表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

771/944

763 祝賀パーティの食事

 ゴーティ伯爵の城ではボク達の帰還を祝い、豪華な祝賀パーティーが開催された。


 ここ最近ずっと出先で食事をしていたが、これだけ豪華な食事は久々といえる。

 豚や牛の丸焼きがドーンと置かれたのにはびっくりしたが、これを貴族焼きにしているので味はかなりのものだ。


 貴族焼きとは旧ヘクタール領で考案された料理で、牛や豚、鶏などのお腹を切り裂き、その中に穀物や野菜などを詰めて戻した後、藁等で包んで焼いた料理だ。


 この由来は、貴族が貧しい人に食べさせない見せしめとしての家畜への穀物や野菜を食べさせた後にその家畜を料理するのと、ヘクタール男爵が藁のマントを領民にかぶせて火あぶりにしていた事を合わせ、家畜の中に穀物を入れて藁で焼くという料理法として確立したものだ。


 名前は何だが……これがかなり美味しいので、今や帝国の各地に広まっている料理方法だ。


 旧バレーナ村の自由都市リバテアでは鯨の中に、リゾート男爵の領地では大型のトカゲの中にと、各地でバリエーションも増えているようだ。


「美味しいですわ。これならいくらでも食べられますわ!」

「ルーム、はしたないからやめとこうよ……」

「魔法使いはエネルギーを大量に消費しますのよ、だから食べれる時に食べてマナを回復させる必要があるのですわ」

「ハハハ……そういうなら、止めないけど……それじゃあお嫁の貰い手がないよ」


 レジデンス兄妹は二人で食事しているようだ。

 エリアさんは肉よりも野菜を食べている。

 だからといって菜食主義というわけではなく、単に好みの問題らしい。


「ユカ、食べてるか? お前の為に村でも一番の牛を連れてきたんだぞ。今日潰したばかりの新鮮な肉だからな」


 父さんが自慢げに牛の事を話している。

 まあ今や父さんはコミエンゾ村の村長で男爵だ。

 前線に出て戦う事はもう無いのでむしろ内政で牧畜を中心に始めたらしい。


「ユカの連れてきた避難民の数名かはもう既にウチの村で働いてもらっている。彼等のおかげで牧畜が捗ってるからな、今日の肉はそのお礼だ」


 そう言われると食べないわけにはいかない。

 ボクは出された料理を次々に食べていた。


「ユカ様、、いかがですか? 私の主催したパーティーは、楽しんでいただけていますか?」

「はい、皆さんとても楽しそうで良かったです!」

「それは良かったです。ユカ様、明日皆様とお話がありますので、今日はゆっくり我が城でお休みください」

「はい、わかりました。伯爵様、ありがとうございます」


 パーティーは夜遅くまで続き、ボクはもう食べれないくらいまでお腹いっぱいにしてベッドに倒れ込んだ。


 そう言えば明日の朝、ゴーティ伯爵が話があるって言ってたけど、どうしたんだろう?

 ボクはそんな事を考えながら、いつしか眠りについていた。


 次の日、ボク達はゴーティ伯爵と応接間で話をした。


「……そうでしたか、パレスは最後まで戦ったんですね」

「しかし許せないよな、そのテリトリー公爵って奴は!」

「ユカ様、それではテリトリー公爵は自らの派閥を見捨てて逃げ出したというのですね」

「はい。他の貴族を足蹴にし、自分だけが小型の飛行艇で逃げました」


 テリトリー公爵は公爵派の一番上にいる人物だ。

 現在の国王の母親の弟で、現在皇帝とは別派閥のトップだ。

 空帝戦艦アルビオンに乗っていた公爵派貴族はほぼ全員死亡した。


 この事で公爵派貴族は壊滅し、帝国における彼等の地位は地に堕ちたと言える。


「ですが何か嫌な予感がするのです。ユカ様、どうかこれからもよろしくお願いできますか?」

「はい、ボク達に出来る事でしたら!」

「ありがとうございます。私にご協力できることでしたら何でもお申し付け下さい」

「そんな、申しつけるなんて、ボクには……」

「いいえ、貴方はこの国の救世主です。貴方のおかげでこの国は救われたのです」


 何だかそこまで言われてしまうと、ボクは少しむず痒い気持ちになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ