770 新たなる武器達
ボクの新たな剣、――ネオ・エクスキサーチ――。
それはかつてボクの先祖であり魔王ゾーンを倒したという勇者、バシラが使っていた聖剣エルディカイザーと元は一つの剣だったという。
その二つの剣を合わせた最強の聖剣、その名は聖剣エクスカイザー。
ターナさんはボクがエルディカイザーを持ってこればそれを一つに出来ると言っている。
ターナさんはボク達の武器を修復、改造、強化してくれていた。
空帝戦艦アルビオンに連れて行かれた際に持ち出したのはホームの剣魂の救済者や双子の狼の為の新たなオリハルコンクロー、それに鎧だった。
今のターナさんはそれだけではなく、カイリさんやマイルさん達の武器防具も作ろうとしているようだ。
「俺のは遠慮しておくぜー。これは神の槍と言われている豪槍ポチョムキンなんでなー。この力が失われてしまうかもしれないから俺は簡便な」
「私の杖もご遠慮致しますわ。これはご先祖様、伝説の魔法王テラス様が使っていた杖。この世界にこれ以上の杖は存在しませんわ」
「まあこの世界以外なら……ねェ。妾のこの杖は異界で手に入れた物だからねェ」
成程、この人達の武器はそれぞれがもう世界最高レベルって事だ。
ターナさんはホームの魂の救済者をオリハルコンと合わせて両手持ちの大剣に改造する作業に取り組んでいた。
熱い金属を叩く火花が飛び散り、カーンカーンという音が辺りに響く。
それはしばらくの間続き、音が鳴り終わって少ししてターナさんがダルダロスの工房から姿を現した。
「お待たせ! ついに完成したよ!」
「ありがとうございます! これが……ボクの新しい剣……」
「そう、この子の名前は――魂の救世主」
「――ソウル……メサイア!」
ホームさんの新しい剣が完成した。
両手剣の白銀に光り輝く刀身は全身がオリハルコンで出来ていて、魂すらも素込まれそうな綺麗な大剣だった。
「この子には意志がある。邪な心の人間が使おうとしてもこの子はその力を発揮しない。そう、これはアンタの為だけの剣だよ」
「ありがとうございます! ターナ様」
様付け呼ばわりされてターナさんは少し困惑した様子だった。
「そこまで言われると何だか少し照れちゃうね。まあ、アタシの子、大事にしてくれよ」
「はいっ、絶対に大切にします」
これでボク達は大幅な戦力増加が出来た。
「あ、そうそう。アンタ達の武器も作ってあげないとね。そうだね、どんな武器が良い?」
「俺は……鞭かな。やはり使い慣れたものが一番しっくりくる」
「我は……弓、出来るなら……矢を注がなくても使えるような物があれば、そんな物作れるのか?」
「わかった! 大丈夫。アタシに任せなっ」
ターナさんの技術力は世界一なのだろう。
世界広しと言えど、オリハルコンやゾルマニウムといった古代金属を加工出来る鍛冶屋――魔技師は今、彼女しかいない」
「そうだね、それじゃああと数日後、ここに来てくれるかな? それまでには完成させておくから」
彼女はそう言うとボクのベルトやエリアさんのサークレットなどもいったん回収した。
どうやらゾルマニウムだった接続部を全部オリハルコンで修正するらしい。
「ユカ様、ジバ総司令がお呼びです」
「わかった、すぐに行くよ」
ボク達はアルカディアの責任者、ジバ総司令に会うために指令室に向かった。
「おおユカ様、お待ちしておりました。どうやら地上の様子を見ていたのですが、あの空帝戦艦アルビオンを倒したようですね」
「はい、ですが……アレを倒したのはボク達ではありません。アレを倒したのは、黒竜王ヘックスです」
「「「黒竜王ヘックス!?」」」
ヘックスの名前を聞いた途端、指令室の中の雰囲気が変わった。
どうやら彼等はヘックスについて何か知っているようだ。




