作ったワープ床に吸い込まれた。
これであの光の剣はもう使えないはずだ!




