870 遺跡最奥部にて
鉄巨人は水浸しに最大出力の雷魔法を喰らった事で中の機械が壊れ、動かなくなった……。
「やった! コレでようやく鉄巨人を倒したんだ」
「やりましたわね、ユカ様」
喜んだボク達だったが、その背後で沈黙したはずの鉄巨人がいきなり動き出した!?
な、何だって。
まだ戦えるのかコイツは……。
だが、再び動き出したはずの鉄巨人はグラッと崩れ落ちそこにバラバラになって散らばった。
どうやらコイツが動いたのは最後の一瞬だけだったようだ。
難敵だった鉄巨人は今度こそ永遠に沈黙したのだ……。
「さあ、先に進もう」
ボク達は遺跡の階段を降り、地下六十階を目指した。
一体この遺跡はどこまで続いているのだろうか?
流石に地下五十五階を過ぎると敵は一体も出てこなくなった。
これが意味する事は……この一番奥には伝説の古代兵器、ウルティマ・ザインが存在するという事なのか。
そもそもウルティマ・ザインとは一体何者なのか……。
ボク達は地の底までも続きそうな階段を降り続けた。
地下五十八階、ここには何かの古代文字で書かれたタブレットがあったが、読めないので持っていくだけ持っていこう。
大魔女エントラ様ならこれを解読できるかもしれない。
地下五十八階にはこれ以外には何も無さそうだ。
そして、地下五十九階。
ついに一番奥に近くなったのだろうか、ここには巨大な作りかけの腕や足、胴体の一部と思われる物が色々と置かれていた。
どうやらこれがウルティマ・ザインの予備パーツだとすると、敵の大きさはバロールや鉄巨人に比べると小さいが、やはり通常の敵よりはよほど巨大な怪物だと言えるのだろうか……。
この地下五十九階でボク達が見つけた物は、何かのカードだった。
このカードはいったい何を意味するのだろうか。
そして、さらに階段を降りた先は地下六十階だった。
ここはとても大きなフロアで、コロシアムとは少し違うようだがかなりの広さがあった。
ボク達が先に進もうとすると、何か見えない壁があり、それより向こうには行けなくなっている。
間違いない、この先にウルティマ・ザインが封印されているのだろう。
だがここにある見えない壁、これをどうにかしない事にはいつあのウルティマ・ザインが意図しない時に復活して世界をメチャクチャにするかわからない。
それならば今のうちに完全破壊してしまった方が良いのだろう。
でもどうやってこの見えない壁の先に行けば良いのだろうか?
ウルティマ・ザインの姿はここからはボク達に見えない。
いや、ひょっとするとここには存在しないのかもしれない。
それならこの見えない壁は何のためのものなのだろうか?
ボク達は遺跡の地下六十階の見えない壁の手前側の場所をくまなく調べた。
そして、ボク達の見つけたのは何かの小さなものを入れる窪みだった。
どうやら何かをここに入れるとあの見えない壁の先に行けるのかもしれない。
しかし一体何をそこに入れれば……。
ボクがそう思っていると、ソウイチロウさんがアドバイスをくれた。
『ユカ、その窪み、ひょっとするとあの火山の村の宝石に形が似ていないか?』
『火山の村の宝石……? あ、アレか!』
ボクは火山の村で手に入れた宝石を窪みにはめてみた。
すると、全く動かなかった機械が何かの音を立てて動き出し、その後再び動きが止まった。
ボク達が先程の見えない壁の場所に行くと、そこの壁が消えて先に進めるようになっていた。
よし、コレでこの向こうに行ける!
ボク達が遺跡の最奥部に到達すると、そこにはウルティマ・ザインどころか何一ついなかった……。
あれ? 一体どうなっているんだ??
遺跡の一番奥にウルティマ・ザインがいると思っていたのにここには何もいない。
ボク達は唖然としていた。
なぜならそこに絶対にいると思っていた敵がいなかったからだ。
一体ウルティマ・ザインはどこにいるのだろうか??




