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751 眠りから覚めた少女

◆◆◆


「本当に……お前なのか、小娘」

「ドラゴンさん……オラ、どうなっていたんだ?」

「何も気にする事はない、お前には俺様がついている……」


 俺様は身体全体で少女を包み込んだ。

 獣人の少女はそんな俺様に安心して身体を委ねてきた。


「良かった、良かったわ……わたくし、こういうのに弱いのよ……ズズズッ……」

「わかったから、テラスちゃん、泣くのは良いけどアタシのマントで鼻かまないでよねェ」

「ハハハ、でも何事も無くて良かったね。黒竜王との戦いも止める事ができたわけだし」


 俺様はこの三人組に返しても返しきれない恩を受けた。

 この恩は一生かけても返さなくては俺様のプライドが許せない。


「バシラ、テラス……それにエントラ。よく、俺様の大切な彼女の呪いを解いてくれた……。礼を言う」

「何だか偉そうな言い方ねェ。それにアタシがオマケっぽい言い方だし」


 この女、どうやら細かい事を気にするタイプのようだな。

 単に一人言い忘れてその後で追加しただけなのに。

 まあそんな事はどうでもいいが。


「俺様は受けた恩を返したい。さあ何か言ってくれ、莫大な財宝でも絶対の権力でもお前達が望むならその為に力を貸そうではないか」

「ボク達は別にそんな物を望んでいないよ。ボク達にはやるべき事があるんだ」

「やるべき事? それは一体……」


 バシラは目つきを鋭くし、俺様に自分達の目的を伝えた。


「ボク達は魔王を倒す為に旅をしている。この山はその旅の途中で立ち寄ったんだ。黒竜王ヘックス、ボク達はこれから魔王の本拠地に向かう。だから邪魔だけしないでいてくれるならそれ以上は望まないよ」

「――魔王……だと?」


 魔王、俺様が眠りにつく前には聞かなかった名前だ。


「そう、ヤツの名前は魔王ゾーン。ボク達はソイツを倒す為に旅をしているんだ」

「ふむ、聞かぬ名前だな。だがその魔王ゾーンとやら、お前達三人だけで戦うつもりなのか?」

「そうだ。下手に大人数で行くよりも、ボク達三人の方が動きやすいから。それにボクは神に勇者のスキルを与えられた使命がある。テラスとエントラはそんなボクに協力してくれている魔法使いなんだ」


 魔王ゾーンか。

 本来は俺様が相手する必要は無いのだが、バシラ達には恩がある。

 それなら俺様が協力してやればその魔王ゾーンとやらも倒す事が出来るのではないのか。


「バシラよ、俺様も連れていけ。かつて世界を敵に回して戦った黒竜王が力を貸してやると言っているんだ、断る事も無かろう」

「じょーだん! アンタみたいなのいなくても魔王くらいアタシの魔法で倒せるってねェ」

「エントラ、お前には聞いていない! 俺様はバシラに話をしているのだっ!」


 このエントラという女、何かにかけて出しゃばってくるので俺様の嫌いなタイプのヤツだ。

 あの健気で儚げな獣人の少女とは真逆のバカ女だと言えるだろう。


「ボクとしては伝説の黒竜王が一緒に戦ってくれるなんてのは、とても嬉しいけど……でも」

「でも何だ? 何か不服な事があるのか?」

「いや、むしろキミの事だよ。キミがボク達と一緒に戦ってくれるのは良いんだけど、その女の子はどうするの?」


 その事は想定外だった!

 確かにこんな脆弱な少女を魔王と戦う旅に連れていくのは無理がありすぎる。

 それこそ今度こそ旅の途中で死んでしまっては、俺様は何のために彼女を守り続けたのか意味が無くなってしまう。


 そう俺様が考えていた時、バシラはニコリと笑い、少女に声をかけた。


「ねえ、キミはどうしたいの? 黒竜王ヘックスと一緒に旅に行く?」

「オラ……ずっとずっと寝ていたみたいで、もう家族も村も知っている者はだれもいないだ。それに、いけにえにえらばれた時にオラの人生は終わっただ。でも、ドラゴンさんにめいわくもかけたくない」


 そして獣人の少女の出した結論は……。

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