869 強敵! 鉄巨人
鉄巨人は蛮刀を素早く振り回し、攻撃を仕掛けてきた!
こういう難敵なら足元を溶かしてしまえば倒すことも出来る!
「アイツの足元を溶岩にチェンジ!!」
コレで足元から溶ければ簡単に倒せそうだ。
——だが、この強敵はボクの予想を大きく上回った。——
鉄すら容易に溶かすこの溶岩は、あの鉄巨人の足元に何のダメージにもなっていない!
どうやらあの金属そのものに耐熱魔法がかけられているのだろう。
ボクは足元を元の地面に戻し、別の戦法に切り替える事にした。
「ボクの足元の高さをチェンジ!」
コレでアイツの体を踏む事ができれば前回機械竜を倒したのと同じ方法で倒せる。
ボクはそう思っていた。
だがっ!!
ズバッ! ズガッ!!
ボクが地面の高さをチェンジする先からあの蛮刀を振るい、足元が切り崩される。
まさかコレほどの強さだとは!
仕方なくボクは地面をマップチェンジで大きな穴を開ける事にした。
「アイツの足元を大きな穴にチェンジ!!」
コレでどうにか倒せる!
そう思ったのにアイツは背中の二つの円筒形の金属から火を吹き、穴から飛び出してきた。
『オイオイ、ロボアニメかよ!?』
『ソウイチロウさん、何ですかそれ?』
『今はそれについて話している時間が無い。今度教えてやるから!』
まあ、ソウイチロウさんの言う単語は僕の知らない事ばかりなので多分聞いてもわからないと思うけど……。
それよりも、この鉄巨人、地面変更も落とし穴も上からの攻撃も出来ないとなると、一体どうやって倒せば良いんだ!?
鉄巨人は蛮刀を素早く振り回しながらボク達を攻撃してくる。
この蛮刀が一度振るわれると、壁が砕けるくらいだ。
壁も地面も切り崩されるので鉄巨人の上に登る事が出来ない。
「ユカ様、私が飛行魔法で上空にお運び致しますわ!」
「ルームさん、ありがとうございます!」
ボクはルームさんに抱えてもらい、どうにか上空に上がったが、そこを狙うように鉄巨人の目から怪光線が放たれた!!
「危ないっ!」
ボクは瞬時に手を離し、下に落下した。
重みが無くなったルームさんは上に跳ね上がられた形になり、ボク達のいた場所を怪光線が空を切った。
もし、あのまま二人あの場所にいたら、二人とも怪光線の直撃を受けていたかもしれない……。
くそっ! このままではジリ貧だ。
鉄巨人の猛攻の前にボク達はなかなか攻撃の糸口を見出せない。
こうなったらもうやぶれかぶれだ!
「ボクの足元を階段にチェンジ!!」
ボクは足元の地面を段差のあるランダムな階段にしてどうにか上に登った!
鉄巨人の蛮刀が次々と足元を切り崩していく!
でもその度にボクは足元をどんどん階段にする事でついに鉄巨人の目線の高さまで登り切った。
よしっ! あの頭部に乗る事が出来ればっ。
ボクは崩れかけの階段から鉄巨人の顔にジャンプした。
「うおおーっ!!」
ボクは新生エクスキサーチを突きつけ、鉄巨人の目に突き刺した!!
「グゴォオアアアアッ!?」
鉄巨人が叫びとも軋みともつかない大きな音を上げていた。
目を奪われた鉄巨人は誰もいない方向を蛮刀で切り裂いている。
よし、これでようやく勝ち目が見えた。
そして暴れ狂う鉄巨人は遺跡の天井にも攻撃をし、天井と一部が崩れてきた。
するとそこはどうやら地下水脈だったらしく、鉄巨人は全身水浸しになっていた。
——アレだけ全身水塗れなら、ひょっとしたら。——
「ルームさん、今は雷の魔法を使えますか?」
「勿論ですわ! 私にお任せくださいませ!」
ルームさんはそう言うと、杖を高く掲げた。
「行きますわよっ! トォールゥ……ハンマァァー!!」
ルームさんの雷魔法トールハンマーは水塗れになった鉄巨人の全身を雷で貫いた!!
やった、コレでようやくあの鉄巨人を倒した。
ボクはその後動きの止まった鉄巨人を見て安堵した。




