829 アンデッドの群れ対ユカ
ボクのマップチェンジスキルは大量のアンデッド達の蠢く地面の両横を聳り立つ巨大な土壁に変えた。
迫り上がる最中に空中に跳ね上がられたアンデッドの群れが空中に舞い上がり、そのまま地面に叩きつけられて粉々に砕けている。
コレがアンデッドだから砕け散っているだけだが、もし人間相手にこのマップチェンジスキルを使ったら、確実に大量殺戮確定だ。
このスキルの使い方、気を付けないとマジで天変地異のレベルになってきているな……。
ボクのスキルで跳ね上げれたアンデッドが何百と砕け散ったが、それでも砕け散ったアンデッドが合わさり、屍鬼化して巨大なボーンゴーレム状態になったりしている。
「とりあえずアンデッド相手なら全員の武器にホーリーエンチャントをかけた方が良さそうだねェ!」
「エントラ様、お願いします」
大魔女エントラ様はボク達のオリハルコン製の武器にホーリーエンチャントの付与魔法をかけてくれた。
本来オリハルコンだけでもアンデッドには効果があるが、それにさらにホーリーエンチャントをかけた事で、アンデッドへの攻撃力は本来の数倍以上に跳ね上がっている。
だがもしボク達以外がこのアンデッドの群れと戦っても、死体の群れが増えてアンデッドの戦力増加になるだけだっただろう。
本来のアンデッドを倒す事とはそれ程難度が高いといえる。
でも今のボク達にとっては、この程度のアンデッドなんてまるで相手にならない。
一人で数百、下手すれば数千を相手に出来る程だ。
さて、一気に倒すとしよう!
「ボクの目の前の地面をマグマにチェンジ!!」
ボクはマップチェンジスキルで前に迫ってくるアンデッド達をマグマの池に次々と落とした。
前に進むのみの命令を受けているアンデッドは目の前にマグマの池があっても避けようとはしない。
これで数百から数千のアンデッドが一瞬で姿を消した。
「こちらも行きますよ! オーラブレード!」
ホームさんは魂の救世主を握り、生命エネルギーを剣に注ぎ込んだ。
ただですらアンデットに強いオリハルコン、それに聖属性のホーリーエンチャント、そしてホームさんの光の生命エネルギーを加えた事で、攻撃力は本来の六倍から十倍程に跳ね上がっている。
「さあ、アンデッドめ、僕が相手だ!」
ズバァアアッ!
ホームさんのオーラブレードは一瞬でアンデッドの群れを搔き消した。
さらにこの大剣、死者の魂を浄化する力があったのでこの剣に斬られたアンデッド達は次々と呪いを断ち切られ、天に昇っていった。
「望まれぬ偽りの生を与えられし者達よ、光の中に還るのです。レザレクション!」
エリアさんの光は辺り一面を包み込み、数千数万のアンデッドに降り注いだ。
アンデッドは光を喰らい苦しんでいたが、その苦しみから解き放たれた時、偽りの躯からは魂が天に昇っていった。
流石は創世神クーリエ・エイータの半身というべきか……。
エリアさんのレザレクションによって、偽りの命を吹き込まれていたアンデッド達は次々と浄化されて天に消えていった。
「ナ、ナンだこの力は!!」
ボク達が声の聞こえた遠くを見ると、そこには一際巨大な悪魔の姿が見えた。
デカい! アレがボスなのか。
悪魔からは禍々しい力が噴き出ていた。
あの悪魔、ボクに対して何かとてつもない恨みを持っているようだ。
なんとも言えないおぞましい目線を感じる。
「ユカ、キサマさえイナケレバ!!」
えっ!? この声、聞き覚えがあるぞ。
何か感じは違うがあの声はテリトリー公爵の声だ!
——まさか、アイツがこのアンデッドの群れを作って王都に攻め込もうとしたのか!?——
しかし何故あのテリトリー公爵が悪魔に?
まさか、これもバグスの仕業だというのか!?
だが、それだと話が繋がる。
あのテリトリー公爵を悪魔に変えたのがバグスの呪いの力なら、アイツがボクを恨むのも納得は出来る。
でも、だからと言ってあんなヤツに負けるわけにはいかないんだ!




