表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

768/944

760 ターナの心境

 ボク達は飛行艇グランナスカでゴーティ伯爵の城を目指していた。

 ソウイチロウさんが言うには自動操縦モードというものがあり、ボクが運転しなくても勝手に動いて伯爵の城に到着してくれるらしい。


 古代文明やソウイチロウさんの世界には便利なものがあったんだなーとつくづく感じる。

 ボク達は船の中でそれぞれが自由にしていた。


「パレスさん……」

「ターナさん、元気……出してください」

「……はっ、そうだね。落ち込んでる場合じゃないよね。それにアタシにはあのコングくらいがちょうどいいってもんだよ。さあ、お仕事お仕事……」


 ターナさんは明るく振る舞おうとしているが、パレス大将軍の事を吹っ切れていないみたいだ。

 あの空帝戦艦アルビオンの中で何があったのか、ボクは知らない。

 でもパレス大将軍は軍人であると同時に立派な紳士だったようだ。


 彼が家族を人質に取られて敵対しなければ、ボク達はきっと彼と戦う事は無かっただろう。


 ボクはパレス大将軍の愛剣を見つめ、彼との戦いを思い出していた。

 彼はボクが戦った敵の中でもかなりの強敵だった。

 今までの戦いはみんなとの協力で勝てたが、パレス大将軍との戦いはボク一人の一騎打ちだった。


 ボクは新生エクスキサーチのおかげで勝てたが、もしその剣が無ければボクの負けだっただろう……。


 ボク達はパレス大将軍の意志を引きつぎ、この国の公爵派悪徳貴族を倒してこの国を変えて見せる!

 そして、彼の子供に父親が立派だったと伝えて、この剣を手渡さなければいけない。


「ユカ……」

「あ、エリアさん。どうしたの?」

「ユカ、悲しそうな顔をしていたから……」


 エリアさんにはボクの気持ちが分かっていたらしい。

 彼女はボクの頭を優しく撫でてくれた。


「ユカ、それはユカにだけしか出来ない事……」

「うん、ボクが責任を持って伝えるよ」

「大丈夫、ユカならできるから」


 エリアさんはボクに優しく微笑んでくれた。


「みんなぁー、食事だよぉー」

「お、美味そうじゃねーかよー」

「フライを入れて挟んだパンだよぉー」


 マイルさんが食事を用意してくれた。

 コレって確か、今はヘクタールって呼ばれてる食べ物だったっけ?

 ボク達が倒したヘクタール男爵の考案したパンに具材を挟んで片手で食べられるようにしたもの。


『ユカ、これは私の世界ではサンドイッチという名前だったぞ』

『サンドイッチ? 何ですかその変な名前?』

『サンドイッチ伯爵という人物がカードゲームをしながら食べれる食事という事で考案したので彼の名前が付いた食べ物だ』

『人の名前が食べ物にって、ヘクタールも人名だから似たようなモンなんだね』


 なるほど、場所や世界は違っても人が考えるような事って似通ってくるもんなんだな。


「ユカ、さっきから何独り言ブツブツ言ってるんかねェ」

「あ、ご、ごめん」

「まあ急いで食べないといけないわけじゃないから、到着までゆっくり食べたらいいよねェ」


 ボク達はみんなで談笑しながら食事をしていた。

 それでもやはりターナさんは浮かない顔だった。

 それも仕方ないだろう。


「ターナさん、貴女は誰も殺してはいなかったのですから、それほど気に病む事もありませんよ」

「それは分かってるんだけどね。でもどうしてもアタシの頭の中でどうもスッキリしないんだよ」


 これはまだしばらく落ち着くまで時間がかかりそうかもしれない……。


「すまない、しばらく一人にさせて……」


 ターナさんはそう言うと船内の部屋に入り鍵を閉めた。

 彼女は食事の後、一人で船の一室に入り、布で包まれた物を見つめていた。

 その中に入っていたのは彼女がボク達の為に作ってくれたという武器防具だった。


「パレスさん、アタシどうすれば良いのかな……」


 ターナさんは誰もいない部屋で、一人泣いていた。


 飛行艇グランナスカはそんなボク達を乗せ、ゴーティ伯爵の城の近くまで飛行していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ