867 スキルの延長線
ボクは機械竜より高い地面を作り、そこから一気に飛び降りて機械竜の背中にしがみついた。
前ではホームさんが大剣で機械竜の攻撃を受け止めてくれている。
だから機械竜は背中にいるボクをそれ程の脅威だとは思っていないようだ。
もし、ボクのスキルが自分の思っているようなものならこの機械竜にも通用するはず!
つまり、ボクのスキルは地面を自在に変えるマップチェンジ、だから足や靴で踏めるならコイツのオリハルコンでできた装甲も建造物や地面とみなしてマップチェンジが可能かもしれない!
実際ボクはバロールと戦った時、内部からアイツの制御室の床を土塊に変えて穴を開けて倒した事がある。
だから今回も内部では無いが足で踏んだこの機械竜の背中をマップチェンジ出来れば翼をもぎ取る事もできるはずだ!
コイツは生き物ではなく金属で作られているいわば機械や建造物の扱いだ。
あのバロールも同じく生命体ではなかった。
だからこのスキルが使えれば機械竜を倒す事も可能!
ボクは手をかかげ、機械竜の背中目掛けてマップチェンジスキルを使った! コレで何の効果も無ければ普通に戦うしかない。
「目の前の金属床を土塊にチェンジ!!」
ボクの目の前で機械龍の背中が土の地面に変化した! 成功だ!!
ボクは機械竜の背中の翼を掴み、思いっきり押したり引っ張ったりした。
ゴキャッ!!
鈍い音を立て、機械竜の背中の翼がもげた。
剥き出しになった背中には土塊がついたようになっていてもげた翼の部分が大きな穴になっている。
ボクはその背中目掛けて新生エクスキサーチを突きつけた。
すると、土塊になった背中には簡単に剣が刺さったのでボクは一気に背中を切りまくった。
背中の装甲が剥き出しになったのを確認したボクはあえてホームさんのいる前に飛び出し、機械竜の注意をこちらに向けた。
「こっちだ! こっちを見ろ!!」
「ガァァアッ!」
成功だ! 機械竜はボクの方を見て攻撃対象を変えた。
そしてボクはあえてホームさんのいる向きと反対に走り、機械竜を彼らの背中の見える側に向かせた。
「今だ! ルームさん! 魔法をお願いします!!」
「わかりましたわ! トールゥゥ……ハンマァァー!!」
ルームさんの渾身の雷魔法が機械竜の剥き出しの背中に直撃! そして機械竜は内部で細かい部品が破裂し、動きがぎこちなくなった。
よし、ここまでなれば倒せる!
ボクはマップチェンジで地面の高さを変更し、機械竜の首に飛び降りた。
「足元の金属板を土塊にチェンジ!!」
機械竜の背中側の首の付け根が土塊になり、首がグラグラになって外れかけた。
「であぁぁぁ!!」
ボクは新生エクスキサーチを突きつけ、機械竜の首を胴体から一気に切り裂いた。
すると、首を失った機械竜はその場でしばらくジタバタしたが、そのままゆっくりとその場に倒れた。
ズズゥーーン!!
とてつもなく大きな音を立て、機械竜はその場に崩れ落ち、二度と動かなくなった。
ボク達はついにレベル70以上の古代ゴルガ文明によって作られた最強の敵、機械竜を倒したんだ!!
機械竜が機能を停止し、この階の敵は全ていなくなった。
ボク達は機械竜が邪魔して通れなかった地下への階段を降りて、さらに地下深くを目指した。
ここまで来るとモンスターのレベルも60前後がデフォになり、ボク達もそう簡単に倒せなくなっていた。
さて、一旦地下五十階まで行ったらもう一度ダンジョンの外に出よう。
流石にあの機械竜を相手にした事でボク達はかなり体力的にも精神的にも疲労していた。
今度戻ってきた時はウルティマ・ザインと戦う事になるのかな……。
そんなことを考えながらボクは誰もいない遺跡の地面をワープ床にチェンジし、遺跡の入り口まで戻った。
さあ。次こそはこの遺跡の一番奥まで到達してやるぞ!!




