814 全力でエリアを守れ!
黒竜王ヘックスは傷ついた部分が瞬時に回復している!
だが癒しや自己再生のスキルを使ってるようにはとても見えない。
むしろ傷の治っている場所が黒いモヤに覆われて傷が治っているような状態だ。
「あの傷の修復、アレはどう見ても呪いだねェ」
「呪い……ですか!?」
「そう、言うならばアレは不死の呪いに近いだろうねェ」
不死の呪い、つまりはアンデッド化しているという事なのか!?
アレだけ最強のドラゴンがアンデッド化って、それを出来るだけの魔力の持ち主といえば限られてくる……。
「まさかアレもアビスの魔力で!?」
「いや、多分違うねェ。残念だけどアビスにはあれほど大規模の魔力を使ってアンデッド化するだけの力が今は無いはずだからねェ」
魔将軍アビスではない。
ではそれ以上の魔力の持ち主となると……。
『間違いなくバグスの仕業だな!』
『ソウイチロウさん、バグスが黒竜王ヘックスに呪いをかけたというのですか!』
『そうとは言い切れないが、その可能性は高いな』
なるほど、それならあの暴走ぶりや瞬時の回復能力もうなずける。
だがそうだとすれば、あの黒竜王ヘックスを倒すのは至難の業、いやもっと言えば不可能への挑戦とも言える。
世界を敵に回したほどの魔力と攻撃力を持つ伝説の黒竜王、その黒竜王を次元を超えた存在である邪神の力を持つバグスが呪いをかけた事で狂暴化し、更に呪いの力で不死にも等しい瞬間再生能力を手に入れてしまったと言える。
これだけの怪物を相手にどうすれば勝てるのだろうか……。
黒竜王ヘックスにかけられた不死の呪いはあの大魔女エントラ様ですら勝てないかもしれない。
大魔女エントラ様の流星の魔法やルームさんの吹き上げた火柱ですら黒竜王ヘックスの不死の再生能力の前には無力だった。
普通の怪物ならこの魔法を受けただけで粉々になるほどの威力だ。
だが黒竜王ヘックスは傷ついた鱗、破れた翼すら瞬時に回復し、何事も無かったかのように動き出した。
あの不死の呪いによる再生能力を破るには一体どうすれば良いのだろうか。
呪いをかき消すにはそれ以上の力で浄化するしかない。
だがそれ程の力を持つなんていえば、神しかいない。
――神しかいない――
そうか、神ならば……神ならば呪いを断ち切る事も出来るかもしれない。
ボク達には最高の神、創世神の半身であるエイータ様がいる。
そうだ、彼女の力なら……黒竜王ヘックスの呪いを浄化できるかもしれない!
「エリアさん、お願いです。ボク達に力を貸してください!」
「え? 力……ですか」
「はい、ボク達の力だけではあの黒竜王ヘックスを倒せません。今彼はバグスによって狂暴化と不死の呪いがかけられています」
ボクはエリアさんに黒竜王ヘックスの状態を説明した。
エリアさんは黒竜王の呪いの事を知り、驚いた様子だったが、その後すぐボクに言った。
「わかりました。私が黒竜王ヘックスの呪いを浄化します!」
「エリアさん、お願いします! ボク達が時間を稼ぎますから」
「僕も協力します!」
「オレ達も力を貸すぜー」
ホームさん、ルームさん、カイリさんにマイルさんがエリアさんが呪いを浄化する為の時間稼ぎに協力してくれると言っている。
「無論、ワシも力を貸すぞ。のう、えんとら」
「そうねェ、アイツには魔法でいくら攻撃しても効果無さそうだから今回はアシストに回った方が良さそうだねェ」
ここから総力戦だ!
エリアさんが全力で黒竜王ヘックスを浄化できるようにボク達がくい止めるんだ!
エリアさんが意識を集中し始めた。
ボク達が彼女を守らなくては!
そんなボク達を尻目に黒竜王ヘックスは不気味に唸っている。
絶対に無防備なエリアさんに攻撃を受けさせるわけにはいかない!
全力で彼女を守り切るんだ!




