861 サバクオオミミズのロースト
領主様の屋敷に招かれたボク達は食べきれない程のご馳走を用意してもらった。
「さあ、どうぞ遠慮せず召し上がってください。サンドイーターに襲われた時のための備蓄ですが、もう今後は必要なさそうですから」
そう言ってボク達の前に出されたのは肉メインの料理だった。
どうやらこの国では野菜は貴重みたいだ。
なので大体肉と果物というのがこの国でのメインの食事になるらしい。
「このお肉美味しいですわ」
「そうでしょうそうでしょう。それは最良のサバクオオミミズの肉ですから。遠慮せず召し上がってください」
「!?!? っゲホッッゲホッ」
肉の事を聞いたルームさんが思いっきりむせてしまった。
彼女はその後ナイフに刺さった肉を複雑な表情で見つめている。
「おや、お気に召しませんでしたかな? サバクオオミミズはこの辺りで取れるこの国の高級食材ですよ。サンドイーターはそのサバクオオミミズが大型化したものなのです」
あららら、それなら溶岩に落として倒さずに肉にすればよかったかな……。
「領主様。貴重な食糧をありがとうございます」
ホームさんはサバクオオミミズの肉を普通に食事として食べていた。
「お兄様、それって……」
「ルーム。元を気にしなければ結構美味しいよこれ」
ホームさんはサバクオオミミズのローストを問題なく食べていた。
まあこの地域の人達が普通に料理として食べているならそれほど不味いものでは無いだろう。
ボクもこのサバクオオミミズの食べてみたけど、これ……結構美味しい!
言われなきゃミミズとは分からず、何か袋に包んだ肉のようだ。
『コレはまるで太いウインナーソーセージみたいなだな』
『ソウイチロウさんはコレに似たもの食べたことあるんですか?』
『豚の腸にひき肉を詰め込んだウインナーってのがコレに似てたんだよ』
豚の腸にひき肉?? それっていったいどんな料理なんだ??
でもソウイチロウさんがいうウインナーってのがコレに似てるというならそうなんだろうな。
今度母さんに作ってみてもらおう。
最初は抵抗のあったルームさんみたいだけど、食べたら美味しかったのは認めてるみたいでその後はサバクオオミミズのローストを食べていた。
「おかわりですわ」
どうやら、食欲は素直なようで、ルームさんはサバクオオミミズのローストをおかわりしていた。
そんな彼女をホームさんが笑いながら見ている。
エリアさんはどうもこの料理には最初から抵抗があったようで先程から果物だけを食べているみたいだ。
「救世主様、この街をお救いいただき誠にありがとうございました。私はこの街の領主のユデンです」
「ユデン様。ボクはユカ・カーサと申します。こんな立派な食事にご招待いただき、こちらこそありがとうございます」
ボクは領主のユデン様に挨拶をした。
「いえいえ、ユカ様がおられなければこの街はサンドイーターによって無茶苦茶になっていました。ユカ様のおかげでこの街は救われたのです。それにユカ様は聞くところによるとこの砂漠に水の流れる川を使った奇跡の使い手だともお聞きしました」
まあ、それは間違ってないけどね。
「この砂漠の街を救っていただいたユカ様を事もあろうに水泥棒扱いした者達がいると聞きます。その者達は即刻罰を与えますのでご容赦ください」
「そ、そんなことしなくていいですからっ。それよりも今後は水で争わないでくれればそれでいいんです」
「おお、なんと心の広い方なのでしょうか。わかりました、ユカ様がそうおっしゃられるならそのように致します」
助かった、ボクのためにと言って誰かを処罰するなんてむしろやめてほしい。
「ところでなぜユカ様はこのような砂漠に来られたのでしょうか? こんな何も無い場所ですが……」
「実はボク達は古代遺跡を探してここに来ました」
「古代遺跡、はて……何の事ですかな?」
ユデン様は何か思い当たることがあるのだろうか?




