74 そろそろ本気出す!
このワープ床を使えば確かにすぐに人質を外に出せる、しかしその前に大量に残っている盗賊共を片付けないと追いかけられておしまいだ!
「ボク達が今できる事は……ここにいる盗賊を倒す事だ!」
「ユカ様! 僕が敵を引き付けます!」
「吹き飛ばす魔法なら私にお任せ下さいませ!」
エリアのレザレクションはこれ以上長くは持たない。速攻で決着をつけないと!
「ユカさん! 俺が女の子たちは守ります!」
「あーしもいるよ、とりあえずあいつ等を動けなくすればいいんでしょ」
フロアさんとマイルさん、元々仲間だったわけではないが今は信頼できるとても頼もしい仲間だ。彼らがいるから勝てる作戦も考えられる。
やはりゲームでもパーティーバトルが支持されるわけだ。現実に照らし合わせるとますます実感した。
「ありがとう! 二人は人質をワープ床からこの神殿の外に出してくれ!」
「わかった!」
「わーったよ!」
これで作戦は決まった。私、エリア、ホーム、ルームが盗賊退治、フロアさんとマイルさんが人質を外に連れ出す役だ。
「俺は外の商隊に女の子を渡したらすぐ戻る!」
「外はあーしに任せてぇ!」
人質を外に連れ出した後はマイルさんがいた方が安心はできる。
そしてフロアさんは外に誘導したら一度戻ってきてくれるので、私達はそれまでにある程度の盗賊を倒せばいいのだ。
「みんな! 作戦開始だ!」
エリアに疲労の色が見えた。これ以上レザレクションを使わせ続けるのは危険だ。
「エリア、驚かないでよ! エリアの足元の床を高い場所にチェンジ!!」
エリアの居た場所だけが数マス分切り立った壁のようになり、5メートルくらいの高さになった。
「少しそこで休んでてくれ!」
「ユカ……」
さて、エリアのレザレクションのおかげで私達はHPも体調も最良である。一気に盗賊を片付けるとしよう!
「ルーム! エアリアルバーストで盗賊を吹き飛ばしてくれ!」
「承知致しましたわ! エアリアル・バースト!!」
ルームは人質には当たらないように盗賊だけを空気の爆発で吹き飛ばした。
「盗賊の足元を油まみれの床にチェンジ!」
「!??」
もうルームはこの後何をするか想定済みのようだ。
「大魔法……ファイヤー・ウォール!!」
「「「グァァアアアアアアAAAA!!」」」
吹き飛ばされて一か所に集められた盗賊達は一面の油まみれの床に炎の壁を食らい、数十人が火だるまになった。これで盗賊の3分の1は倒したと言えよう。
「ユカ! 人質の女の子と子供はあーし達が全部連れてきたよ!」
「ありがとうございます! 後はおねがいします!!」
マイルさんとフロアさんは無事、ワープ床からこの場にいる人質を外に連れ出せた。
「グアアアア! コロス! ブッコロス!!」
「コロシテ……肉クッテヤル!! バキバキトナァ!!」
コイツらは人間やめた組だ。魔素に浸食されて完全に異形の二足型モンスターになっている。既に見た目は『なんとか(名前忘れた)の奇妙な大冒険』に出てきそうなゾンビィそのものだ。
「ホーム! 無理はしなくていい! 奴らを人質の居る檻から引き離せばいいんだ!」
「わかりました! 無理はしません!!」
中には手が何本も増えたようなバケモノもいたりする、コイツらを何匹も一気に相手に戦うのはレベル30以上でないと厳しいだろう。
ホームはせいぜいレベル18といったところだ、化け物一体ずつなら倒せるが複数だと防御に徹した方がいい。
ホームは私の指示通り檻の前からモンスターを引き離してくれた。
「檻の前の床を数メートルの壁にチェンジ!!」
私は奴隷の檻の前に数メートルの壁を作った。壁と檻の間には隙間があるので窒息する事は無い。
そしてこの壁は数メートルの分厚さなのでオーガーでもそう壊せるものではない!
「よし! これで人質の安全は確保した! ここから先は本気を出させてもらう!!」