791 龍神イオリ対バンパイアロード
巨竜城塞はボクのスキルによって、粉々の瓦礫と化した。
「そ……そんなバカなっ!?」
「アイツ、本当に人間なの??」
「あたしのお下僕を……よくも、よくも……」
魔将軍アビスの眷属達はあまりの想定外の結果に驚いていた。
いくら殺戮と蹂躙を繰り広げた巨大な竜による城塞だとしても、粉々に砕かれては復活することは出来ない。
砕け散った巨竜の身体は泡となり、その場で消滅した。
どうやらこの巨竜自体、太古に滅びた物があのビーストマスターによって復活させられたのだろう。
それをボクが圧倒的な破壊力で上空高くから一気に地面に叩き落とした事で復活不可能なくらい粉々に砕け散ったのだろう。
巨竜の屍骸が消え、残された瓦礫は、ホームさんが構えた剣による剣閃で消え去った。
「多くの踏み潰された命達よ、今ここに魂を解き放たん!」
彼の大剣魂の救世主は巨大な車輪の残骸ごと瓦礫を消滅させ、そこには何一つとして残らなかった。
「な、何なのよコイツら……! 強いのはあの魔女とユカだけじゃなかったの!?」
「ここは一旦退いた方が良さそうね」
「あたしのお下僕を……コイツら絶対に許さない!」
三匹の魔族達はあまりの光景に驚き、戸惑っている。
「おっと、どこに行こうというのじゃ?」
「なっ!」
「ほいっ!」
「ギャフウゥッ!」
アンさんの蹴り技がバンパイアロードに炸裂した。
「このクソガキ、闇の貴族であるバンパイアロードのブーコ様を足蹴にしたわね、絶対に許さない!」
ブーコと名乗った青肌のバンパイアロードの色が怒りで紫色になっている。
それを見たアンさんは退屈そうに欠伸をしていた。
「ふぁあああー。人を見た目だけで決めつけるとは、未熟者もいいところじゃのう」
「黙れ、クソガキ! キサマは血も吸わずにバラバラに引き裂いてくれる」
ブーコの爪が鋭い武器になり、アンさんに襲い掛かる!
「ほい」
「な、何なのよ……それ!?」
なんとその一撃をアンさんは指一本だけで食い止めた。
アンさんの指一本はブーコの全力の突進を難なく受け止めたのだ。
「クソガキぃぃぃいいッ! 何なのよ何なのよアンタは!?」
「人の事を糞餓鬼糞餓鬼とは……流石に温厚なワシも頭に来たぞ」
「フザケルナァ! このクソガキがぁあああっ」
アンさんの目の色が変わった!
「ほう、未熟者は痛い目を見ぬと気が済まぬようじゃのう……それでは少しだけ本気を出すとしようかのう」
そう言うとアンさんは指先で押さえていたブーコの鋭い爪を指二本でつまみ、上空に投げ飛ばした!
「なっ、何なのよこの力!?」
「おぬし、下ががら空きじゃぞ!」
ドガガガガッ!
アンさんは下から何度もブーコを蹴り上げ、その高さは空高くまでなっていた。
「ほい、人に無礼をして謝る時には地面に頭を付けるものじゃぞ」
ズゴッ!
ブーコの上空に跳び上がったアンさんは激しい一撃をブーコに対し地面目掛けて叩き込んだ!
ズドゴォオオオン!
地面に大きな穴が開き、バンパイアロードのブーコはボロボロの姿にされた。
「そ、そんな……ブーコがあんな子供に……」
「ハハハ、だらしないわね。バンパイアロードって言っても所詮その程度なのかしら」
「――貴様らもまとめて相手をしてやっても構わんのじゃぞ……」
アンさんの目は、ドラゴンの神様の目で……アビスの眷属の少女達はまさに蛇に睨まれたカエルのような状態だった。
「こ、ここは一旦退くわよっ。ブーコ、いつまで寝ているのっ」
「こ……この、クソ……ガ……キ」
「まだ懲りんようじゃのう、それでは一瞬だけワシの本当の姿を見せてやろうか!」
アンさんが力を集め、眼を光らせた。
すると、彼女の姿は一瞬で巨大な紫の不思議なドラゴンに変わった!
「そ、そんな……ドラゴン!?」
「失せろ、そしてワシの前に二度と姿を見せるな」
ドラゴンの姿のアンさんを見たアビスの眷属の三匹はあっという間に姿を消して逃げ出した。




