79 銀狼王・最大の奥義!
今のソークツには横たわったドークツがミストイリュージョンの魔法で私に見えているはずだ!
「オデ、オバエきらいだー!! ジネェ!!」
ソークツが大斧を大きく振りかぶりドークツに叩きつけようとした!
「馬鹿! ソークツゥ!! やめんかぁあぁあァァ!!」
ドークツの操ったブランカがドークツの身体の前に立ちはだかった!
しかしソークツの振りかぶった斧は凄まじいスピードで叩きつけられ、辺りに凄まじい振動が響いた!
ズガアアアアアン!!!
「グァァァァ!!! ソォーーークツゥウウ!!! こぉぉの大馬鹿者があぁーーー!!」
「ジネッ! ジネッ!! ジィィネェエエ!!!」
「ギャアアアァ! 痛い! 痛いいィィィィ!!!」
ソークツの大斧はブランカの身体に深く食い込んでいた。どうやら憑依の実とやらは操っている相手の痛みも受けるデメリットがあるようだ!!
ノーコンのソークツの攻撃だったが、一度当たるとなまじスピードがあるだけにそのまま振りかぶるだけでも確実に当たる。
ブランカは何連もコンボ攻撃を受け続けた。
「ガアアアアアアアーー!!! (ブランカァァァァーー!!!)」
ロボが傷だらけになったブランカを見て驚愕していた。
「グルルルルル……ガアアアアァァア!! (貴様……絶対に許さん!!)」
ロボは本気で怒っていた……。
彼はレベルでいれば40前後、余裕でオーガーを殺し、本気を出せば遺跡の魔神の腕ですら噛み砕ける程の強さだ。
その銀狼王が目の前のソークツを怒りに燃えた目で睨み続けていた。
「ナンだそのメはぁぁぁーーー!! 犬ッころぉ! オバエをコロしてクってやるゥゥ!」
「ゴオオオガゥゥ!! (貴様こそ噛み殺してくれる!!)」
ロボは低く体を構えると体にエネルギーを溜め出した!!
「ゴガガガアアア!! ガガググゥウウ(見るがよい!! 我が最大の奥義を!)」
私には彼の言葉は理解できないがフロアさんは理解しているようだ。
「ユカさん……この戦い、彼の誇りの為に手を出さないでください」
「わかった……」
ロボは全身の力を足に集めると一気に空中に跳躍した!
その威力は私が作った10メートルの高さの床すら回転で砕くほどの物だった!
「グオオオオ! グガガガガグオオオオガアア!!! (食らえ! 天狼転牙!!!)」
ロボは凄まじい勢いで前方に回転しながらその牙で何度もソークツを噛み砕いた!
この必殺技は! まるで子供の頃にアニメで見た『流星の犬士・銀河』に出てきた『真・天狼回転牙』である!
熊狩りの猟犬、銀河は作中、父親から受け継いだこの技で巨熊・赤銅を一撃で切断したのだ!
ロボはそれとほぼ同じ攻撃を今まさに使っているのだ!!
「ウギャアアアア!!」
ロボの一撃はソークツの左手を噛み砕き、遠くに吹き飛ばした!!
「オデの手がァァ! オデの手があああ イダイ……イダイよぉぉ!!!」
ソークツの吹き飛ばされた左手が私の目の前に転がった。
私がその左手をよく見ると悪趣味な様々な色の指輪がいくつもはめられていた。
これは……! 私にはソークツの魔法耐性の正体が分かった。
「この犬ッコローーー シねェぇぇーー !!!」
「ロボーーーッ!!」
ソークツの怒りをぶち込んだ渾身の一撃がロボの腹部に深々と突き刺さった!
ロボの腹部に致命傷ともいえる大ダメージが撃ち込まれた!!
「グォ! オオオオオオオオ!!!! (クッ! しまったぁあああ!!!!)」
ロボを助けてやりたいが……今は残念だが時間が無い、ソークツを倒す方が先だ。
「ルーム! あの左手に炎 氷 雷 風の魔法を何でもいいから全部順に使ってくれ!」
「ユカ様? ……承知……致しました!」
これでルームの魔法が無効化されれば私の読みは成功だ。これでソークツは倒せる!
その前に瀕死のドークツを倒しておかなくては!
「ホーム! ドークツにとどめを頼む!」
「わかりました!」
ホームは動けないドークツの前に立つと先祖代々の名剣でその首を一刀の下に断ち切った!
これで残りはソークツだけだ!