858 襲撃! サンドイーター!
ボク達は地震が起きて、捕らえられていた牢から脱出した。
「出たぞー! サンドイーターだ!」
「助けてー!」
この街の人達は、突然現れた超巨大な芋虫の怪物に驚いていた。
どうやらあの地震はコイツが起こしたみたいだな!
ボクとエリアさん、ホームさんとルームさんは街の中央部に向かった。
すでに街は大混乱だ。
大勢の人達がサンドイーターに怯えて動く事も出来ない。
どうやらあのサンドイーターの強さはレベル50前後といったところだろう。
この村の自警団の人達は、一番レベルの高い人があの隊長さんだろうがそれでもレベル20台後半といったところだろう……。
そんな彼らがあのサンドイーター相手に勝てるわけが無い。
「ぼうず、何をやっているんだ。逃げなさい、アレは人間の敵う相手ではない。砂漠の神の使いだ。神の使いは自然そのもの。人間が自然に勝てるわけが無いんだ……」
――そんな事は無い、ボク達はあれ以上の怪物を次々と倒してきたんだ。
この街の人達が怯える怪物、あのサンドイーターのせいで水が手に入らないなら、ボクがアイツを倒してやる!
「ホームさん、ルームさん、ボクと来てくれますか!」
「勿論です。ユカ様」
「いいですわよ。私今とってもムカムカしてますから、思いっきりぶっ放したい気分ですわ!」
まあ理由はともあれ、二人共ボクに協力してくれるようだ。
ボク達三人が居ればあのサンドイーター程度なら余裕で倒せる。
でもそれだとここの人達にボク達の事を怖がられてしまい、この後は色々と動きにくくなる。
それなら、ボク一人だけが神の使者として暴れるサンドイーターを倒し、二人はそれを手伝った信徒ということにした方が話はスムーズに進みそうだ。
「ルームさん、あのサンドイーターの頭目掛けて魔法を撃てますか?」
「良いですわよ、それではファイヤーボールでいいですわね!」
ルームさんはファイヤーボールの魔法でサンドイーターの頭部を吹き飛ばした。
街の人達はそんな彼女の魔法を見て驚いている。
だが、サンドイーターは吹き飛ばされた頭部を再び再生させ、暴れ出した。
「まあ、予測通りだよね」
「ユカ様、それはどういう意味ですかしら!? それじゃあ次はブリザードストームでもお見舞いしましょうか!」
ここでルームさんに上位魔法を使わせるわけにはいかない。
下手にそういう魔法の使い手が現れたと噂になると他の町に行った際に噂が広まってしまう。
あくまでもここで目立つのはボクだけにしておいた方が良いんだ。
これはボクが目立ちたいからではない、むしろ本来ならそんなことしたくは無いんだけど……救世主が現れたといった噂が広まった方が色々とこの砂漠の国の事を聞きだせる可能性があるとボクは睨んだ。
「いや、ここはボクが一人でアイツを倒す。二人はこの避難した人達に犠牲が出ないように守ってくれないか」
「ユカ様、承知いたしました」
「承知いたしましたわ、プロテクトウォール!」
ルームさんの防護魔法が巨大な透明の防護膜を作った。
これでボクが暴れてもサンドイーターが暴れても彼等には危害は加わらない。
「さて、行くぞ!」
ボクは街の人達が見ている中、サンドイーターに向かって走り出した。
「アイツの足元を凍り付いた雪にチェンジ!」
「ギャゲゲゲオオォオオン!?」
思った通りだ。
この怪物は寒さに弱い。
本来ならルームさんのブリザードストームで凍らせればすぐに倒せる敵だったが、それでは彼女が恐れられ、下手すれば魔女扱いで追われる事になる。
だから魔法ではなく天変地異を使いこなす神の使者としてアイツを倒す必要があるんだ。
ボクの作った雪原で凍り付いたサンドイーターは身体が動けなくなっていた。
さあ、次はどう片付けてやろうか。
ボクは新生エクスキサーチを握り、サンドイーターの牙をぶった切った。
すると牙を切り飛ばされたサンドイーターはその場でもがき苦しんでいた。




