866 出現! 機械竜
地下四十五階に到着したボク達の前に現れたのは、全身銀色の黒竜王ヘックスそっくりなドラゴンだった!!
「コレは! 間違いなく最強レベルの敵だ! みんな、気をつけて」
「わかりましたわ、バリアフィールド!」
ルームさんがバリアフィールドの魔法を使ったが、その直後に機械龍の口から火炎が吐かれた!
もしバリアフィールドのタイミングが少し遅れていたら、ボク達はあの機械竜の火炎で丸焼きになっていたかもしれない!
「ふう、危機一髪でしたわね」
「ルーム、ここは僕に任せてくれ」
ホームさんが大剣魂の救世主を構え、機械竜に向かい合った。
この機械竜、古代ゴルガ文明があの黒竜王ヘックスを倒す為に作り上げた兵器に違いない!
色の違い以外、コイツはあの黒竜王ヘックスとほぼ同じだと言える。
動き方、体体の作り、攻撃方法、そのどれもがあの黒竜王ヘックスに被るところがあるのだ。
それだけに苦戦は必須だ。
ボク達の今戦っている相手は弱体化する前の黒竜王ヘックスと同等の強さだと言える。
コイツには並の武器は全く通用しない。
ボク達の持つのはオリハルコンの武器だからどうにか戦えるが、もしそれが無ければ傷一つつける事も出来ずに全滅は確定だ。
コイツは空も飛べるので逃げようとしても回り込まれる、どちらにせよボク達は今コイツを倒す以外にここを切り抜ける事は不可能だ。
この機械竜のレベルは間違いなく70以上! つまりは魔将軍や黒竜王ヘックス、大魔女エントラ様やドラゴンの神のアンさんにも匹敵する最強のバケモノだ。
人間が作った物だとしては間違いなくウルティマ・ザインやオルビス・ザインにも負けない程の怪物だと言える。
機械竜は口からの火炎以外にも目から放ってきた破壊光線、翼から巻き起こされた雷を含んだ大竜巻といった攻撃を繰り出してきた。
そのどれ一つとっても、通常の冒険者では一瞬で死ぬほどの破壊力だ。
しかも機械竜はその攻撃を休む暇なくボク達に浴びせ続けている。
ボク達はバリアフィールドの魔法で守られているので、この攻撃を全部無効化出来ているが……それも長くは持ちそうにない。
流石にこれだけの猛攻になるとバリアフィールドで守れるのも限度があるわけだ。
しかもこのバリアフィールド、張り直すのには少し時間がかかりそうなのでその無防備な間に攻撃を喰らってしまっては下手すれば負けてしまう。
――さて、どうやってアイツを倒すか……。――
コイツ相手には地面と天井のオリハルコンを使ったマップチェンジによる挟み込みも、落とし穴を作って落としても翼を使って空を飛ばれては意味が無い。
コイツを弱体化させる事は難しいので、それならやはりあの翼を奪う以外の方法は思いつかない。
つまりいくら地面を変更しても飛ばれてしまっては意味が無いのだ。
どうにかあの翼を攻撃して空を飛べなくしなくては!
ボクはあの機械竜を倒す方法を考えていた。
そういえば、ボクのこのマップチェンジのスキルは……一度踏んだ事のある地面をチェンジする能力だといえる。
それなら、あのバロールの中に入り込んで制御室の地面をを土くれにしてたおしたあの方法なら!
「ホームさん、どうにかあの機械竜の攻撃を釘付けにしてもらえますか? 攻撃よりもひたすら防御に専念してほしいんです」
「わ、わかりました。それで、ユカ様はどうされるのですか?」
「ボクは……アイツを倒せる方法を考えてみたから、それが出来るかどうかを実践してみるよ」
ボクはそう言うとホームさんが機械竜と向き合っている後ろ側に向かって走り、足元の地面をマップチェンジした。
「ボクの足元の高さをチェンジ!」
そしてボクの足元の高さは機械竜を上から見下ろすくらいに変化、ボクはその高さから一気に機械竜の背中に飛び降りた。




